見っけ(通常盤)>オリジナルフルアルバム>タイトル:見っけ>アーティスト:スピッツ>リリース日:2019年 10月 9日>記事作成日:2019年 10月 22日




聴きました!
スピッツ最新作!昔は比較的寡作のイメージがありましたが、近年はコンスタントに作品を発表なさってますね。“スピッツのリリースペースが早まった”のではなく、“全体的にアルバムリリースのペースが下がった”って事なんだろうけど。
とにかく、まずは各曲の感想を。


『見っけ』バンドのアンサンブルが全面に出た、爽やかなポップチューン。「スピッツらしい」と言えばその通りなんですが、ここ何作か、このパターンが多過ぎるような気もしないでもない…のっけから言うような事じゃない気もするけど…。去年出たMr.Childrenのアルバム『重力と呼吸』にも“サスティン”って言葉が出てきて、スピッツのこの曲にも出てきた“サスティーン”。ベテランバンドにサスティーンブーム到来⁉︎(笑)
『優しいあの子』本作唯一のシングル曲ですね。ついこないだまで朝ドラの主題歌だったやつ。近年のスピッツの作風を象徴するような曲だと感じました。カドが取れて、牧歌的とすら言える程に柔らかで優しげな雰囲気で満ち満ちている。
『ありがとさん』例えば『みなと』とかみたいに、近年の感じであればシングルで切ってもおかしくなさそうな雰囲気のミドルチューン。サウンドにしろアレンジにしろメロディにしろ、そんなに派手さはない。けどその分、スッと胸に入り込んでくる。しかしこの歌詞、なんか異様に悲しくないですか?   一番ライトに考えたって、(色んな意味で)遠く離れてしまった人への想い。ヘヴィに解釈するなら、死別。そこにあるのが恨みつらみではなく感謝だからこそ、物悲しさで胸が苦しくなる。リリシストとしてのマサムネさんの作風は発揮しつつも、かなり理解しやすい歌詞だと思う。
『ラジオデイズ』ぼくも、初夏に引っ越して以降、ラジオを聴く機会が増えて。ラジオって、まさにこの歌詞にあるような魅力に詰まってるんですよね。独りぼっちで聴いてたって、独りぼっちじゃない感覚をくれる。“草食系”だの“さとり世代”だの、アツさに欠ける人の増加ばかりがアナウンスされる昨今にあって、喜怒哀楽で満ち満ちているメディア。そんな世界を、そのまま歌詞にしてくれたような曲。えっなに、ラジオ局のタイアップでもついてんの?(笑)   来年あたり、そのままACCESSキャンペーンソングになってたりしない?※後日追記:ラジオのタイアップ、実際についてたんですね(笑)
『花と虫』「瑞々しい」って言えばまさに瑞々しい曲。でも、最近、スピッツの作品をナントカの一つ覚えみたいに「瑞々しい」としか形容しない音楽ライターが多過ぎて、だからこのバンドの作品に対してぼくはあまりその表現を使いたくないけれども(笑)この曲とかこのアルバムに限らずですが、スピッツの近年の作品は、各パートのサウンドが凄くクリアに聴こえるんですよね。それが、好き。
『ブービー』物悲しく儚げな曲。ボーカルとギターがユニゾンしていて、なんかこう、分かりゆすく孤独感を放つ感じ。閉じてるというか、鬱屈しているというか。中二病(毎度書きますが、揶揄するニュアンスの“厨二病”ではない)の内面みたいな、いびつで不安定で孤高で美しい感じ。
『快速』その名の通り、疾走感のある曲。でも、“特急”や“新幹線”の感じじゃないところがスピッツらしい。ちなみに、「流線形のあいつ」ってのは、新幹線?ビートパンクっぽいアレンジには、昔のスピッツを感じるところもありますね。
『YM71D』まさか、「やめないで」⁈   なんちゅーセンスと遊び心か。コンパクトにまとまってる感じのするアレンジは、だけど壮大なスケール感も感じさせて。アレンジとサウンドのイメージ的には、“精巧な箱庭”っていうのかな…。この、マニアック気質なサウンド、スピッツならでは。『ロビンソン』の頃から変わってない。
『はぐれ狼』シニカルな雰囲気のロックチューン。こういう曲、好きです。イメージで言うなら『三日月ロック』とか、あの頃の雰囲気を彷彿とさせる。ザクザクとしたギターサウンドに、圧倒的なキャッチーさを放つボーカルライン。丸いのにトゲトゲで、苦いのに甘くて、イビツなのに美しい。
『まがった僕のしっぽ』フォルクローレのフレーバー、土の匂いがするゴツゴツした曲。マサムネさんの繊細な歌声が、この曲では力強く聴こえるから不思議。今回のアルバムの中で、アレンジが最も個性的な曲だと思います。
『初夏の日』前曲から一転して、アコギのストロークが爽やかに響き渡るミドルチューン。大ベテランのバンドが放つ曲とは思えない、ともすると「あどけない」とすら言える程に、若々しいサウンド。青春の甘酸っぱさで、鼻の奥がツンとする。
『ヤマブキ』最後は力強いポップロック。スピッツのアルバムって、“始まり”のような曲で締めくくられる事が多い気がする。この曲も、“シメ”っていうよりはオープニングナンバーのような…聴き終わった後に、“その先”が気になるような曲。


そんな、計12曲。
スピッツ、作品を重ねるごとに若返っていくような感触があります。本作も、その辺の若手バンドよりも若々しい音を聴かせてくれました。…まぁ、この若々しさをサウンドに落としこめるのは、ベテランの技術と経験があってこそなのかもしれないけど。
一方で、『さざなみCD』以降にぼくが感じるのは、“低刺激感”。聴きやすさと瑞々しさを増す一方で、ヒネクレ感とかイビツさのようなものが減少してきた気がするんです。本作も、その傾向を感じました。良くも悪くも、さらりと聴けちゃう。
けど、本作の曲は軒並み歌詞が良かった!ぼくは文脈を読んだり、比喩を自分なりに解釈するのが得意じゃなくて。だから、マサムネさんの書く歌詞は「深い」を通り過ぎて「意味がよく分からん」になっちゃう事がままあるんだけど…本作は、「深い」の域の作品が多いと感じました。凄く、ぼくのストライクゾーンにハマる曲が多かった。
そーゆーワケで、歌詞に関してはここ何作の中では圧倒的に好きで、アレンジやメロディに関しては「ここらでもう一つ何かしらの変化が欲しいな」って感想のアルバムでした。




お気に入りは、#03 『ありがとさん』#04 『ラジオデイズ』#09 『はぐれ狼』




この作品が好きなら、・『スキマスイッチ』/スキマスイッチ・『FURUSATO』/ゆず・『北極星』/藤巻亮太などもいかがでしょうか。




サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)










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