>オリジナルフルアルバム
>タイトル:盗作
>アーティスト:ヨルシカ
>リリース日:2020年 7月 29日
>記事作成日:2020年 8月 22日





聴きました!

「なんか新しい音楽はあるかな〜」と思ってサブスクアプリの新作欄を見てたら、ヨルシカの本作が目につきました。
サウンドとアレンジはかなり好きなんですけど、なんちゅーかそこはかとなく中二病感(いつも注釈を入れてますが、揶揄するニュアンスの“厨二病”ではなく、発達過程で多くのローティーンに当たり前のように訪れるアレの時期の事です)が醸し出されているようにぼくには感じられて、そこがちょっとうまく飲み込めないんですよね。本作のアルバムタイトルにも、なんかそんな匂いを感じてしまって。聴こうかどうしようかちょっと迷ったんですが、なんか他にピンと来る作品も無かったので(笑)



『音楽泥棒の自白』
うん…うん?…うん…。“音楽泥棒”を表現するには、やや安直かと思ってしまうけど…まぁ、分かりやすいと言えば分かりやすい。それとも、ぼくが気付いてない深遠な暗喩があるんだろうか。

『昼鳶』
前曲の、ピアノのしっとりとした空気から、一気にアッパーに。ジェットコースターで言うと、前曲がカッカッカッカッカッ…とゆっくり上っていく時の緊張感で、この曲は一気にトップスピードで下降を始めた感じ。
それにしても、ベースのスラップが超かっこいいな。こういうの聴くと、ベースの練習したくなる。

『春ひさぎ』
よくもまぁこんな言葉をご存知ですよねぇ。世の中の人には、ある特定のカテゴリのボキャブラリーだけ異常に豊かなタイプと、満遍なく博識なタイプとが居ますが、このユニットのリリシストさんはどちらなんですかね? 少なくとも、特定の方面の語彙には明るいイメージがありますが。

『爆弾魔(Re-Recording)』
この曲に限らずですが…ボーカルの方の雰囲気を上手に活かすディレクションだなぁと、本当に思います。しなやかさと儚さみたいなものを両方持ち合わせる歌声が、最大限ドラマチックに映えるように音符とアレンジとが配置されている。これ以上にオケが主張しちゃうとボーカルが押し負けると思うし、これよりもシンプルで単調なオケだと凄く淡白な音楽になっちゃって印象に残らなくなる。絶妙なバランスで音楽が構成されていると感じます。

『青年期、空き巣』
インタールードというか、本作を“ひとつの作品”とした時の“ストーリー付け”的なパートというか。
インストなんだけど、なんというかラジオドラマ的な雰囲気のある曲。

『レプリカント』
このユニットはボーカリストとギタリストという編成らしいですが、ぼくは結構ベースに耳が行きますね。全体の調和を見ながらも、主張するところでちゃんと主張してる感じ。バンドのグルーヴを作ってる感じ。この曲のベースラインも、メロディアスかつ存在感のあるプレイが魅力。

『花人局』
日本的な艶やかさというか、華やかな中にしっとりとした雰囲気もある綺麗な曲。
ヨルシカというユニット、BPM的に極端(凄く速いか露骨にスロウか)な気がするんですが、この曲はミドルテンポで。過度に気持ちを煽られたり落とされたりしないので、そういう意味でも聴きやすい(笑)
しかし…“美人局(つつもたせ)”という言葉から考えると、“はなびと(はなじん)もたせ”という読み方になる気がするけども(笑)

『朱夏期、音楽泥棒』
なんかもう、この辺り、曲タイトルだけ見ると漢検二級って感じだけど(笑)、曲自体はとても美しくなおかつ艶やかで、ゾクゾクします。

『盗作』
タイトルチューン。歌詞のストーリーテリングが凄く立体的。誰かの日記を読んでる感じ。でも、なんかちょっと、ぼくはもう少しサラリとした世界の方が好きかもなー。直喩と隠喩と明喩と暗喩比喩とメタファーと…更には皮肉とアイロニーとシニカルと…敵対的なニュアンスが多過ぎて、疲れる。何もそんなにギスギスしなくてもいいのに(笑)

『思想犯』
歌詞に関しての感想は、『盗作』と一緒。
途中で急にスカっぽくなるアレンジとか、そういうのは嫌いじゃないです。面白い。発想が自由ですねぇ。

『逃亡』
歌詞の感想は、『盗作』と一緒…というか、ぼくが聴いた事のあるヨルシカの殆どはソレです。
アコースティックサウンドが凄くオシャレ。かといって初期のゆずやコブクロみたいな爽やかであどけない雰囲気ではなくて、アダルティてジャジーな雰囲気。サウンド的にもシニカルではありつつ、歌詞のそれとは違って重たくないから好意的に聴ける。
中盤の、ヴィンテージ感溢れるギターサウンドも、大好物ですわ。

『幼少期、思い出の中』
これまた独特な雰囲気を放つインスト曲。圧倒的な孤独感を抱え、でも優しさを滲ませながら静かに響くピアノ。ピアノだけで、こんなに緻密に世界観を構築する事が出来るんですね。

『夜行』
しっとりとしたサウンドなんだけれども、サビでは一気に分厚いバンドサウンドが爆発して、それが感傷をゴリゴリに刺激してくるんだ…。
歌詞はまぁ正直意味がよく分かってないんだけど(笑)、聴き込めばなんか胸が熱くなりそうな気がする。

『花に亡霊』
ラストも、ピアノが主導するセンチメンタルなミドルバラード。ピアノの感傷とバンドの力強さのバランスが絶妙で、激しく切ない気持ちにさせられる。



そんな、計14曲。

アレンジのバリエーション、また広がりました⁉︎  硬軟というか、緩急というか、寒暖というか…ジェットコースターみたいに色んな音が波状攻撃を仕掛けてくるので、息つく間もないというか、飽きる暇がないというか。
聴かせ方、魅せ方が本当にお上手。

一方で、歌詞はね…『盗作』のところに書いた事が全てなんだけど…こんなにもパンパンに詰め込まれた比喩と皮肉に、ぼくは正直ちょっと胃もたれしてしまいました…。

メロディやアレンジは大好きで、そして歌詞に毎回飲み込みづらさを感じてしまう。ぼくにとって、そんなユニット。





お気に入りは、
#02 『昼鳶』
#04 『爆弾魔(Re-Recording)』
#07 『花人局』
#11 『逃亡』





この作品が好きなら、
・『正しい偽りからの起床』/ずっと真夜中でいいのに
・『神様、僕は気づいてしまった』/神様、僕は気づいてしまった
などもいかがでしょうか。





サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)










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