PASSION BLUE(CD)>オリジナルフルアルバム>タイトル:PASSION BLUE>アーティスト:土岐麻子>リリース日:2019年 10月 2日>記事作成日:2019年 10月 25日




聴きました!
土岐麻子さんの新譜を聴くの、何年ぶりだろうか。結構とひさしぶり。なんか、なんとなく、たまたま目についたので聴いてみたというのが率直なところ。肩肘を張らない感じの洒脱な雰囲気はあれど、意外に(?)中毒性があるというか。ここ最近の中では、リピート率が結構高い作品となっています。


『Passion Blue』表題曲でスタート。独特な雰囲気、洒脱なんだけどなんかクセがあって。都会的な…シティポップ感が強い曲。無機的なデジタルサウンドなんだけれども、メロディラインのクセが強いと感じました。その辺の独特さがクセになる曲。決して、「さらりと聴けちゃうオシャレチューン」ではない。
『美しい顔』そういう意味では、本作に収録されている曲は多くの曲がそんな感じでクセがある感じがありますね。この『美しい顔』という曲もそう。洒脱なサウンドでありつつ、決してさらりと聴けるような小ざっぱりした歌ではない。
『High Line』リズムへのメロの乗せ方には、ヒップホップっぽいグルーヴを強く感じます。もちろん、イカツさやコワモテ感というのは無いですけど(笑)トラックの作り方にも、ヒップホップ的なものを感じますね。質感だけで言えばむしろ「EDMっぽい」って言ったほうがいいんだろうけど…リズムを強調したビートが、クールさとエモーションの両方を抱えて展開する感じに、ぼくはヒップホップを感じました。
『エメラルド』これがまたクセの強い曲。メロディにしろ、アレンジにしろ、歌詞にしろ。淡々とというか、飄々とした感じのアレンジとボーカル。でも、それとは反対に、凄くキャッチーなフレーズのオンパレードでコッテリとすらしている印象のボーカルラインが面白いです。サビの一部分が誰かのなにかの曲っぽいなーと数週間悶々としてたんですが、「あ!マイラバの『ロンリーハート』だ!!!!!」とつい最近気付いてスッキリ(笑)   …あ、パクリだとかそーゆー話ではないですよ。ほんのワンフレーズですし、「引っかかってたのがスッキリした」というだけの話です。それにしても…最初、サビがどうしても「輝くワカメ色のワンタン」にしか聴こえなくて、奥さんも同じように聴こえてたらしくて、なんか面白かったです(笑)   正しくは、「輝く湾岸 迷路のDowntown」でした。
『RADIO』ラジオへのリスペクト。そして、ラジオというメディアの青春性。やっぱり、ラジオに対する想いってのは、結構みなさん共通してますよね。先日、スピッツのアルバム『見っけ』に収録されていた『ラジオデイズ』を聴いた時にも似たような事を思いましたが。
『Ice Cream Talk  feat. G.RINA』フィーチャリングアーティストさんを迎えて。でも、クレジットとかを意識しないで聴いてると、フツーに一人で歌ってるのかと思わない事もない。ちょっと声似てません?“声”なのか、“雰囲気”なのか。こういうのを「チルってる」って言うんだと思う。凄く上質で、微睡んでるような芳醇なセンチメンタルがあります。しかしこの曲、歌詞がいい。
『That Summer』アップテンポの軽快な曲。ポップスというか、ダンスチューンというほうがしっくりくるな。ほんと、洒脱で軽やか。色で言ったらパステルカラーって感じのカラフルさ。
『愛を手探り』ギターの音がザクザクとエッジ鋭く鳴り響く、ロックテイストの曲。でも、パーカッションの音は軽やかで、ボーカルラインは引き続き独特のクセがある。色んな要素がそれぞれに炸裂していて、賑やかで聴き応えがある。賑やかなんだけど決してクドくない…むしろ涼やかさすら感じられるのは、土岐さんの歌声のチカラでしょうねぇ。
『傘』そうかと思えば、凄く叙情的というか、幻想的というか、哀愁と感傷とが詰まったミドルバラード。本作の中で、もっともストレートにセンチメンタルな曲なんじゃないでしょうか。エレピを軸とした可愛らしいサウンドが、逆に切なさを際立たせている。水彩画のように淡く、優しく、儚い曲。
『Bubble Gum Town』ラストは再び、キャッチーだけれどもどこかクセの感じられるポップスで。サウンドとアレンジは間違いなく最先端のものなんだけれども、なんかその佇まいというか雰囲気というか、歌詞の空気感には昭和のシティポップを感じました。はっぴいえんどとか、ああいった世代の。


そんな、計10曲。
この作品が「たまたま目についた」ぼく、グッジョブ(笑)   すごく素敵な作品でした。繰り返しになるけど…とにかく洒脱なシティポップで。でも、なんかクセがあって、一筋縄ではいかないというか、さらりとBGM的に聴き流せるようなレベルではないぞという。
あと、印象に残ったのは、歌詞。作詞は土岐さんご自身がなさっていると思うのですが、どの曲にも凄く印象的なフレーズが多くて。決して“情景描写”ではなくて、聴き手の想像力に委ねられてる部分があるにはあるんだけど…でも、音を聴けばそれぞれの頭の中に確実に写真のように鮮明な映像が浮かび上がる感じがあると思うんです。星座のようにポイントポイントが示されていて、それをどう結ぶのかは聴き手に委ねられてる感じの。そのさじ加減が、すごく心地良かった。
これは、過去作も遡って聴いていく必要があるな…。




お気に入りは、#02 『美しい顔』#03 『High Line』#04 『エメラルド』#08 『愛を手探り』#09 『傘』




この作品が好きなら、・『モメント l.p.』/クラムボン・『DELICIOUS.』/TWEEDEES・『Chasing Hope』/BONNIE PINKなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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