一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。
敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。ホルムズ海峡を突破せよ!戦後、国際石油カルテル「セブン・シスターズ」に蹂躙される日本。内外の敵に包囲され窮地に陥った鐡造は乾坤一擲の勝負に出る。それは大英帝国に経済封鎖されたイランにタンカーを派遣すること。世界が驚倒した「日章丸事件」の真実。
内容「BOOK」データベースより
すべてのビジネスマンに捧ぐ。との帯は伊達ではないと・・・理想の上司・指導者なんてビジネス新書を読むぐらいならば、この本を読め!と言いたくなる程に熱く仕事に生きた男が描かれている。
圧倒的な取材力とメディアで培った構成作家としての能力により書けば売れる作家・百田尚樹、私は映画「永遠の0」を観に行く過程で原作を楽しんだのですが、それ以降は全く手を出していませんでした、読書感想ブログで宣言する事ではないですが、正直嫌いな作家の筆頭です。というのも作者自身のメディア露出があまりに過激すぎるから・・・作家として世間に価値観や発信をするのは表現者として至極当然な行為だとは思いますが、物議をかもし出すレベルの言動を繰り返すのは少しいただけない。その発言の成否は特に問題視していません、他者よりも才能のある人が他人に対して発言することは特段不思議ではありませんから・・・ただ、そういった行為のおかげで作品自体を穿った目線で読まざるをえなくなるのが嫌いになる理由である。本書は、戦前戦後にたくましく生きた1人のビジネスマンの生き様を描いた作品である。当然スポットライトは男に向けられるべきであるのに・・・作者の発言によってどうしても戦争論や国家論といった目線で物語を見てしまう自分を感じます。既に死の世界に入った作家たちの残した古典小説を読んでいるせいでしょうか、作家自身が発言する言葉に誘導されながら読む読書に抵抗感を感じてしまいます。
個人的な感想はここまでにして、紹介開始♪
昔語りを聞きまわり徐々に真相が見えてくる「永遠の0」に比べると物語の流れに工夫は無かったと感じたのが正直な印象です、あと全ての物語が美しくまとめられ過ぎているいった印象も受けました・・・ネタバレになりますが、前妻との別れや戦後社員数が減った話などの人生にとってマイナスと評価すべき話題に関してはサラっと流している所がやや不満。紆余曲折を描いていはいるものの乗り越えられた苦難は見事英雄譚として語っているのに乗り越えることが出来なかった苦難については一瞬で流す・・・物語の流れを遮らないって点でも良いのですがもう少し深みを出しても良かったのでは?と偉そうに言ってみます。 ただし、この不満を補って余りあるほどの爽快感が物語の流れにあります!先ほど英雄譚と書きましたが、英雄を描かせればそう右に出るものがいないのが百田尚樹さんの良い所ではないでしょうか?こんなビジネスマンなかなかいないよって感じる、理想の上司や社長ってものが作品の中に存在しているので・・・現実社会をいきるビジネスマンにとっては魅力的で引き込まれる作品となるのでしょう。
またビジネスマンと連呼していますが、一般的な主婦層にも受けは良さそうです^^私に本書を進めてくれたのは主婦の方でした♪その人曰く、主人公が職業上で話す場面と家族と話す場面で口調が変わる所が実に人間らしいとの事です。たしかに家族と話をする時には故郷の方言が出ていたものです・・・そういった一般感覚を巧みに突くところもベストセラー作家のゆえんでしょうか。
最後に、信念や情熱をもって人生を切り開けば英雄といった論調があるものの、ある程度社会のルールや規範からギリギリ逸脱した行為を是とする作品です。これを胸が熱くなると感想する人が多いのですが・・・一時のIT革命の異端児達が現行のルールスレスレの行為を行い一代事業を成し遂げた事に不快感を示した日本人が賞賛するべき物語なのか?と問いたくなりました。結局の所は大成したり時の流れが美談を作り出しているのではないかと思ってしまいました。 年末最後の紹介作に最初から最後まで難癖をつけてしまった事を反省しております・・・基本的な姿勢・良い点のみを紹介するスタイルを来年こそ実現したいと思います。
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