>オリジナルフルアルバム

>タイトル:教室の一角より

>アーティスト:TETORA

>リリース日:2019年 6月 26日

>記事作成日:2022年 9月 16日






久しぶりに聴きました!


アルバム『me me』が物凄く好きでして。そこから遡って、こちらの1st.フルへ。


それにしても…令和のご時世に、サブスク配信もしていなければ配信ダウンロードすらしておらず、音源を聴くためにはCDを購入するしかないという…何ともストロングスタイルな活動方針。物販も、ライブ会場でしか販売しないという徹底ぶり。これは、主義とかポリシーとかいうよりももはや意固地な気がする(笑) それだけでもう、大好きです。




『素直』

音楽の専門的な事はぼくには分からんけど、聴くたびに思う…冒頭のボーカル&ギターのみの部分からリズム隊が重なるところで、謎の転調してない⁉︎   聴き間違い?? 転調してるとしたら、斬新すぎだよなぁ…。

メロディは、やはり恐ろしくキャッチー。それを轟音が下支えする感じで、分かりやすいロックンロールが好きなぼくとしては、もう垂涎モノですわ。

歌詞がまた…思春期を煮詰めて結晶にした感じ。


『出来ないよ』

歌い方が、ちょっとFINLANDS塩入さん過ぎないか⁉︎と思うところは無くもないけど(笑)、曲のイメージにぴったりハマっているからぐうの音も出ない。

パワフルな演奏陣に、繊細なストーリー。そのギャップが、このバンドの魅力。


『今日くらいは』

ちょっとポップに、カジュアルに。あ、あくまでサウンドの話(歌詞が描くストーリーは、引き続き不安定で繊細)。こうやって、ちゃんと、引き算のアレンジというか“隙間”のあるアレンジを組み立てられるから好き。系統は統一されてるけど画一的ではないから飽きが来ないしクドくない。


『もう立派な大人』

一曲の中に、随分と色んなアイデアを盛り込んだなぁという感じのアレンジ。構成的にはリフレインしているところも1番と2番とでアレンジが違ったり、「そこ、歌わないんかーい」みたいなところがあったり(笑) ジェットコースター的。しかも、スペースマウンテンみたいに、展開が読めない。


『告白』

再び、カジュアル寄りのアレンジ。ざっくり言っちゃうと、「SHISHAMOがやっててもおかしくない」感じ(笑) 普段はFINLANDSみたいなクールでアシッドな作風なのに。…………いや、アーティストをアーティストで例えるのは良くないな。分かりづらいし、パクリだカブリだのを揶揄しているように聞こえてしまう(そんな意図は全くないです)。

パキッと乾いた音なのに、何故だかほんのりウェッティな感触もある、そんなミドルチューン。


『ずるい人』

一瞬、「どういうシチュエーション⁉︎」というのが飲み込めない歌詞だけど…でも、この、エモーションがほとばしる感じが良いですね。思春期を追体験させられる感じ。いや、ぼく自身はこんなにドラマチックな思春期は過ごしてないんだけれども(笑)

とにかく、Bメロのボーカルラインが好きだわ。派手ではないんだけど、物凄く凝った感じがする。歌詞の世界観が醸し出す“温度”に対して、非常に的確に彩りを加えている。


『ワンダーランド』

前曲からの境目が分からない曲(笑) 初めて聴いた時は、この曲を“前曲のCメロ”かと思ったもん。

落ち着いたテンポの、だからその分重厚感のあるアレンジの曲。それこそ思春期感が強いというか、アレコレと考え過ぎて重たい感情に押しつぶされそうな、あの思春期特有の倦怠感が見事に再現されているサウンド。ハスキーなボーカルが感傷的に響く…。


『とおい』

ここまでのどの曲とも、微妙に雰囲気が違う曲。なんというか、ポツネンと佇む孤独感みたいなものを感じる。ボーカルは引き続きエモーションがたぎっているし、サウンドも引き続きラウドでアツいんだけど…でも、なんか、そこはかとなく寂しい気持ちになるんだなぁ。


『頑張れた』

良いタイトル!(笑) このマインド大事!!

この曲の歌詞を意訳というか超訳すると…打首獄門同好会の『布団の中から出たくない』になりますよね(笑) なんというか…ここまで“熱のない”歌詞も書けるんだなぁって思いました。大概の曲は「ムカつく」「悲しい悲しくない」「何でだよ」がギッチギチに詰まってるので、そういうのが少ないこの曲に、なんか新鮮さを感じるのです。こういうのも、必要だと思う。


『イーストヒルズ』

青春を煮詰めた結晶みたいな曲が、ここにも1つ。ほんとに、若手のバンドが放つこういう歌詞の曲を聴くたびに思うんだけど…こういう曲を聴いて切なくなるのが若者で、ほろ苦い気持ちになるのがおっさんおばさん。ぼくは、ほろ苦い気持ちになるようになってから久しいなぁ(笑) こういう曲を聴いて、若いエキスを吸収する。

ライブで聴きたい感じの、“直球”な轟音痛快ロックンロール!


『日常』

これは、『頑張れた』同様、変な力みや抑圧のないフラットな聴き心地の曲。なんかホッとします。リリシスト的には、次曲『レイリー』の一節「バカな振りでい」るみたいなモードで作詞してるのかもしれないなー。それはそれで必要なスキル。表現の“引き出し”なんてものは、多いに越した事がないとぼくは思う。


『憧れ』

前半は、非常にキャッチーで“分かりやすい”アレンジ。「こんなん、フェスでやったら動員増えるだろうなー」って感じの、適度に可愛らしくて適度に青春パンクの系譜を感じさせて、そしてほんのりセンチメンタル。

でも、バスドラがドカドカ鳴り出すあたりから、ギアがトップに入っていく。ただキャッチー「なだけ」では終わらず、アルバムの〆を飾るにふさわしいハイライト感が出てくる。これはきっと、ライブでも終盤に据えられるんじゃないかなーっていう印象。オーディエンスにもコーラスしてもらいながら(コロナ禍では無理だけど)合唱になって大団円でライブを終える感じが、勝手に想像出来てしまう(笑)




そんな、計13曲。


2nd.『me me』に比べるとだいぶ荒削りな感じはありますが、でも、逆に言えばキッチリと“1st.の役割”を果たしているとも言えるかと。綺麗にまとまった作品や複雑に練り込まれた作品などは、経験を重ねればいくらでも作れるようになると思いますが、初期衝動と鬱屈した情熱をなりふり構わず銀盤めがけて叩きつける事が出来るのは、活動初期だけですからね。


それにしても、ヘンテコな事をよくやる人たちだなぁと思います(もちろん褒め言葉)。主に、ワードチョイスに関して。「そのメロディなら、もっと文字数的にぴったりハマる、同義の別単語(別表現)があると思うんだけどなぁ〜」って思うところが、端々にある。音符が3つなのに2音の言葉を乗せていたり、逆に音符は3つなのに5音の単語をギュッと詰め込んでたり(数字はイメージです)。それが良い感じにアクセントになり、オリジナリティを生んでる。納豆みたいな感じなんですかね、万人ウケはしないかもしれないけどクセになるとどんどん欲してしまう…そんな特殊な魅力。


ちなみに、本作の感想を書くためにホームページを確認したら、新作が出ているではないか!!!

さっそくポチッとしました。早く届かないかな、楽しみ!






お気に入りは、

#01 『素直』

#03 『今日くらいは』

#06 『ずるい人』

#09 『頑張れた』

#13 『憧れ』






この作品が好きなら、

・『LUCKY』/Lucie, Too

・『かけがえなくなりたい』/カネヨリマサル

・『hanamuke』/Hump Back

などもいかがでしょうか。






DLしてライブラリに追加!レベル(^∇^)

…フィジカル限定作品ですが。











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