>フィジカルシングル
>タイトル:HANABI
>アーティスト:Mr.Children
>リリース日:2008年 9月 3日
>記事作成日:2023年 9月 3日
久しぶりに聴きました!
15年。
この曲がシングルリリースされてから、今日で15年なんですって。
おぎゃあと生まれた赤子が、中学を卒業するくらいの時間経過。えっ、まじ? 時空歪んだ⁉︎ だってこの曲、まだまだ全然現役感あるよ? それこそ、赤子の鳴き声のような瑞々しさとエネルギッシュさよ??
『HANABI』
言わずもがなの名曲。“誰もが知るヒット曲”というのが生まれない世の中になったとはよく言われますが、もしかしたらこの曲がその最後なんじゃないかな?と思う事があります。
アップテンポの曲調に乗るのは、感傷的でナイーブで、それでいて逞しい歌詞とメロディ。例えばこの歌詞が、スロウテンポのバラードに乗っかってたら、それだけで魅力が半減してしまっていたように思う。アップテンポで動的なオケに乗っかる事で、ある種の“悲壮感”みたいなものが生まれ、それを飲み込んで「もう一回もう一回」と歌う姿にカタルシスを感じるのだと思います。
この歌詞には、いったい何度助けられた事か…。「素晴らしい世界を愛そうよ」と歌うのではなく、「臆病風に波風が立った世界」をどれだけ愛せるかを問われている(桜井さんがリスナーに問うてるのではなく、リスナーが自分自身に問う事に自然となる構図)。あらゆるルールに縛られ、同調圧力に支配され、二者択一の対立に巻き込まれ…本当に本当に本当に生きづらくなったこの世界にあって、その生きづらさにここまでコミットする歌詞は、この曲以上に無いんじゃないだろうか。リリースされて15年が経つけど、この歌詞は時が立てば経つほど、世相を映し出す鏡としての機能を増していっている気がする。もう、国歌にしてほしい(笑)。
“イントロ番長”の名を欲しいがままにしている小林武史Pを擁しつつ、この曲のイントロは小林Pではないんですよね。桜井さん作の、本編Bメロの引用。大概のポップソングはAメロ、Bメロ、サビで構成されている訳ですが…サビが華やかになるのは分かる、Aメロ(特に1A)は曲の導入部だからインパクトのあるメロディになるのも分かる…ぼく的に、Bメロってのがパートの中で一番控えめな存在というイメージなんだけど、そんなBメロが、曲の顔役であるイントロに抜擢されるという驚き。つまりは、一曲の中で、どのメロディをどう切り取ってもパンチに溢れた曲だという事ですよね。もはや恐ろしいわ。
ちなみにこの曲、ぼくはライブで聴くよりもスタジオ音源で聴くのが好き。ミスチルは本当に“ライブバンド”だと思うし、大抵の曲はスタジオ音源よりもメンバーの肉体感を伴ったライブのほうが“映える”…けど、この曲は、幾何学的かつ神経質に編み込まれたステレオ音源で聴く事で、本領を発揮する気がします。細部まで精密に組み立てられた、完成度の高い音…それも、この曲の魅力。
『タダダキアッテ』
15年を経ても、まだ翻弄され続けている曲(笑)。要は、“『タガタメ』のリアレンジバージョン”な訳で。でも、『タガタメ』の、重厚なサウンドとはち切れんばかりの強く大きく激しいメッセージ性とは真逆の、牧歌的で和気藹々としていて可愛らしいアレンジ。でも、歌詞は『タガタメ』のまま。こんなに可愛らしく「子どもらを被害者に加害者にもせずに」なんてフレーズが聴こえてくると、若干脳が混乱する(笑)。
いや、知ってるんですよ。『タガタメ』は、歌詞が出来上がる前はこんな感じのアレンジで、この曲は言わばその“復刻版”なんだよ…みたいな経緯を。でも、なんか、そういう事じゃなくて…「このオケなら、歌詞を書き換えたほうが良かったのでは?」って。
でも一方で、「一見楽しくて華やかに感じる場所も、薄皮一枚剥いてしまえばあらゆる矛盾、混沌、格差、不条理、欺瞞で溢れているんだよ」というこの世界の事実を曲調と歌詞とのミスマッチによって表現しているのでは?とか思う部分もあったりして。そうだとするともしかしたら『タガタメ』以上のメッセージソングという可能性も出てくる訳で。そうなのか?違うのか??それらとはまったく別の意図があるのか???…15年、翻弄され続けています(笑)。
『夏が終わる』
物静かな、ミドルバラード。夏の終わりを儚く歌う、センチメンタルが致死量配合されている曲。
そうは言っても、リリース当時のぼくは、この曲に対して「ちょっと地味な曲だな」くらいの印象しかなかったんです。でも、5〜6年前かな…実際に、翳りゆく夏の風景の中でこの曲を聴いた時に、それはもう嘔吐しそうなくらいに(笑)沁み入ってきて。人前じゃなかったら、多分泣きじゃくってたと思う。そのくらい良くて。晩夏の感傷を、過不足のない音とメロディと言葉とで表現していて。今では大好きな曲。特にこの時期(9月)、この曲を聴いた日にはもう…物理的に胸がつっかえそう。
そんな、計3曲。
15年。15年かぁ…あの頃と今の自分を比べると、ある部分は全く変わっていなくて、ある部分は面影もないくらいに変容しました。あの頃のぼくが今のぼくを見たら、なんて言うんだろうなぁ…。
でも、住む場所も周りにいる人も生活スタイルも大きく変わったのに、それでも変わらず刺さってくる『HANABI』という曲は、一体なんなんだ(笑)。ぼくを悩ませ続ける『タダダキアッテ』という曲は、一体なんなんだ。10年も経ってからガラリと印象を変える余地を持っていた『夏が終わる』という曲は、一体なんなんだ。
…とにかく、15年経とうとも色褪せが一切ない3曲は、3曲共に最高に素晴らしい。
お気に入りは、
#01 『HANABI』
#02 『タダダキアッテ』
#03 『夏が終わる』
CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!