>オリジナルフルアルバム

>タイトル:Crop

>アーティスト:オレンジスパイニクラブ

>リリース日:2023年 9月 20日

>記事作成日:2023年 11月 16日






聴きました!


去年?の“ロッキン予習シリーズ”で初めて聴いて、結構好きだったので。新作もチェック。

2年ぶりにリリースされる、2nd.アルバムだそうです。13曲入りで、既発曲と新曲が半々くらいとの事(ぼくはシングルまでは追っかけてないので、ALL新曲として楽しみましたが)。




『ルージュ』

洒脱なミドルポップチューン。BPM的には落ち着いてるんだけど、ボーカルラインと各楽器(特にベース)が動的で。そこにスクラッチも重なったりするもんだから、トータルで言うと、結構アクティブに聴こえる曲。

肩肘張ってないというか、ゴリッとしてないというか…あくまで小ざっぱりとしたアレンジもGood。


『君のいる方へ』

こちらはアップテンポ。こっちに関しては、BPMも含めて全体的に分かりやすくアッパー。ボーカルのテンションだけは飄々としていて、そのギャップが面白くもあるんだけど。

00年代くらいの、青春パンクとラップカルチャーが融合したラップロックのテイストが強い。音は、あの頃のトレンドよりもスタイリッシュさを優先した感じだけど。


『タイムトラベルメロン』

ボーカルのメロディラインが、サビ/バース 問わず、どこをどう切り取ってもキャッチー。例えばラジオからこの曲が流れてきて、「こーゆーの苦手」なんて思う人は皆無なんじゃなかろうか。

程よくヤンチャで、ほんのり哀愁。


『no reason』

センチメンタル、2割増。サウンドには引き続き厚みがあって、譜割的にも文字数多め(ラップ的)な感じなんだけど…でも、“勢い”とか“奔放さ”とかっていうよりは、感傷のほうが強い。それは「あんまり上手くいかねぇなぁ」っていう現在進行形のモヤモヤを主成分とした切なさかもしれないし、「あの頃は良かったなぁ」っていう過去を振り返る切なさかもしれない。どのタイプのセンチメンタルにもフィットする、サウンド。


『Crop』

表題曲。

あくまでも、力まない。肩肘を張らない。演奏はエネルギッシュだし、アレンジにもメロディにも歌詞にも盛り盛りにアイデアが詰め込まれてる感じがする。でも、アイデアが渋滞してる感じはなく、あくまでさらりと聴けちゃう曲。

晴れた秋の日の散歩のBGMにも合うし、でも「大切な人を想って」みたいな暑苦しい聴き方にだって充分応えてくれる。


『ハルによろしく』

感傷が、特にぎっしり詰まっている。

イメージだけで言うと…失恋した日に、活気のある古い商店街をとぼとぼと歩きながら聴きたい(笑)。周囲の喧騒に包まれて、ひとりぼっちの自分を実感したい。本当に辛い事があると、“悲しい”っていうよりも“無”って感じになるじゃないですか…あの感じに、よく似合う曲だと思う。音が優しいから、メロがあったかいから、歌詞から“生活臭”がするから…だからこその。

圧倒的にあったかいのに、鋭利。そんなミドルバラード。


『ピンクフラミンゴ』

良かった…もしも前曲に続いてこの曲もセンチメンタルだったら、さすがに泣いちゃってたかも(笑)。程よく跳ねてて、程よくユーモラスな曲。

アコギのストロークが軽快で、リズム隊が人懐っこくて、ギターがいい感じにトボけてる。そんなポップチューン。


『さなぎ』

スケール感のある曲。ここまでの曲も自由で奔放だったけど、この曲はちょっとだけそういうのとは違う印象を受けました。凪いだ海の水平線を眺めるような、そういうスケール感(歌詞がそういう事だって訳ではないです)。

時間を持て余した秋の夜長に聴いたら、なんか新しい考えが浮かびそう。


『洒落』

ドカドカ、バコバコ。本作中で、ダントツでヤンチャな音。バンドって、基本的には“調和”で成り立つ気がするんだけど、この曲は“自己主張”で成り立っているように聴こえる(笑)。「俺のベースを聴け」「俺のドラムを浴びろ」「俺のギターを喰らえ」…そんな感じ。聴いてるとウキウキしてきちゃう。


『パピコ』

めっちゃウマそうな毒キノコみたいな曲(笑)。曲タイトルも、アレンジ的な面でも、非常にキャッチーでポップ。でも、ちゃんと歌詞を追いながら聴くと、かなり“痛み”を伴う失恋ソング。いや“失恋”って言葉も軽く感じるな…生きる目的を失った人の歌。ぼくにはそう聴こえました。

「目的にさえなれないなら手段でもいい、そばにいて」…尋常じゃない(笑)。


『レイジーモーニング』

前曲の歌詞がシリアス過ぎて…この曲の軽やかさに救われる。

ひとつの音符に乗っかる文字の数が、かなり多め。でも、ラップ的な事ではなくてあくまでもメロディアス。うん、非常にメロディアス。今回のアルバムの中でも屈指の“歌モノ”だと思っています。

凄く、生活の匂いがする曲。どこぞの大学生の日常を覗き見ているようですらある。


『9分間』

“直球”なポップチューン。ぼくはSaucy DogやThe shes goneなどのバンドも好きなんですが、その辺りを彷彿とさせるような、とにかくキャッチーな曲。人懐っこいメロディに、普遍性の高いアレンジ。印象には残るけどしつこくはない演奏も。全体的に、“人当たりが良い”曲。


『hug.』

アコースティックな柔らかさがクセになる曲で〆。

軽快なアコギ&スネア、楽しげなピアノ&ベース、そして憂いを帯びたボーカル。このアルバムを聴いてるのは10月なんですが、この時期の空気によく似た曲。乾いていて気持ち良く、だけどほんのり切ない。

この曲、大好きです。




そんな、計13曲。


いやぁ、良かった。前作も好きだったけど、前作以上に良かった。


全体的に、トーンは“控えめ”だったと思う。勢いとテンションでぐぁーっと持っていくのではなくて、あぐでも落ち着いた雰囲気の曲が多かった。

アレンジとテンションが落ち着いた雰囲気だったからこそ、歌詞とメロディとが紡ぐエモーションが、立体的に聴こえた気がします。感傷的な曲はより感情的に、ユーモラスな曲はよりユーモラスに。“色味”が落ち着いたもので統一されていたからこそ、各曲の個性が際立っていたように感じました。


いやぁ、このバンド、好きだわ。






お気に入りは、

#01 『ルージュ』

#03 『タイムトラベルメロン』

#04 『no reason』

#05 『Crop』

#06 『ハルによろしく』

#10 『パピコ』

#11 『レイジーモーニング』

#13 『hug』






この作品が好きなら、

・『NEW BORN GHOST』/Tele

・『泣きたくなるほど嬉しい日々に』/クリープハイプ

・『JUMP ROPE FREAKS』/ズーカラデル

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/














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