>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Infinity
>アーティスト:BONNIE PINK
>リリース日:2023年 9月 6日
>記事作成日:2023年 10月 19日
聴きました!
なんと、11年ぶりのアルバムだそうです。ボニさん(笑)の音楽は結構好きなので、時々動向を追ったりしてたんですが、近年はまったく音沙汰が無かったので、失礼ながらもうこのままアーティスト活動からは離れるんだと思ってたんですよね。
『Spin Big』
物凄く、BONNIE PINK。都会的な乾いた音に、程よく心が落ち着くミドルテンポの歌が乗る。アコギのストロークは、秋晴れの空のように爽やかでどこまでも伸びる。で、歌詞は、オケの雰囲気に比べてちょっとだけ生活感が強い。そのバランスも含めてBONNIE PINK的だし、そのバランスも含めて大好き。
『世界』
ブルージーなエレキの音が、大陸的なスケール感を見せる。どちらかというとUK的な作風のこの方ですが、この曲にはUS的な大らかさとポジティブ感がある。
気持ちが、ちょっと軽くなる曲。
『Like a Tattoo』
オッシャレ〜な曲だなぁ。デジタル感の強い、シャープでクールなオケ。重量感はあるけど軽やかに跳ねる低音が印象的。
冒頭2曲は爽やかでポジティブな雰囲気だったけど、これくらいクールでアシッドなアシッドなBONNIE PINKも同じくらい良いんだよなぁ。
『宝さがし』
こんなに“柔らかい”歌を、違和感なく歌うようになったんだなぁ…というのが、最初の印象。デビューの頃から、どんな曲にも大なり小なりの“トゲ”を忍ばせてた気がするけど、この曲は優しさだけで出来上がってる感じ(笑)。
アコギのアルペジオとスネアのシンプルな音を軸にした、フォーキーな曲。そして歌詞には、生きていく上での酸いと甘いが盛り込まれてる。
『Bittersweet』
程よくダンサブルなテイストをまぶした、シティポップチューン。シンセの音がスタイリッシュ。
譜割が面白い。さらりと聴けちゃうけど、カラオケなんかで歌おうと思ったら痛い目見ると思う(笑)。
歌詞も好きだなぁ。不快感のない毒っ気が良いです。日々のちょっとしたイライラを、この曲が代弁してくれる感じ。いや、この曲の主人公は相当なフラストレーションを抱えてるんだとは思うけど。
『Control』
イントロのワクワク感が半端ないな! ドンドコとうねるバスドラ、そこに絡まるベース…地を這うようなリズム隊が、着実に近づいてくる。どんな曲に展開するのか想像もつかなくて、そして実際に“本編”が始まると、そんな低音重視のオケに合わせるように凛とした強さと厚みみたいなものを備えたボニさんの歌声が広がっていく。
一曲全部を使って、少しずつ“開いていく”感じの構成。
『Irish coffee』
ここまでとはまた雰囲気をガラリと変えて。妖しくうねる低音と濡れたエレピに、ゾクゾクする。サウンドで言うなら、クラブの音響で聴きたい感じですね。深夜の匂い、ちょっぴりキケンで甘美なにほひ。
演奏陣のテクも凄いよなぁ。こんなにムンムンな音なのに、プロアスリートのような躍動感も併せ持ってる。
『Butter』
前曲でビロードのような艶かしさにクラクラしていると、続くこの曲はよく晴れた日曜午前みたいな、快活でハッピーなグルーヴの曲で…ギャップにクラクラする。最初に聴いた時に思い浮かんだのが、アメリカあたりのハンバーガーショップ。賑やかで、活気があって、非常にポップ(歌詞と関係はなくて、あくまでイメージの話です)。
ここの2曲の流れ、好きだわぁ。ど深夜のクラブから、眩しいハンバーガーショップに瞬間移動する感覚。
『Waiting 4 U』
これは、レコード的と言うんだろうか。微妙にテンポが歪んで、それが味になっているイントロからスタート。その辺りにレトロさを感じつつ、曲全体のアレンジはとにかくスタイリッシュで都会的で現代的。
ボーカルラインにだけ注目するとポップなんだけど、そこはかとなく(でも確かに)存在するセンチメンタルがクセになります。
『Silent Film』
これもまた、都会的なサウンドの中に香るセンチメンタルが印象的なバラード。どちらかというと無機的なサウンドが、凄く都会的。そして、飾り立て過ぎないアレンジが逆にインパクト大。そして、それが終盤に向けて、ストリングスなんかも混ざって“総力戦”になっていく過程が圧巻。
『HANABI Delight』
これもまた都会的。花火とかお祭りとかをテーマにした曲ってのは大概、どこか昭和的なレトロと懐かしさとそれに伴う(良い意味での)野暮ったさみたいなものを匂わしてくる事が多い気がしますが、この曲はどこまでもアーバンでスタイリッシュ。この洒脱な音に「りんご飴」というワードが乗っかる異質感が面白い。
『エレジー』
ピアノの音がエレガントで、リズム隊が荘厳で、ギターはエモーショナル。サウンドがとにかく存在感を放つ曲。チャラついた感じは皆無で、重厚で荘厳な雰囲気で統一されたロックバラードです。終盤のギターリフとか、痺れるぜ。
「先立」「古(いにしえ)」「利他」等々…あまりポップソングで聴くことのないワードが散見されてるのも面白い。
『Infinity』
表題曲でラスト。
これもまた譜割が独特だな…と思ったら、割と英詞の割合が高い曲ですね。そういう意味で、ちょっと初期ボニっぽいかも。
落ち着いきのあるオケ、一方でビートはヤンチャに跳ねている。大人っぽいのにわんぱくで、自由なのに常識的。そんな、独特なオケ。
そんな、計13曲。
良い意味で、あの頃と変わらない感じ。良かった。
どちらかと言うと低体温。パッショナブルというよりはクール。でも、端々に(それは歌声に関しても、演奏陣に関しても)エモーションを感じる。決して“冷めてる”とか“無感動”とかそういう事ではない、この方特有の温度感。
“前作から2年ぶりリリース!”とかだったらもうちょっと新規軸を期待した可能性はあるけど、11年ぶりともなるとこの「そうそう!これこれ!!」感に幸せを感じますですよ。
お気に入りは、
#01 『Spin Big』
#03 『Like a Tattoo』
#04 『宝さがし』
#05 『Bettersweet』
#06 『Control』
#07 『Irish coffee』
#08 『Butter』
#10 『Silent Film』
この作品が好きなら、
・『PASSION BLUE』/土岐麻子
・『wwavess』/おかもとえみ
・『パレードが続くなら』/YUKI
などもいかがでしょうか。
CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
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