>カバーアルバム
>タイトル:スナックJUJU〜夜のRequset〜『帰ってきたママ』
>アーティスト:JUJU
>リリース日:2023年 11月 1日
>記事作成日:2023年 12月︎ 14日
聴きました!
JUJUさんによるカバーアルバムの、最新作。
この方のカバーには、ざっくり分けると“邦楽系統” “洋楽系統(といっても一作のみですが)” “ジャズ系統” “歌謡曲系統”とありますが、今回は“歌謡曲系統”の第二弾ですね。
各曲ごとに、錚々たるメンバーがプロデュースをしている。小林武史、亀田誠治、武部聡志、蔦谷好位置、島田昌典、などなどなどなど…。すげぇなホント。ぼくは、何といっても小林武史P楽曲目当てでチェックさせてもらいました!
『あゝ無情』
プロデュースは蔦谷好位置さん。オリジナルはアン・ルイスさん。
歌謡曲時代の、なんちゅーかシャリシャリした音が再現されててびっくり。シンセの音が、あの時代特有のシャリシャリ感。これ、意図的に音質を寄せてますよね…? ギターの独特のヴィンテージ感も含めて、音質が物凄い「懐かしい」。
『異邦人』
プロデュースは島田昌典さん。オリジナルは久保田早紀さん。
原曲が大好きなんですよ。イントロ、間奏、バース部分はミステリアスでマイナー調で。でもサビで一気に爽快に広がる。どんより雨の空が、急に晴れ渡るような。その、ぼくの好きな部分が、しなやかなボーカルと重厚なオケによって強調されていて、ものすごく聴き応えがあった。屈強なオリジナルにケンカ売って、無事勝った感じ(笑)。
『魅せられて』
プロデュースは、お目当ての小林武史! オリジナルは、ジュディ・オングさん。
「やってくれたな小林武史」が率直な感想(笑)。
最初に聴いた時、「小林Pが、オリジナルのアレンジをこんなに“残した”事にびっくり」みたいに思ったんです。“再解釈”みたいなアプローチが多い小林Pにあって、この曲は“再現”のニュアンスが強いように感じて。そんな感じで聴いてたら、終盤で、思いもよらない大展開。最近の小林武史ではなく、“Bradberry Orchestraの小林武史”の片鱗を思わせる、大胆なアレンジ。ニヤッとしちゃった。
『飾りじゃないのよ涙は』
プロデュースは亀田誠治さん。オリジナルは明菜ちゃん。小林武史からの亀田誠治、ぼく得過ぎる流れ。Bank Bandリレー。
ビッグバンド風の、ゴージャスなアレンジ。そして、ピアノがセクシー。全体的に、昭和のキャバレーみたいな、華やかさと妖艶さを感じました(いや、昭和のキャバレーなど行った事ないけどね 笑)。
もちろん、JUJUさんの歌声も素晴らしいんだけど…こういう作品を聴くことで、明菜ちゃんの歌の上手さに気付く。昭和の音楽を紹介するような番組で聴いたりする事くらいしかなかったけど、物凄く腹から声が出てたんだなぁと分かる。アイドルなのに、歌声が“厚い”。なんなら“ゴツい”。ちなみに、JUJUさんの歌声は、しなやかでグラマラスで、オリジナルとは全然違う方向に素晴らしい。
『ダンシング・オールナイト』
プロデュースは川口大輔さん。オリジナルはもんた&ブラザーズ。
もんたよしのりさん、つい最近お亡くなりになりましたね。そのせいで、これまた妖艶なこの曲がやたら切なく聴こえてくる…。
ぶん殴られるように耳から入ってくるオリジナルに対して、こちらは包み込まれるような感触。
『じれったい』
プロデュースは松浦晃久さん。オリジナルは安全地帯。
デジタルな質感のビートが新鮮。“古き良き”の感じとトレンドを押さえた今風の音との融合。
ちなみに、この曲はオリジナルを存じ上げませんで、だからJUJUさんのオリジナルみたいに聴きました。
『メモリーグラス』
プロデュースは再び川口大輔さん。オリジナルは堀江淳さん。
最初、音を聴く前にタイトルだけ見て、「この曲も多分知らないヤツだ」って思ってたんだけど…知ってた! 「水割りを下さい」というフレーズが異様にインパクトが強い曲。そっかぁ、この曲『メモリーグラス』っていうタイトルだったんだ。
これぞジャズって感じのジャズアレンジ。歌詞のストーリーテリングを、歌声だけでなく音でも完全再現している。
『酔っ払っちゃった』
プロデュースは松浦晃久さん。オリジナルは内海美幸さん。
しっとりとしたジャジーなアレンジの前曲から一転して、ラテンのノリのアクティブな曲。
この曲も、オリジナルは聴いた事がなかったんですが…Bメロのメロディライン、めっちゃ好きだわ。凄く“コッテリ”している。演歌みたいな…一度聴いたら頭から離れなくなる。
『ドラマティック・レイン』
プロデュースは武部聡志さん。オリジナルは稲垣潤一さん。
なんかちょっと、トレンディな匂いがする(笑)。“歌謡曲”よりはあとの、だけど“J-POP”よりは前のあの時代の匂い。と思って検索してみたら、やはり、80年代の曲だった。筒美京平さん作曲。
このアルバムの中でも割とさらりと聴ける感じの、良い具合に“ライトボディ”な曲。
『たそがれマイ・ラブ』
引き続き武部聡志プロデュース。オリジナルは大橋純子さん。
曲タイトルにも見覚えがないし、オリジナルのアーティストさんのお名前も存じ上げず…でも、曲は何となく聴いた事がある(親の趣味じゃないので、家で流れてたとかでもないと思う)。この時代の曲って、“浸透率”がえげつないよなぁ。
ボーカルは、テクニカルではあるけど“クセ”みたいなものがなくて、言われなきゃJUJUさんだと気付かないかもしれない。
『別れても好きな人』
再度、亀師匠プロデュース。オリジナルはロス・インディオス&シルビア。
イントロから既に好き(笑)。本編ももちろん好き。前曲は、「ボーカルに“クセ”がないからJUJUさんと気付かない」と書いたけど…この曲は、歌い方のみならず声の質も含めて、普段のJUJUさんと全く違うので、そういう意味でJUJUさんと気付かないかも。えっこれ、ほんとにJUJUさんの声なの⁉︎(笑)。どちらかといえば、線が細くてウィスパーボイスに近い歌い方。なんだこれ、面白い。
『プレイバック Part2』
三度登場の亀師匠! オリジナルは百恵ちゃん! 親の影響で百恵ちゃんはソラで歌える程なので、選曲が嬉しい。
オリジナルとはまた全然違う方向に、ロック。オリジナルもかなりロックの要素があるけど、この曲にもロックンロールがたぎっている。
特に1A、百恵ちゃんによく似ていると思う。なんかゾクっとした。
曲自体にあるハードボイルドな雰囲気が、よく再現されていると思います。
『いとしのエリー』
最初にクレジットを見た時、思わず二度見しました。サザンの名曲を、原曲でもプロデュースしている小林Pが手掛けとる! こんな日が来るんですねぇ。これを実現させたJUJUさん、すげぇな(いつか、ミスチルの名曲も小林Pでお願いしやす!!)。
これだけの名曲だし、サザン桑田さんの歌声はあまりにも独特だから、この曲のカバーって下手すると「なんか違う」「これじゃない」になりがちな気がするんだけど…意外と(?)そんな事もなく。“別モノ”として、良かった。きっと、小林Pだからこそ適切な着地点に誘導できたんだろうな。
『なごり雪』
プロデュースは松浦晃久さん。オリジナルはイルカさん。
オリジナルが大好きなんですが…ボーカルにしろアレンジにしろ、オリジナルの中のぼくが好きな部分を、うまく残してくれてて嬉しかった。アレンジはオリジナリティがあるんだけど、歌詞とメロが紡ぐストーリーを過剰演出する事がなく、でもちゃんとドラマチックに盛り上げている。センチメンタルなんだけどあくまで淡々と展開する世界観が、うまく再現されていたと思います。
『時の流れに身をまかせ』
〆は亀師匠で。オリジナルはお嬢。
オリジナルには、ちょっと近寄りがたいくらいのオーラというか、圧倒的なスケール感があるけれども…今回のこちらのバージョンには、良い意味で俗世感というか、カジュアルで気さくな雰囲気があって。ぼくはこちらのほうが好きですね。フランクに聴ける。フランクに聴けるからこそ、自分の日常の景色に重ね合わせられる。オリジナルがホテルのディナーだとしたら、こちらは近所の肉屋さんの揚げたてコロッケのような旨さ(笑)。
そんな、計15曲。
なかなかに良かったです。
歌謡曲をリアタイしてない世代のぼくにとっては、かなり嬉しい作品。メロディとか、歌詞とか…今のシーンにはなかなか無いタイプのものが多くて歌謡曲というジャンルに興味はあるんだけど、いかんせん音が古めかしかったりアレンジに時代感があり過ぎて入り込めなかったり…という事が多くて。それが、今風の音とアレンジになって再構築されている事で、メロや歌詞の良さをストレートに楽しむ事が出来るんですよね。
ちょっと、自分がオトナになった気分にもなれるしね(笑)。
お気に入りは、
#01 『あゝ無情』
#02 『異邦人』
#03 『魅せられて』
#12 『プレイバック Part2』
#13 『いとしのエリー』
#14 『なごり雪』
#15 『時の流れに身をまかせ』
この作品が好きなら、
・『歌窈曲』/一青窈
・『あの歌-1-』/上白石萌音
・『唄ひ手冥利〜其の一〜』/椎名林檎
などもいかがでしょうか。
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