『桜の園・三人姉妹』 チェーホフ | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

急変してゆく現実を理解せず華やかな昔の夢におぼれたため、先祖代々の土地を手放さざるを得なくなった、夕映えのごとく消えゆく貴族階級の哀愁を描いて、演劇における新生面の頂点を示す「桜の園」、単調な田舎の生活の中でモスクワに行くことを唯一の夢とする三人姉妹が、仕事の悩みや不幸な恋愛などを乗り越え、真に生きることの意味を理解するまでの過程を描いた「三人姉妹」。


背表紙より


三谷 幸喜さんが“これがチェーホフ?これぞチェーホフ!”を合い言葉に、喜劇「桜の園」を演出!なんと喜劇ですとな!チェーホフは「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」と読んでいますが・・・あれは悲劇。チェーホフ自体が悲劇戯曲作家とイメージしていた私はチェーホフの喜劇と聞いて居ても立っても居られず購入。

「桜の園」は、没落貴族が借金返済の為に自らの領地である桜の園と邸宅を競売に掛けられ喪失する物語である。本筋だけを見ると悲劇であり、桜の園の所有者である女主人ラネーフスカヤの競売売却の知らせの後の絶望感は尋常では無いし、その養女であり主要登場人物ワーニャの恋は実らずに終る等、悲劇的な要素には事欠かない物語である、実際に読者レビューなどでも悲観的な見方も多く大団円的な喜劇では無いのは確かである。しかしチャーホフ4大戯曲の中で「かもめ」を読んでいない3作品の中での比較になるが・・・唯一絶望の後に救済が用意されていたのが「桜の園」だったように思えます。「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」は、真綿を首で締めるかのような絶望感に囲まれて現実を直視した瞬間をもって終幕を迎える物語であった・・・「桜の園」は同じく絶望を向かえ未来への渇望を唱えるシーンがある、ただ他の二作品とは違うのは事後の物語が用意されている点で、順風満帆とまではいかないまでもしっかりと確かに次の一歩を踏み出している場面があるのは、それだけで物語に救いが用意されていて読後の不安感が緩和されます。また登場人物が滑稽に描かれている点も喜劇的な要素が強い、最終的に戯曲の最重要人物となるのだが老僕フィールスは良い味を出している、所謂おとぼけ爺さんで痴呆症を思わせる言動は切迫する金銭事情の屋敷のムードを和ませるには十分であるし。30才にして未だ定職に就かずに学生のトロフィーモフ!彼は人道や幸福論を演説させれば右に出るものが居ないキレものであるにも関わらず若ハゲをなじり倒され一蹴される憎めない人物で、彼が恋愛論を語った瞬間に「あなたは、中学二年生?」と言われるシーンは秀逸で印象的な事間違いなしです。このほか様々な登場人物が物語を面白オカシク展開させてくれるので喜劇的な要素は満点です。登場人物の多くがボケ役の様な設定の中で、時代の流れを汲み正道を行くツッコミ担当のような人物も登場します、商人であるロパーヒン、彼は桜の園売却に大きく関わる人物であるだけでなく農奴解放後のロシアを象徴するかのような人生大逆転劇を演じる人物でもあります、彼が作中でくだした決意と行動を前に読者は胸を熱くする事になるでしょう。農奴解放を向かえて大きく躍動しているロシアならではの転換期を描いている「桜の園」は、ちょっぴり物悲しくも楽しく笑って読む事が出来る喜劇作品。



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