『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン | ほんとなかよし

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ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。


内容「BOOK」データベースより


アーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインはSF古典のビックスリー(御三家)と呼ばれる。クラーク「幼年期の終わり」、アシモフ「鋼鉄都市」、ハインライン「夏への扉」でビックスリー作品を一通り経験した事になります。SF創世記に大活躍した大家だけあって全ての作品が素晴らしく世界観にぐっと惹き込まれてしまいます、読書のひとつのジャンルを創生し定着させた偉人達の作品は必読といって良い名作ばかりでオススメ。絶対にはずれなしです!

「夏への扉」は素晴らしい!胸がスカッとするSF作品!題名にある「夏への扉」を探す主人公と飼猫ピートの物語、冒頭では「夏への扉」=「現世から逃避する扉」といった印象を受ける、友人に裏切られ最愛の妻にまで見捨てられた悲しき天才技術者はこの世とオサラバする方法を探していた・・・「冷凍睡眠保険」を使用し未来に自分を送り込む方法で現在から逃亡を試みるのだが・・・待ち受けていた未来では、何故か自分の過去が書き換えられている、過去と未来を繋ぐ矛盾を前に主人公は再度時空を超えた冒険を繰り広げるのだが・・・最後に見つけた「夏への扉」が美しく素敵な時空物語は読者の胸に暖かい風を吹かせる事でしょう!本書の読者がイチオシするのは飼猫ピートだろうと思う、なんとこのピートは人語を理解する猫なのであ~る!SF作品に当たり前のように登場する会話できる動物ってレベルではないし、もしかすると主人公の勝手な妄想の延長線上なのかもしれないが、主人公の意図や思惑を察知しながら行動し時には泣き声で返事をするピートはもはや飼猫とは呼べない存在である、ペットと呼ばれて激怒する主人公と同じく読者もピートの事は主人公の友人もしくは戦友と位置づけて読むだろう。このピートの存在があるなしで本作が名作になったかならなかったかの境だったのではないだろうか?それほどパワーをもった猫が登場する物語、必見と言えます。また、本書の素晴らしい点は、1970年が舞台の物語、主人公は現実逃避の選択肢に“冷凍睡眠保険”を利用し未来に自らを送る決意をするのです、紆余曲折があるものの結局未来に行く主人公なのですが、その未来の舞台が西暦2000年!つまり現実時間の方が経過している作品なのでございます。ハインラインが描いた西暦2000年が実際には実現出来ていない事やある種もっと進化している部分もあるかもしれませんが・・・既に過ぎ去った時間が未来として登場する物語にも関わらず不思議な事に時空冒険の気分が一切損なわれていないどころかワクワクして読めてしまう所が不思議でなりません。古典SFの部類に入っている御三家ですが、未だに改訂版が出版され読み継がれている事がなによりの証拠といえるのではないでしょうか?悠久の時間に耐えてこその名作、それも時間をテーマに扱った物語でそれをやってのけるのだから恐ろしい作家と言えます。SFファンならずとも注目して損は無い作者・作品ではないでしょうか?「夏への扉」を探していた男が、自ら「夏への扉」をこじ開ける最後は素晴らしい物語です!爽快SFここにあり!!


夏への扉
夏への扉
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