なほの読書記録

なほの読書記録

I'm really glad to have met you.


「このミステリーがすごい! 2026年版」(宝島社) 国内編1位!


「週刊文春ミステリーベスト10 2025」国内部門(週刊文春2025年12月11日号) 1位!


「ミステリが読みたい! 2026年版」(ハヤカワミステリマガジン 2026年1月号)国内篇1位!

山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見されたことを発端に、捜査が繰り広げられていく警察小説。

主人公は、ハードボイルドな一面とキザでお茶目な一面をあわせもつ、J県警媛上警察署捜査係長(警部補)の日野雪彦。


【雑感】

伏線は至る所に張り巡らされ、ミステリーとして楽しめました。


後半の「7月4日 死んでいた男」の章で、犯人の自白により呆気なく謎が一気に解き明かされる展開が唐突に感じられたあたりから、ミスリードとどんでん返しを確信できました。


書店員さんや書評家、作家の方々などの評価が高く、ミステリファンが求める作品との感想が多く見られましたが、登場人物たちのキザでくさいセリフが安っぽく感じ、興を削がれてしまいました。


【印象に残ったフレーズ】

「ブールバード」のマスターと日野との会話

「今日は月がみえたかい?」

「みてないな。すっかり欠けたのかもしれない」
「欠けきったら、あとは満ちてくだけさ」

「そしてまた欠ける」

「そりゃそうだ。満たされてばかりの人生はないし、ただ失うだけの人生もない」(P238)


《「失われた貌」櫻田智也 著 新潮社 刊より一部抜粋》