近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る―スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。
内容 「BOOK」データベースより
英国小説家アントニイ・バージェスにより1962年発表され、1972年映画化している作品。管理社会・全体主義化の進む社会の中で自由を求め超暴力に生きる15才の少年アレックス、圧倒的な暴力描写には暴力誘発の懸念があるものの個人と社会の抱えるジレンマを描く社会風刺作品として評価の高い一冊。映画が逸品との声が多い。内容「BOOK」データベースより(amazonより拝借)には一部間違いがありますがそのままにしてあります・・・現在本書を読む多くの人は、大人気小説「ビブリア古書堂」シリーズの中に登場する「時計仕掛けのオレンジ」によって関心を持ち読んでおられる事かと思います。「ビブリア古書堂」の推理のネタバレになってしまうので未読の方は当紹介ブログを読まない方が良いです。(改行以降は自己判断で読んでくださいm_ _)
「時計じかけのオレンジ」には初版のみ掲載された最終章なるものが存在します、以降新版には最終章部分が削除されており、映画化も新版を基に製作されているなど2パターンの終わり方がある作品。「ビブリア古書堂」ではその2パターンを推理のネタとして使用しており読者が本書に興味を持つ要因の一つであると言えます。さて、この最終章ですが初版が絶版となっているのですが2008年にハヤカワ書房より幻の最終章付加の完全版が発売されています(内容「BOOK」データベースは、この完全版のものと思われる・・・)ので読む事が可能です、が、今回の版には含まれていませんので、当ブログは最終章削除バージョンに沿ったものとなりますのであしからず。「時計じかけのオレンジ」の2パターンの終わり方、特に最終章が有ると無しとでは大きく異なる印象を受けるとの声も多いので是非とも読み比べてみたい所です。
さて、本書の魅力ですが20世紀英国小説に数多く名作を残す“ディストピア”と呼ばれる“ユートピア”と対をなす世界観を描いた作品であるという点でしょうか。本書の中でも第二次世界大戦時敵国だったドイツや日本人が戦時中の暴力の象徴として登場しますし、また冷戦構造化が進み“ユートピア”としての共産主義国家が現実化していた時代だった事から英国小説にはこういった構図の作品が多く生み出されたのではないかなと推察できます。ただしそういった思想主義が小説として具現化されたと言うよりも社会と個人の関係性が抱えるジレンマに重きを置いている作品といった印象です、過度の超暴力性と洗脳じみた管理社会の相対する2極の度合いが濃過ぎる事から思想信条色が強くなっているがレベルを落として読むと普通に社会に内包された危機や恐怖が描かれています。人間の良心とは?法の正義とは?と自問したくなるような作品です。15歳の少年の反社会的言動に感化される作品としては「ライ麦畑でつかまえて」が近しいものを感じますね、ナッドサット言葉という作中のティーンエイジが使う新造語が登場するなど独特の言い回しが強い作品でもありますので是非とも現代新訳などで味わってみたい作品。2008年完全版は刷新された訳なのか気になる所。
早川書房
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