『ワールズ・エンド』 ポール・セロー著 村上 春樹訳 | ほんとなかよし

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雨のロンドン、酷暑のプエルト・リコ…世界のどんづまりで戸惑う人々の悲喜劇―アメリカ文学界の異才ポール・セローの奇妙で痛快、尋常ならざるエネルギーに満ちた短編集。ライブラリーのために改訳。


内容「BOOK」データベースより


「ワールズ・エンド」は村上訳の本では初期に位置する作品、文庫化に際して改訳版となった。翻訳本の良さは時代の言葉を使って出版される事で準古典・古典文学が現代作品と間違えるかのようなリアルタイムな息吹が感じられる所だ。僕が海外の準古典・古典作品が好きな理由もそういった理由からである。さて「ワールズ・エンド」はどんな作品だろうか?僕が受けた印象は「孤独」や「孤立」の単語が最適だ。ある短編では社会や仕事といった現実的なものからの孤立が描かれていたり、またある短編では愛や絆といった抽象的なものから「孤独」になったりする。短編集であるが、その全作品に共通するテーマが存在しているように思う。しかしそのテーマが何なのかを定かにする事は難しいと思う。村上作品に多いメタファー系の作品は読者の数だけの感想が生まれると思う。僕は「孤独」や「孤立」を感じ取ったんだけど読み方によっては「荒廃」や「退廃」、それ以上の「無常」や「不毛」なんて印象を受ける事も出来ると思う。短編の中の「真っ白な嘘」や「ワールズ・エンド」などを読むと愛の教訓のようなものを感じかもしれない。全ての短編の舞台が、登場人物の故郷から遠く離れた(それは精神的な意味でも)場所が舞台となっており、それが原因で感じる不安や焦燥感が伝わってくるのもこの作品の魅力である。「楽しい旅行だったらよかったのにと思うわ。」の台詞はこの一冊だからこそ生きてくる恐怖の台詞だと言えます。最後に、僕がこの本でニヤリと楽しめた点を2箇所ばかり紹介したいと思います。短編「あるレディーの肖像」で主人公がある女性と会話するシーンで彼女が自身の秘密を打ち明ける(淡々と言うのだが・・・)そのシーンが村上春樹「海辺のカフカ」のあるシーンとリンクしているようで面白く感じた。もう一箇所は、著者ポール・セローが登場人物を通してヘミングウェイに関して記述している場面、ヘミングウェイの食事醜態を非難する人物にたいして「彼の本を読んだことある?」と主人公が返すシーンなのだが実に滑稽である。ヘミングウェイと言えば代表作「武器よさらば」が有名すぎるが、かの作品が全編通じて食事の場面が描かれているのである・・・一見してヘミングウェイ非難を書いている様に見えるが「読んだことある?」の一言で主人公(著者代弁者)が一目置いている事が見てとれるのである。実際に非難している男は本を読んでいない点も裏付けているように思う。皮肉屋なりの本の紹介の仕方なのだろうか?「ワールズ・エンド」それは世界の果てに行った者達の喜怒哀楽の物語。