>オリジナルフルアルバム

>タイトル:哀愁演劇

>アーティスト:indigo la End

>リリース日:2023年 10月 25日

>記事作成日:2024年 2月 15日






聴きました!


非常に多作な川谷絵音さん率いるバンドの、最新作。

今回も凄く良かったんだ。で、ぼくは今サブスクアプリで聴いてる訳ですが…フィジカルの初回盤(?)にはライブDVDが付属しているとの事。これは、フィジカルに手を出すべきよな…?

ちなみに、タワレコかどこかの早期予約盤には、未収録曲を収録したCDがもう一枚付属していたとな…今更言われても!(笑)。




『カンナ』

最初、ちょっと混乱した。混乱する程、絵音さんの歌声が、普段と違う感じがした。声が、太く聴こえたんですよね。1B辺りで、音が上がっていったところで、確かに絵音さんらしい声の特徴が感じられてので、そこで「間違ってなかった、これindigo la Endの作品だ」と確信(笑)。

非常に滑らかで、艶めいたメロディが特徴的。音の感触も、黒光りしてる感じ。濡れてる。濡れてて、いい。


『名前は片想い』

一転、えらくユーモラスなアレンジの曲。イントロの感じとか。あまり、これまでのこのバンドには感じられなかった方向性。“感傷的な青春”から“オトナの艶めき”に進んで行ったと感じているので、無邪気なユーモアをあまり感じる事が無かったんですよね。いや勿論、絵音さんを筆頭に、“無邪気”な訳がないですけど(笑)。無邪気に感じられるアレンジ。


『忘れっぽいんだ』

再び、上質な滑らかさとビロードのような艶感を感じさせるアダルティな曲へ。

落ち着いたBPMと、程良い重厚感のあるアレンジ。重苦しくはないんだけど、重心が低い感じが良い。聴き応え充分。


『芝居』

こちらもBPM的には落ち着いているんだけれども、メロディラインがアグレッシブなのでとてもアクティブな印象を受けます。

まろみのあるエレピの音と、切れ味の良いギターの音とのコントラストが良い。“外はカラッと、中はもちっと”みたいな、反する2つの要素が絶妙なバランスで共存しているのが本当に好き。


『愉楽』

これまた…ユーモラスというかなんというか。演奏とアレンジメントの部分で、今回の作品は凄く青春してるなぁと思いました(笑)。このバンドは、早い時期からやたらと老成していた印象があって。最初から完成されていたというか。それが、完成度の高さは維持しながら、もうちょっとシンプルに“作ってて楽しい”とか“演奏してて面白い”みたいな感覚に重きを置いたアレンジになってきた気がしていて(完全に憶測です)。そんなの、ただの青春じゃないですか。青春、最高。


『瞳のアドリブ』

動的な曲。リズム隊は快活に、ギターは攻撃的に。こんなに線が細くて繊細なのに、一方でこんなに豪胆…こんなギター、あり得るのね。

歌も良い。表面的には相変わらずクールなんだけど、なんかテンション高く聴こえる(気のせいかもだけど)。


『そのままの冷たさで』

タイトルが興味深い。「そのままの冷たさ“の、ままでいて”」っていう意味なら、なんとドMな主人公なのか…と思ったけど、もちろんそんな浅いところの話ではなかった(笑)。

一方で、まだ、この曲が(タイトルに限らず)何を言わんとしているのかが分からない部分が大きいので、繰り返し聴いて咀嚼したい。

小気味の良いアップテンポなオケは、分かりやすくて好き。


『暗愚』

冒頭のドラムスを筆頭に、とにかくどの音もシャープで鮮やか。サウンドだけを聴くと快活で爽やかな感じもありつつ、でもボーカルが重なるとやっぱりウェッティで、その感じがいい。“どれかひとつ”に寄らない、多面的な曲。


『ヴァイオレット』

エレピが濡れてる。リズム隊がしっとりしてる。何とも情感豊かな、歌謡曲のようなテイストのミドルチューン。

本作の中でも、歌モノ感が特に強い。メロディがしっかりしているというか、もはやこってりしているというか。インパクトはありつつもあくまでクールでさらりとしたメロディを書く事が多い気がする絵音さんだけど、この曲はちょっとエモさが強く出てる。


『ラブ feat. pH1』

韓国のラッパーさんをフィーチャーして。まぁ、クレジット上はラッパーさんのみですが、コーラスとかにも物凄く聴き覚えのある声が…おそらくDADARAYのREISさんですよね(クレジット確認できてないんですが)。

アレンジがとても弾けている。お馴染みのクールさはありつつ、でも一方で物凄くグルーヴィ。


『春は溶けて』

小気味の良いテンポ感で。程よく動的でありつつ、でも疲れてしまうような激しさはない。そういう、絶妙なテンポ感。

バンドの音も立体的ではありつつ、この曲はストリングスのさりげない存在感が良い。全面でゴリゴリ囲んでくる感じではないんだけど、要所要所でインパクトを残していく。


『パロディ』

サウンドが、クールにパッショナブル。一方で、ボーカル(メロディライン)には動きもあって。だから、フルボディのワインなのにフルーティで爽やかな香りも楽しめるような、不思議な感覚。

………なーんて、知りもしないワインで例えてみたくなる程に、洒脱な曲(笑)。


『邦画』

これはもう、ツインボーカルなんじゃないの?…っていうくらい、コーラスが強い。これ、多分REISさんですよね? 凄くDADARAY感。

洋画とか洋楽って、言葉が分からない分、雰囲気に酔える感じがありますよね。感情が昂っている時は、日本語だと“刺さり過ぎる”事があって、そういう時には洋画とか洋楽のほうがちょうど良かったり。この歌詞が直接的にそういう事を言ってる訳ではないと思うんだけど、ぼくにはそう解釈出来ました。


『Gross』

冒頭のギターの感じからは、まるで奥田民生さんのようなヤンチャなロックンロール感が香ってくる。一方で、ベースを中心に、リズム隊はあくまで重厚感を漂わせるオトナなカホリ。

今回のアルバムの中で、一番奔放な曲というのは、間違いないかと思います。


『プルシュカ』

音数は決して多くないのに、アレンジのインパクトは特大の曲。何でしょうね、このオシャレな感じは…しゃらくせぇ(笑)。はい、それはもう間違いなくぼくの僻みです、暴言失礼しました。なんでこんなにオシャレな音楽を生み出せるの?

という事で、(歌詞の内容は別として)小洒落たバーのカウンターで華やかなカクテルを傾けながら小粋なトークに花を咲かせながら聴きたい曲(笑)。




そんな、計15曲。


ほんと、しゃらくせぇ程にオシャレ(笑)。

このバンドのデビュー当時、「え、バンド2つ(=ゲス乙女)かけもってんの⁉︎すげぇ!!」と思ったものだけど…今となっては、2つどころかもう無数にって感じですよね。

近年思うのは、色々とかけもってるからこそ、一つ一つのバンドやユニットのカラーが明確化してきたのかな?って。インディゴ&ゲスの2バンド体制の頃よりも、最近のほうが、各プロジェクトのイメージがクッキリハッキリしている印象があります。

で、このバンドはというと…しゃらくせぇ程に、いけすかねぇ程にオシャレ(笑)。骨太なバンドサウンドが艶かしい歌詞世界の“劇伴”をするもんだから、昭和のVシネマのようにアーティスティックなエロティシズムを感じさせるのです。






お気に入りは、

#01 『カンナ』

#03 『忘れっぽいんだ』

#05 『愉楽』

#09 『ヴァイオレット』

#10 『ラブ feat.pH1』

#14 『Gross』

#15 『プルシュカ』






この作品が好きなら、

・『NEW GRAVITY』/Nulbarich

・『YONA YONA WEEKENDERS』/YONA YONA WEEKENDERS

・『between the night』/HANCE

などもいかがでしょうか。






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