リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠がみつかり有罪は確定的にみえた。だがライムは不審に思う―証拠が揃い過ぎている。アーサーは濡れ衣を着せられたのでは?そう睨んだライムは、サックスらとともに独自の捜査を開始する。
殺人容疑で逮捕されたいとこを無実とみたライムは、冤罪と思しき同様の事件の発生を突き止める。共通の手掛りが示したのは、膨大な情報を操る犯人像。真相を究明すべく、ライムのチームは世界最大のデータマイニング会社に乗り込むが―。データ社会がもたらす闇と戦慄を描く傑作!巻末に著者と児玉清氏の対談を特別収録。
内容「BOOK」データベースより
ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズ第8弾「ソウル・コレクター」。凄腕暗殺者や凶悪殺人鬼など様々な敵と相対してきたライムだが、今後の敵は“全てを知る者”=“神”。個人情報の全てを司り利用・操作する犯人、他者の人生を破滅させる事すら簡単にする術を持った犯人は、自らの強姦殺人の罪を他者に擦り付ける事で犯行を繰り返していた・・・新たな被害者がライムの従兄弟アーサー・ライムが冤罪で拘置所に置かれる事からライムが捜査に乗り出す事となったのだが・・・冤罪被害者の購入履歴や趣味趣向の全てを知り尽くした上で偽装される犯行現場、あまりに証拠が揃いすぎる現場、犯人は一体どうやって犯行を成立させているのか?情報社会ならではの最新型犯罪にライムが立ち向かう!!
「ソウル・コレクター」は再読になる、一番最初に読みシリーズ全てを読んでみたい衝動に駆らせた作品だが過去作品を読んだ後で再読する事で一層面白く感じた。ジェフリー・ディーヴァーは素晴らしい作家である、シリーズ作品は登場人物の成長や活躍を楽しめるのが醍醐味ではあるが人気作家がシリーズ作品の登場人物の扱い方を誤り一気に人気急降下なんて事は良くある事だが・・・彼にはそんな気配は一切ない。“読者の期待に答える事を第一”とする作者だが、このシリーズ作品の基本にして肝心要の技術がずば抜けて巧みなのだと言える。次回作を読みたい!登場人物の活躍を見たい!と必ず思わせる作家である。本作「ソウル・コレクター」は、高度情報化社会が進み個人のあらゆる個人情報が電子化管理される世界が目前に迫っている設定であり、SFというよりも近未来・・・もしくは既に実現している世界なのかもしれない。強烈な悪を描く事が巧みな作者であるが、今回は犯人そのものの恐怖よりも世界観全体の恐怖を感じる事になるだろう、作中でも引用されるのですがジョージ・オーウェル「1984年」やオルダス・ハックスリー「すばらしい新世界」といった作品が登場する、両作とも超管理社会を描いたディストピア作品であり個人が国家や文明に完全支配される内容である、是非とも本作の世界観を味わう上で外せない作品ではないだろうかと思います。情報化が進み個人情報が集約されてゆく社会・・・そんな中、個人情報を操り自在に犯罪・冤罪を発生させる犯罪者が登場したならば?恐怖ではないだろうか?現実社会でも元諜報関係機関所属職員が国家規模の情報管理をリークし問題になったばかりではないか?個人情報が管理・統制されつつある社会は決して本の中だけの世界ではないのかもしれない。あらゆる情報が収集され悪用された時に個人は世間から抹殺される恐怖は身の毛もよだつ、新型犯罪に天才ライムが挑む。
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