>オリジナルフルアルバム

>タイトル:PEOPLE

>アーティスト:PEOPLE 1

>リリース日:2021年 11月 24日

>記事作成日:2022年 7月 7日






聴きました!


“気分だけでもロッキン2022”シリーズその⑦!

幼児の居る我が家では野外フェス参戦などもってのほかなんだけど、夏フェス気分は味わいたい…という事で、ロッキンに参戦してた頃にやってた“予習”(まだ聴いた事のないアーティストの作品を聴いて、参戦するかどうかを決める作業)だけでもやって、気分を盛り上げたいなぁと。


今回はPEOPLE 1さん。

正直、お名前も今回初めて知りました。情報が少な過ぎて、ソロアーティストさんなのかバンドなのか何かしらのユニットなのかも分からない。敢えて調べていないので、今の時点でまだ分かってない(笑) でも、音楽の感じは、物凄く好きだった。この感じ、好きだわぁ。




『PEOPLE』

イントロダクション。事前情報がなさ過ぎなんで、パワーコードのギターがギャーンて鳴る感じでも急にラップが始まる感じでも、和楽器の音が鳴り出しても打ち込みのクールな音がしても、どれが来たって良いようにはしてたんだけど…音がごった煮になってるこのミクスチャー感は、気持ちいいなー。初めて聴いた時、このイントロダクションの時点で好きになりました。


『怪獣』

Aメロの時点で好き(笑) 音数に対して言葉数が多過ぎて…茶碗1膳分の白飯に特盛牛丼の具を乗せてる感じ。そんなん、ワクワクしかしなくないですか?

言葉数がめっちゃ多いのに、それが非常に綺麗に、美しく、数学的に並んでいて。そのサマが好きなんだと思う。言葉数が多いだけの音楽ならごまんとあるんだけど、凄く整列してる感じが好きだ。

ボーカルは、ちょっと引くくらいに熱い(笑) 一瞬引くけど、そのあとツボる。


『魔法の歌』

一転して、さわやかなポップチューン。この曲のタイミングで、「あぁ、少なくともボーカルはおふたりいらっしゃるのね」という事が分かる。

例えば前曲とこの曲がラジオから続けて流れてきたら、同じグループの曲だとは絶対思わないと思う。

メロディアスでキャッチーななボーカルが、とても印象的。アレンジにも“抜け感”があって、アレンジ的には完全にサマーチューン然としている。


『アイワナビーフリー』

再び、しゃがれ声でラップテイストの方のほうのボーカルに戻って。“キャッチーな毒っ気”、もしくは“可愛らしい歪み”…そんなイメージですね。例えるならFAKE TYPE.みたいな、憎めないアシッド感が気持ち良い。結構ヒネクレた雰囲気の曲なのに、どこか“楽しく”聴く事が出来ます。


『フロップニク』

ここまで来ると、これはもう“ヒップホップ”って感じですね。ヒップホップというか、ラップロック(ミクスチャーロック)というか。言葉がいちいち音符をガッチリと掴んでいて、だから気持ち良いんだよなぁ。やっぱりこの方々の音楽には、数学的というか幾何学的というか、そういう魅力がある。


『ラヴ・ソング』

まじかよ…が、最初の印象。こんなにどストレートな曲タイトルは、意外性を演出するためのフリとしか思えない!って思ってたんだけど(愛を皮肉ったり、おちょくってみたり)、すげーストレートなラヴソングだった…。おいおいカッコいいじゃないか! 若い世代の人が、率直に、真摯に、愛を歌うだなんて。斜に構えてニヒルに笑って本心を煙に巻くってのが、若い世代が“愛”を表現する際の常套手段だろうに(笑) 真剣に、真摯に、でも重くはならずフランクにフランクに愛を歌える…もしかしてもはや40代くらいのアーティストなのか⁉︎(笑) 等々を思い、「マジかよ」。

すげぇいい歌。


『PEOPLE2』

インタールード。一言で言えば、「おもちゃ箱をひっくり返したような」音。色んな音がサンプリングされていて、音が洪水。それでもやっぱり、ちゃんと音が“整列”してるんだよなぁ。気持ち良い。


『スクール‼︎』

もう、思春期を脱してからどれくらいだろう。学校という枠組みから離れてどれくらいだろう。これだけ時間が経ってしまうと、あの時真剣に悩んでいた事を「なんでそんな事で悩んでたんだろう」「世界はもっと広いのに、なんで学校が世界の全てみたいに思ってたんだろう」って、本気で思います。別に、今まさに渦中に居る人たちの悩みや苦労を軽んじるわけではなく。自分に合わないコミュニティなら抜けちゃえば良いし、今いるコミュニティ以外にも世の中にはありとあらゆるコミュニティがあるから、自分に合ったものを探せば良いんだよって。“経験者は語る”的な(苦笑)…なんか、そんな事を考えちゃう曲。この曲が、このリリックが何を言わんとしているのかはまだ咀嚼出来ていないんだけど、なんかそういう事を考えてしまう曲なんだ。


『ゴースト』

妖しげな雰囲気は、だけど気持ち悪くはなくむしろフランクですらある。『ONE PIECE』で言うスリラーバークみたいな雰囲気なのかな。イメージの話。

そんな訳で、スリラーバーク編を読んでるような、もしくは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を観ているような、そんな音。もっとも、歌詞だけは、もう少し後ろ向きで、繊細で、煌びやかではない雰囲気が滲み出てきているけれども(けれども、この歌詞が何を言わんとしているのか…まだよく分かっていない)。


『東京』

爽やかside。程よくアップテンポで解放感あるアレンジに、ほんのり感傷的な歌詞が乗る。あくまでもスタイリッシュに、そしてそこはかとなくセンチメンタルに…まさに、東京の空気感のイメージそのものって感じの曲。

この辺まで聴いて気付くけど、爽やかsideのリリシストさん、結構ネガティブですよね(笑) ネガティブというか、重いというか。いや、そこがぼくは好きなんだけれども。


『常夜灯』

ミドルチューン。肩の力が程よく抜けた、軽快なポップソング。歌詞にはやはりほんのりと考えすぎのフレーバーがありますが(繰り返しますが、そこが好きなんですよ!)、曲全体の雰囲気で言うとすごーく気楽に聴ける。

ベースの存在感が大きいアレンジも、ぼく好み。音数は多くない(“隙間”が沢山ある)のに、こんなに濃厚な聴き応え。


『113号室』

ヒップホップ食の強いバラード。同じバラードでも、爽やか系ボーカルさんが作る(そして歌う)シティポップ感のあるソレとこちらのMC系ボーカルさんが作る(そして歌う)メロウヒップホップという2つの方向性が表現出来るのは、凄い強みだと思う。

哀愁の滲む“しみったれた”世界観が良いですね。“綺麗”じゃないのが、凄くいい。


『エッジワース・カイパーベルト』

ここへ来ての、ツインボーカル揃い踏み。同じバンドメンバーでやってる曲なのに、なんか凄く特別感を感じる(笑) 「夢のコラボレーション」みたいな。

この曲は、他の曲たちとちょっと雰囲気が違うような…イメージとしては、冒険系アニメのオープニングに使われてそうな、分かりやすくアッパーでエネルギッシュな曲。


『僕の心』

温もりのあるサウンドに、キャッチーなメロディ。オケだけ聴くと、ハートフルな曲。しかし、歌詞に耳目を向けると、あまりにもさらりと自然に、ネガティブなフレーズが聴こえてくるから驚く(笑) 比較的音数が少なくゆったりとした入り口から、少しずつ熱を帯びていき、あったかい音で“大団円”を迎えるオケ。フツーはその構成に合わせて、迷いとか不安とか葛藤から始めて「それでも前を向いていく」みたいな内容で“落とす”というのがある意味での歌詞のセオリーな訳じゃないですか! ところがどっこい、ラスサビで歌われるのが「もうほっといてほしいよ」ですからね。度肝を抜かれるとはこの事(笑) 新しい世代が来てるんだなぁ…って。


『バンド』

バンドのイメージを、そのまま凝縮したような曲。いろんな人が、いろんなものが、いろんな要素が重なり合って、一つのカタマリになる。そのさまが、音として伝わってくる。薄暗い軽音の部室の、カビ臭い雑な防音室の、接触の悪いアンプや鳴りの悪いバスドラや誰のかも分からない壊れかけのアコギや…そういうのを使って、ガタガタだけど最高に楽しい音を出していたあの感覚が、蘇る曲。特にぼく(ら)は、イヤにメッセージ性が変に強い斜に構えた重たい曲を作ってやっていたので、このバンドの歌詞に同じ匂いを感じてしまって、胸がキュッとするのですよ…(自分たちの曲がこの方々の作品と同レベルだとか、そんな事は思ってないですよ?あくまでも系統と傾向の話)。


そんな、計14曲。


これを書いている今、初めて、このバンド?ユニット?まさかのソロ?…のウィキペディアを見ましたよ。

唖然…ボーカルがお二方居るのは想像出来たんですが、てっきり、それぞれが自身のメインボーカルの曲を作ってらっしゃると思ってたんです(上記の感想も、そういう前提で書いてます)。でも、実際には、作詞作曲をお一方がやられてたんですね! しかも、ラップ調のボーカルの人のほうが!! すげぇな!すげぇな!!すげぇな!!! メロディアスで洒脱なポップチューンと、リズミカルでエモーショナルなラップ曲と。同じ頭から、この2つが生み出される…すごい!


良いバンド、見つけました。


これは、フェスだったらぜひ観に行きたかったなぁ〜。

炎天下の日差しの下、これ以上にないくらいに「夏っ!」っていうシチュエーションで、涼しげに後ろ向きなこのバンドの歌詞を堪能したい(笑) きっと、脳がバグるはず。

 





お気に入りは、

#01 『PEOPLE』

#02 『怪獣』

#03 『魔法の歌』

#06 『ラヴ・ソング』

#10 『東京』

#11 『常夜灯』

#12 『113号室』

#13 『僕の心』

#14 『バンド』






この作品が好きなら、

・『魔法が使えないから』/とけた電球

・『FAKE LAND』/FAKE TYPE.

・『がらんどう』/ズーカラデル

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/











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