>オリジナルフルアルバム

>タイトル:踊る様に

>アーティスト:ポルカドットスティングレイ

>リリース日:2022年 9月 7日

>記事作成日:2022年 10月 26日






聴きました!


近年のポルカは、無理して中指を突き立てるような感じではなく、何というか「自然な感じ」になってきた気がして(本心から中指を突き立てるのは、それはぼくの中では“自然”な事なので、結果的に中指が突き出た曲もありますけども)。そうなってからのこのバンドのほうが、ぼくは断然好き。




『SHINOBI-NAI (雫カリウタver.)』

本チャンver.があるのかどうかも知らんけど(笑)、仮歌でこんなに世界観が固まってたら、リテイクは必要ないでしょうな。

最近のこのバンドらしい、小洒落たポップチューン。音符の数と手数は多いけどクドくはない、そのバランス凄く好きです。


『青い』

メロディラインが、なんちゅーか“J-POP!”って感じ。“Cメロ”じゃなくてちゃんと“サビ”。起承転結がしっかりしてるというか。

ギターの奔放さには、特に後期のジュディマリTAKUYAさんの面影を感じるな。


『どうでもいいよ』

アコギ周りとか、PC上でエディットしてますよね…? 生の演奏では物理的に出せないような切り口の鋭さ&鮮やかさを感じるのですが…。いや、批判じゃないですよ? そういうのも含めて、小気味が良い曲って事。歌詞はややウェッティですが、それを気付かせないくらいに小気味の良いアレンジ。


『ダイバー』

四つ打ちの安定感あるリズム隊に、真逆みたいに跳ね回るようなギター。その違和感が気持ちいい曲。

ボーカルラインは、引き続きJ-POP的なキャッチーさ。それにしても…組曲的に雰囲気を変えるオケなのに、ボーカルの“聴こえ方”は一切変わらないのが凄い。良く言えば存在感、悪く言えばスタンドプレイ(悪く言うつもりはないです。あくまで、「極端に言うならそんなイメージ」という話)。


『dude』

ラップ、炸裂。最近別のアーティストの感想でも書いた気がするけど、ぼくは結構、ラッパーを名乗っていないボーカリストのラップが好きかも。特に、バンド編成だと尚更。ライミングの心地よさはそのままに、メロディアスな要素も追加されるので、非常に聴き応えがある。

歌モノなのにラップもキレキレで、バンドの小洒落た音も楽しめるのにストリングスの音もするし、なんか“全部乗せ”の感じ。なのにコテコテギトギトしてないのがいい。


『hide and seek』

近年ベースの音にどハマりしているぼくとしては、グラマラスなベースがブリブリ鳴ってるこの曲は大好きですね。

一方で、リズム隊はアグレッシブな雰囲気の割に、曲全体にはシリアスさと物悲しさみたいなものが漂っています。


『SURF』

なんちゅーか…アニソンの雰囲気。ポップでキュートな。ピンク色の髪の女の子が主人公なような(笑) 声優さんとかアニソン歌手が歌う、ガッツリしたアニソンの雰囲気。面白いな、なんでもやれるんだ。

でも、ポップでキュートなコーティングが為された曲に限って、歌詞に毒を盛り込む傾向がありますよね(笑)


『ショートショート(踊る様にver.)』

流麗なメロディラインに、ほんのり感傷的な歌詞が乗る。オケだけ聴いてたら耳馴染みが良いアップテンポのポップチューンなのに、歌詞がほんのりウェッティで。ほんとにほんのちょっとの湿り気なんだけど、オケとボーカルラインがあまりにもカラリとしているので強調されるんですよね。


『恋愛論』

耳を疑う程の(笑)、ど直球どストレートな恋愛ミドルチューン。多分こういう感じの、真正面から王道なテーマで書いた曲をやるのが、結構気恥ずかしいと思うタイプのバンドなんじゃないかとぼくは思っていて。だから、それを(言葉は悪いけど)茶化すように、誤魔化すように、トリッキーな表現で歌詞を書いたりエキセントリックなアプローチのオケに歌を乗せたりしてきたんじゃないかな?と勝手に邪推していたんです。でも、この曲は、物凄い直球ストレート。160km/h出てる。この球種を身につけたこのバンドはここから格段に強くなると思う。そして、どーせ“直球ばっかり”になる訳がないとも思ってるし、“一番の変化球がストレート”という面白い存在で居続けてほしいなぁとも思ってる。


『トーキョーモーヴ』

ほんとに、『恋愛論』みたいな曲があるから、こういう曲がより映えるんだなぁ。バランスが凄くいい。

Shiggy Jr.とかふぇのたすとかを想起する感じの、オシャレポップ。もちろん、歌詞はほんのり毒も盛られてる。


『ツキカゲ』

初期のこのバンドを思わせる、攻撃的なアッパーチューン。それでもやっぱり、ただトゲトゲしている訳ではなく、マイルドなコーティングもされている。柿の種というよりは、柿の種チョコの感じ(笑)


『リドー』

この曲も、初期を彷彿とさせるクセの強い曲。初期のアルバムって、こういうクセツヨな曲のオンパレードだったので、ちょっと途中でクドくなっちゃう事があったんだけど…それこそ『恋愛論』の豪速球ストレートまで手に入れた今のこのバンドのアルバムの流れの中で聴くと、いい感じに個性が際立って聴こえる。いい感じ。

ちなみに、アルバムタイトルと同じ「踊る様に」という歌詞がある。


『夕立』

いやほんと、ギターの奔放さが際立っているアルバム。ボーカルと同じくらい、メロディアスに「歌ってる」。フツーなら2サビの後の間奏部分だけでやるようなレベルの存在感あるギターリフが、イントロから最後の小節までずーーーーっと続いとる。でも、「じゃあインスト曲としても楽しめるか?」と問われると、「ボーカルとセットだからこそ映えてる」という感じもある(いや、インストとしても聴き応えはあるとは思いますけども)。


『odoru yo-ni』

洋楽チャートで聴こえてきそうな、もしくは宇多田ヒカルさんみたいな洋楽フレーバー強めの、オシャレミドルバラード。

これは何でしょうねぇ…低音ビートが効いてる辺りにはR&Bを感じるけどもそうとも言い切れない部分があるし、大流行のトラップっぽい雰囲気も感じるけどやっぱりそれだけとも言い切れない。ただ一つ言えるのは、「バンドの曲とは思えない」ようなサウンド(別に批判ではありません)。




そんな、計14曲。


本作を初めて聴いた時にも感じたし、聴くたびに改めて思う事なんだけれども…“バンド感”が薄いアルバムだなと感じるんです。

例えばMr.Childrenのように、“バンドの作品なのに、ボーカルとピアノだけの曲がある”とか、そういう事じゃないんですよ。全部の曲に、ちゃんとギターとベースとドラムスの音がする。だけど、楽曲全体の雰囲気としては、“バンドサウンドでどーん!”じゃなくて“ボーカルと、それを彩るバックトラック”みたいな印象なんです。イメージで言うなら、“4人組のポルカドットスティングレイ”というよりも、“雫 with ポルカドットスティングレイ”って感じ。

間違って欲しくないのは、コレ批判とかではなくて。「バンドの存在感が薄い」とか「雫さんのワンマン感が音に出ちゃってる」とか言いたいのではなく、意図的にそういうバランスにしてる感じがするんだよなぁという話。歌に、もしくは雫というボーカリストに極限までフォーカスを振り切ってる感じがあって、それはそれで面白いなぁと。ミスチルの『Tomorrow Never Knows』のシングルver.ドラムスが打ち込みだというのは割と有名な話かと思うのですが、それもある意味で楽曲至上主義であり、曲が一番“映える”ための選択の結果。それと同じように、本作の楽曲群も、“バンドの一体感”とか“メンバーの関係性”うんぬんじゃなく、とにかく“楽曲(歌声、歌詞、メロディライン)が最も映える音”を突き詰めている気がして、なんかそこに勝手に好感を覚えました。

…このバンドが本当は何を狙って、どういう意図でこのアルバムを作ったのかなど知る由もないので、上記のぼくの感想はまったくの的外れかもしれないですけどね(笑)






お気に入りは、

#02 『青い』

#05 『dude』

#07 『SURF(踊る様にver.)』

#09 『恋愛論』

#12 『リドー』






この作品が好きなら、

・『幕の内ISM』/パスピエ

・『ぐされ』/ずっと真夜中でいいのに。

・『盗作』/ヨルシカ

などもいかがでしょうか。






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