第77回読売文学賞・小説賞受賞作品で、独特な世界観の物語。
2014年『春の庭』で芥川賞。24年『続きと始まり』で谷崎潤一郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞された作家さん。
【目次】
帰れない探偵 急な坂の街で
知らない街のように 急な坂の街で2
雨に歌えば 傘を差さない町で
探す人たちは探しものを見つける 夜にならない夏の街で
空の上の宇宙 太陽と砂の街で
夢には入れない 雨季の始まりの暑い街で
歌い続けよう あの街の空港で
【あらすじ】
主人公の「わたし」は「世界探偵委員会連盟」で探偵の仕事を学んだ後、研修期間を経てフリーの探偵となった。
連盟の恩師の紹介で住み始めた街に事務所を借りて仕事を始めたが、突然事務所兼自宅へ続く路地が見つからず、事務所兼自宅に帰ることが出来なくなった。事務所は消えてしまっていた。
その「わたし」が「世界探偵委員会連盟」から探偵の依頼を受け、連盟から支給された偽のパスポートを使って世界各国で仕事をこなしながら、帰る場所を探すという不思議なストーリー。
「わたし」は坂道の多い港町から、雨が降っても誰も傘をささない町、初夏は遅くまで夜にならない国、超高層タワーがそびえる砂漠の国、経済発展めざましい熱帯の国へと彷徨い、仮住まいの放浪探偵生活を送る。
探偵教育を受けるため、十年前に離れた生まれ育った国は災害を機に統治体制を変え、世界に対し自ら閉じることを選んだため、帰ることはできないと諦めていたが......。
【感想】
「今から十年くらいあとの話」から始まる7つの物語は、未来の話のはずなのになぜか過去形で、謎めいていました。
また、世界の中のどこの国を訪れているのかも明かされず、ファンタジーが苦手な私にとっては、情景を捉えにくかったです。
主人公の「わたし」が道に迷っていると同時に、読んでいる私自身も頭の中が道に迷っている感覚になってしまいました。
新聞の書評ではとても好評でしたので興味をもち読んでみましたが、私の好みには合いませんでした。
