給特法→「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」という、非常に長い名前の法律の略称です。別名「定額働かせ放題」と揶揄される制度で、これが50年ぶりに改訂されることが話題になっているので、最近耳にされた方も多いでしょう。

 極く簡単に説明すると、我々教員の給料は、他の公務員と比べて4%高く設定されていて、これが今度から10%に上がるんだって。 これだけ聞いたら、「スゲェ~、俺も先生になりてぇ~!」って思うだろう。実際、そこを狙っての引き上げなんだけど、もう少し説明続行します。4%増しにしてくれるのは、実は残業代が一切出ないからなのであって、逆に言えば一律4%の残業代を保証してるんだから、しっかり残業してよね、とも受け取れます。4%は時間に換算すれば1日20分程度なので、毎朝8:10に出勤する人や、毎夕17:20に退勤する人だけならピッタリなんだけど、それ以上に超過勤務しても一律4%なもんだから、定額働かせ放題って言われちゃうんだよな。これが10%に増額された場合、1日あたり50分くらいになるから、17:50までは働けよってことかな。

 実際のところはどうなんでしょう。最近の私の場合を例に取ると、朝の出勤時刻はほぼ毎日7:30で、退勤時刻は、部活がある日だと18:40位だから、超過勤務は約2時間40分。部活が無くても、放課後に真面目に教材研究とかやってたら、すぐに1時間や2時間の超勤になっちゃうもので、10%でも不足なのは間違いない。

 しかし、この「真面目に教材研究」っていうのが業界特有のグレーゾーンで、これ、全くやらない先生も少なからず存在します。部活も教材研究も、良心的な先生だけがやるものであって、そんなの一切やらねぇよって定時帰宅しちゃうことは、 ハッキリ言って可能なのだ。逆に、分かり易い授業をやるために遅くまで頑張ってる先生は、「好きでやってるんでしょ?」と見なされちゃうのがこの業界です(泣)。

 というわけなので、給特法の何が問題かと言うと、良心的で超勤しまくってる先生には10%でも全然不足で、最低限の仕事しかしねぇよっていう先生は4%でも貰い過ぎ。私の正直な気持ちとしては、4%もやめちゃって、給特法そのものを廃止したらいいと思います。代わりに担任手当てと、部活手当てを充実させたらいいんじゃなかろうか。


 私の初任は中学校でしたが、毎晩遅くまで、だいたい21時近くまで職員室で仕事してる先生が5~6人いました。その仕事内容は、ほぼ毎日発行する学級便りを書くのが主だったので、必ずやらなきゃいけない仕事ではないから、まあ「好きでやってる」と言えなくもない。非常にドライな考え方をする先輩教師が「忙しい忙しいって言ってる教員はね、自分で自分を忙しくしてるんだよ」と言ってました。半分は当たってる気がする。

 でも、否応なしに残業せざるを得ない場面があるのも事実だ。クラスの生徒に何か問題が起きて、夕方に保護者と面談するだとか、職員会議が伸びまくったとか。あとは部活だ。勤務時間終了の17:00までに全生徒を下校させるなんて、まあ現実的じゃないよな。公式戦は普通に土日に組まれるし。こういうキツい業務にあたってくれた先生に、きちんと報いる形の手当を考えてほしいです。


 最後に、私の7:30出勤について補足すると、これは単に電車が空いてるから1時間早く行くだけで、その1時間は、コーヒー飲みながら将棋ウォーズやったり、ピアノ弾いたりしてるので、超勤手当は要りません(笑)