夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。
内容 「BOOK」データベースより
東野圭吾ミステリー作品の中で不動のシリーズとなりつつある“ガリレオ”、「真夏の方程式」は自然豊かな架空の観光地・玻璃ヶ浦を舞台に謎が多い事件が発生する、殺人なのか事故なのか?事件と繋がるもう一つの過去の事件を追う草薙と内海、仕事で現地に滞在中の物理学者湯川学(ガリレオ)は天才的な推理力で事件の真相を見抜く、“一人の人生が捻じ曲げられる可能性がある”と呟く湯川が導き出した推理は・・“実に面白い”と思わず言ってしまう作品、人は愛する者や物の為には鬼にも悪魔にもなれる。という邪悪で偏狭な愛を感じる作品である、ミステリー作家東野圭吾であるが、読者の多くが惹かれる部分は推理やトリックそのものでは無いと思われる、事件を介して登場する様々な人物の心理描写が巧みに描かれており惹かれるのではないだろうか?自然豊かな美しい海が残る観光地に海底資源利用計画が立ち上がった架空の街が登場する、開発推進派の企業と地元環境保護活動の人々との説明討論会に企業側頭脳(ブレイン)として湯川学は登場する、自身環境開発に中立な立場と言う湯川の視点や思考は多いに考えさせられるものが多いと思われる。我々は様々な局面であらゆる立場や態度をとらねばならない、その時に必要な事や大切な事が何なのかを学べる一冊である。ミステリー部分にもこの中庸・中性的な価値観が採用されている、信賞必罰や社会通念では推し量れない人間性が溢れるミステリーに仕上がっている、ある人は納得がいかない結末、曖昧模糊とした罪と罰を批判するかもしれない、またある人は人間とはそういうモノだと感じ、未来といった不確かな道を歩む心構えを学ぶかもしれない。人を知るミステリーが東野圭吾だ。東野圭吾作品をそこそこ取り上げている私、ガリレオシリーズも完全とまで言わないがそこそこ読んでいるのだけども・・・実写版を観た事が無い。ガリレオ=福山雅治とイメージが定着しており映画・テレビ共に大ヒットを記録しているのだから今更シリーズ実写化に対しての不安は一切無いのだけども、今作品に関しては子役が非常に重要になってくるのではないかなと感じる、最近の俳優・女優の子役の演技は目を見張るものがあり大人の子供像が幼稚過ぎると考える程に大人顔負けな演技をする、だが原作を読んだファンは絶対に子役の役回りを注意するだろう・・・ある程度固定されたキャラクターを獲得した主役級以上に注目される人物を演じるのだからその大変さは計り知れない。映画を楽しむ人は是非子役に注目して欲しい。
文藝春秋 (2013-05-10)
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