寂しい人が一番偉いんだ(通常盤)>オリジナルフルアルバム>タイトル:寂しい人が一番偉いんだ>アーティスト:majiko>リリース日:2019年 6月 19日>記事作成日:2020年 1月 16日




聴きました!
過去作『CLOUD 7』に衝撃を受けて以降、新作が出るたびチェックしているアーティストさん…なのに、本作が出たのをスルーしちゃってた!! リリースちょっと前までは待ち構えてたんですけどね…そうか、この時期にぼくは引っ越しをしてたから、それどころじゃなかったのか(笑)というワケで、リリースから半年以上経っちゃったけど、感想をば。


『エミリーと15の約束』「母が旅行に行くだけで、こんなに重たい約束をこんなに大量にしなきゃなんないの?という驚き(笑)…いや、そういう事じゃないのは何となく分かるんですが、なんとなく、歌詞の主訴が今ひとつ汲めなかった。大切な事を言っている“風”ではあるんだけども。これが、ストーリー仕立てではなくシンプルに“リリシストが思う事”“ボーカリストが伝えたい事”として展開するのであれば、凄く素直に共感出来たんですけどね。あと…ぼくが歳を食ったからだと思うんですが、例えどんなシチュエーションだろうと「死にたい時に死になさい」なんて、ぼくは言えないなぁ。もうちょっと若い時、というか思春期ならね、そんな事は簡単に言えただろうし、思えただろうと思うんだけど。実際に大切な人を亡くしたり、望まない別れを経験したり、そういうのが増えてくるとね…「死にたい時に死になさい」なんて、到底言えないな。
『ワンダーランド』ファンタジー感の強い、賑やかなんだけれどもどこかおどろおどろしさもあるアレンジがとても好き。イメージ的にはサーカスみたいな。華やかで煌びやかなんだけど、なんか怖い。そのバランスが、すごーく良いんだ。
『MONSTER PARTY』攻撃的なアッパーチューン。動きの多いボーカルラインには華があるし、手数の多い演奏陣には刺激がたっぷり。このアーティストさんの作品なので、歌詞とかを深読みすればもしかしたら深い意味があったりするのかもしれないけど…ぼくは敢えて、このサウンドとテンションだけに溺れて、頭空っぽにして気持ちよくなりたい。
『狂おしいほど僕には美しい』アナログ盤で聴いてるような、ノスタルジックで柔らかく優しい、そしてちょっぴり儚いノイズが。そのエフェクトはイントロだけだけど、曲全体に同じような感触のノスタルジーとセンチメンタルが感じられます。2番の、手数の多いドラムスと音符の割に言葉数の多いボーカルとの絡みが特に好き。
『パラノイア』なんか、ボーカルの雰囲気がちょっと違うように聴こえました。メロディラインの影響なのかな、もしくはブラスの鮮やかな音色のためか、はたまたジャジーでスウィンギンなバンドのアンサンブルからか…普段はもっと鬱々とした(褒め言葉)ボーカルスタイルな気がするんですが、この曲には、外に向かう華やかでエネルギッシュなオーラを感じる。新鮮。
『ひび割れた世界』ここまで加速度的に増していたテンションが、一気に落ち着きを取り戻す…そんなロックバラード。序盤は静かな、とても静かなバラード。でもどんどんとエモーショナルに展開して、後半は圧倒的なスケール感になる。しかし首尾一貫しているのは、美しくて儚いその世界観。ヒリヒリする程にメロウで、そして圧倒的にセンチメンタル。
『レイトショー』ガットギターでしょうか、渋みがありつつパッション溢れる感じもあるアコースティックサウンド。そこに重なるのは、胡弓的な東洋の音(実際に何の楽器の音色なのかは分かりませんが)。あらゆる音楽がミックスされて、でも凄くキッチリまとまっている。多国籍的というか、もはや無国籍的というか。でも、歌詞的には“東京の街”の話なんですね。
『春、恋桜。』おやおや、こんなタイプの曲もやるんですね。曲タイトルからイメージ出来る、まさにそれそのままの雰囲気の曲。色で言うなら桜色、お菓子で言うなら金平糖。楽器で言うならお琴…そんな感じ。「可愛らしい」なんて言葉が似合う曲と、この方のアルバムでお目にかかれるとは(笑)
『ミミズ』可愛らしい恋の歌に続くのは、『ミミズ』。落差が…(笑)でも、サウンドはカッコいい。ヴァースはソリッドで、歪んだギターが気持ちいい。サビは、キャッチーに展開して華やかな感触に。
『マッシュルーム』クールなボーカルが特徴的な曲。特にヴァースはクールで、儚げで、華奢な感じがします。“激情”って表現がぴったりなこの方の普段のスタイルとは、ちょっとギアが違う感じ。メロディラインは引き続き「これでもかっ!」てくらいにキャッチーなんだけど、ボーカルの雰囲気が違うので凄く“バラード感”が強い。
『グラマー』そういう意味ではこの曲もバラード感が強いかも。サビは結構エモーショナルなので“ロックバラード感”というか。疾走感もありつつ、でもやっぱりぼくの受けた印象としては“バラード感”。なんとなく、イメージ的には、ちょっとアニメソングっぽい雰囲気(まぁ、この方、全般的にそんな雰囲気の曲が多い気がするけど)。
『WISH』切ない系バラード。ストリングスが鳴り渡る、壮大なバラード。このアルバムの終盤は、“バラードの見本市”とでも言えそうなくらいに、ありとあらゆるスタイルのバラードを聴かせてくれます。この曲などは、例えば川嶋あいさんが歌ってたって違和感なさそうなくらいの王道バラード。
『声(Acoustic Version)』アコギの伴奏が中心の、優しい曲。そこに、これまたアコースティックな雰囲気のドラムスが重なって、飾り気はないけどあったかい雰囲気に仕上がってる。素朴な雰囲気がありつつ、テクニカルで洒脱な側面もある演奏。角が“まぁるい”感じの音に合わせてか、ボーカルに関してもとても優しくてまろやか。センチメンタルはデフォルトなんだけど、このアルバムの他のどの曲にもない優しさで満ちている感じがします。


そんな、計13曲。
サウンド面…アレンジやプレイ(ボーカルの表現力を含む)という意味では、申し分ない聴き応え。華やかなんだけどクドくはなくて、マニアックなんだけど同時にキャッチーでもあって。ある意味で、完璧な作りだと感じました。死角がない。音が髪の毛一本程の隙間もなく編み込まれているという意味でも、要塞みたいな鉄壁さ。
歌詞に関しては、どうしてもジェネレーションギャップを感じるところは否めなかった…近年の若手アーティストさんって、同世代への共鳴を狙ってる事が多い気がするんですよね。でも、長年シーンのトップを走り続けるリリシストって、世代や時代に関係なく、普遍的で誰にでも共感出来る間口の広い歌詞を書く人が多い気がして。このmajikoさんというシンガーにもぜひ息の長いアーティストになってほしいので、他者の提供を受けるにしろ自身で書くにしろ、より多くの人の共感を得られる歌詞を歌っていけるといいんじゃないかなーと感じました。




お気に入りは、#02 『ワンダーランド』#03 『MONSTER PARTY』#04 『狂おしいほど僕には美しい』#05 『パラノイア』#07 『レイトショー』#10 『マッシュルーム』




この作品が好きなら、・『だから僕は音楽を辞めた』/ヨルシカ・『ロザリーナ』/ロザリーナ・『ハイパークラクション』/ポルカドットスティングレイなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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