今日は「都高教大会」という会合に出席するため、九段下の日本教育会館という所まで出かけていました。都高教というのは、東京都高等学校教職員組合の略。これをご存知なくても、日本教職員組合の日教組なら耳にしたことありませんか?要するに、都高教は日教組の下部組織で、その下に支部があって、末端が各職場の分会という組織になってるわけだ。今日はその都高教の、年に一度の総会みたいな日で、私はなぜか代議員として出席したわけだ。「なぜか」っていうのは、本当に「なぜか」(笑)。いつの間にかって言い換えてもいい(笑)。

 

 私は現在、職場の分会長という立場にいます。これ普通は選挙で選ばれるから、立候補者がいてマニフェスト(公約)を発表して、投票でいちばん得票数の多かった人が就任するはずなんだけど、近年はそもそも組合員の数が大幅に減ってきて、分会長とかの成りてもいないから、うちの職場では苦し紛れみたいな方法で選出されます。立候補もマニフェストも何もない状態で、単に「適任と思う人の名前を書け」みたいな投票用紙だけが配られて、最多得票を集めたら有無を言わさず就任決定(汗)。50人くらいいる職場だけど、組合員は15人くらいしかいないから、かなりの高確率で名前を書かれちゃうし、中でも私みたいな年長者だと、以前に分会長や本部委員を務めてた経歴が知れ渡ってるから、押し付けるには絶好のターゲットだ(笑)。まあ、私に限っては超絶プラス思考の持ち主なので、「そうかそうか、私はそんなに人望が厚いのか」と解釈するし(笑)、選ばれたからには責任は果たそうということで、今日も幽霊委員にならないように、ちゃんと都心まで行ってきたわけです。

 

 さて会場は、なんと8階の会議室。5~6年前に出席した時は下のホールだったのに、組合員数が減って代議員数も減ったからなんだろうな。会議室でさえも空席だらけで、全体の雰囲気も静かで落ち着いた印象でした。その昔、1990年代くらいまでは、人数の多さに加えて派閥抗争が凄かったので、ステージ上で執行役員どうしが怒鳴り合ってる光景が普通だったな(笑)。その後、一方の派閥がほぼ消滅しちゃったために、今は一党独裁みたいな感じになってます。でも運動方針案や大会宣言の中味は、まったく変わり映えしない。

 

 私が高校の教員になった1990年当時、組合組織率はほぼ100%で、組合に入らないという人は余程の変わり者か、バリバリの上昇志向の持ち主か、国粋主義者みたいな人だけでした。その頃は、組合活動が目に見える成果を上げていたことや、都立高校の先生だけが享受できていた「研修日」という、あまりにも美味し過ぎる(笑)制度を守るために一致団結してた面もあったのかな。研修日なんてものが無い小中学校の組合の方が先に崩壊していったし、高校も完全週休2日になって研修日が無くなったから崩壊が始まったように思えてならない。そう、組合は崩壊し始め、今や絶滅危惧種になりつつあるのです。

 

 ここから先は、かなりの爆弾発言になりますので、もしかしたら私は組合幹部や一部の活動家から狙われるかもしれません(笑)。では投下開始だ。

 そもそも絶滅危惧種って、なぜ絶滅の危機に瀕するのでしょうか?生物界で言えば環境に適応できなくなるからだよな。人間界に於いても、周囲が変化しているのに自分が変われないとか、自分は常に良いことをやっているのに、周囲が理解してくれない、なんて独りよがりな考えを持っているから絶滅に向かうわけだ。今日、各分会を代表して来ている代議員の皆さんに、その自覚はあるのだろうか。若い人が組合に入りたがらず、ベテランからも脱退者が出る原因は、今日の大会の中にも転がっていました。

 

 まず発言者には、1人3分とか5分とかの時間が割り当てられていて、そろそろ終わりが近いですよという合図で鐘1つ、もう終わりですという合図が鐘2つです。なのに、鐘2つ鳴ったのに全然やめず、議長から「まとめてください!」と促されるも、それでも発言続行した人が複数いました。

はっきり言って神経疑います。彼らがそれぞれの学校での職員会議でも執拗に発言を繰り返し、司会が制しても発言を続けたり、相手の言葉尻を捉えて言い負かすことに命を賭け、それで自分こそ正義の味方と思い込んでるであろうことは容易に想像つきます。そして彼らは各職場で組合のリーダーでしょうから、若手教員は「組合って、ああいう人の集まりなのか」とか「ああいう人と一緒にされたくない」って思うでしょう。

 

 私は今の職場ではマニフェスト無しでリーダーにさせられましたが、もしもマニフェストを発表していたら当選しなかったと思います(笑)。だいぶ昔、1999年に本部委員を務めた時に、私が発表したマニフェストには「ストライキ反対」を明記しました。ストに突入した場合も、タイムカードを通さず授業は普通に行うことを提案したわけだけど、不思議とバッシングされなかったな。翌年に別の職場で同じことを言ったら、「だったら直井さんには組合を辞めてもらうしかない!」って強い口調で言われたし、たぶん全都的にはそっちの考え方の方が主流だった気はする。でも、その直後にいろんな先生が私のところに来て、「よくぞ言ってくれた」の大合唱だったから、みんな心の底ではストライキに後ろめたさを感じてたんだろうな。っていうか、そもそも先生のストは違法ですので。

 もう一つ重要なことを言います。入学式卒業式における国旗国歌に反対することに私は反対です。これも1999年度ラストの卒業式直前、組合本部委員であった私が「国歌斉唱時に起立しないとか退席する等、式の進行を混乱させる行動は、卒業生や3学年担任団の気持ちに配慮して謹んでほしい」と発言したら、大多数の先生方は「ホッとした」とか言ってくださいました。お1人だけ猛然と抗議に来られた方がいらっしゃいましたが、その方もその後は校長になられたので、あの時の私の気持ちを理解していただけたことでしょう。

 国旗国歌問題は、かつては日本中どこでも、延々と職員会議を長引かせる不毛な応酬が繰り広げられていました。掲揚や斉唱に反対する理由は、日の丸や君が代を国旗国歌とする根拠が無いってことでした。であるならば、99年8月に国旗国歌法が成立した時点でこの問題は終了しています。法治国家である以上、法的に認められたものを、法的拘束力がある学習指導要領通りに行うのは当たり前で、どうしても気に入らないなら、政権交代させて法律を変えさせるのが筋だし、我々ふだん生徒にはそういう風に指導してるよな。違法ストで授業すっぽかしておきながら、校則守れとかどの口が言うとんじゃぁぁっ!って感じ。

 今回の運動方針案にも、日の丸君が代反対や、憲法改悪反対などが列挙されています。労働条件の改善や、パワハラや不当な圧力から弱い立場の労働者を守るという点なら協力できるけど、イデオロギー闘争には付き合いきれねぇよ、っていうのが組合離れの最大の要因だと思います。こんな所に愚痴を書くヒマがあったら、今日発言してくりゃ良かったじゃんて思われるかもだけど、言ったらたぶん私が追い出されるだけだな。でも、職場では普通に言ってます。トップの考えををいきなり変えるのは無理で、変えるにはまず末端からなのだ。とか言う自分が一番偏った考えに凝り固まってる可能性もあるから、老害だと思ったら指摘してください(笑)。