鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。
内容 「BOOK」データベースより
現役女子高生(なんとも甘美な響き)の方から面白い作品ですよと紹介されて読書。あえて分類するならば、ミステリー系等でしょうか、古書に関する事件や背景を主人公栞子さんが解明してゆくお話です。解明方法ですが所謂「安楽椅子探偵」方式が採用されています。もう一人の主人公である五浦 大輔が実動探偵となり、ある事件の影響で入院中の栞子さん指示の元、事件や謎に挑むといった物語となっています。またキャラ物と考えてよいほどに個性的な栞子さん。内容紹介にあるように基本人見知りの性格が古書関連の話になると性格がスイッチングし活発化するという二重人格に近い性格づけがなされています、安楽椅子探偵といった特殊性に二重人格の魅力が彼女の人気となり、ひいては作品の人気に繋がっているのでしょう。ミステリーと断言できない理由は、推理自体は古書や書物に関する専門(その道の人には基本なのかもしれませんが)知識をもっている事を前提に組み立てられている為、一般人の知識のない人でも推理を楽しめるような形になっていない事があげられます。普通一般の読者は、五浦 大輔くんの視点で「へぇ~なるほど」と楽しむしかないのが残念といえば残念です。しかし各話のキーワードや伏線を覚えていると色々と真実が見える時に驚かされたり、そうきたか~と思える構成になっていますので、細かい設定を覚えながら読み進める事をオススメします。さて、私が面白いなと感じた点を2点ほど挙げておきましょう。1つめ、作者の古書好きが伝わってくる点。主人公が「本の虫」との設定ですが、同時に作者も「本の虫」なのだろうなと伝わってくる作品です、各古書の紹介に関しても興味が持てるように古書や著者に関する豆知識や逸話なんかが紹介されています、その上で作者自らの作品に対する感想が総括的に評価されているのがグッドです!本作読書を機会に古書を読んでみようかなと思う読者もいるのではないでしょうか?2つめ、五浦 大輔の設定。奇縁から古書店員となるのですが、それまでプー太郎だったのです。現代日本の作品を読んでいると普通に見かけるようになりましたね、フリーターやプー太郎の設定が・・・別に悪いだとか変だとか言うつもりはございませんが、これに違和感も感じる事なく素直に読める時代が来ているのだなぁと感じました。紹介されたのが現役女子高生という非労働者だったのも大きい、すでに就労前の世代が現代の雇用・就労状況を既にスタンダードとして受け入れている事に驚きを覚えました。現代社会の若者を描く上でもはや切って切り離せない社会背景になっているという事でしょうか・・・