>オリジナルフルアルバム
>タイトル:FUNKAHOLiC
>アーティスト:スガシカオ
>リリース日:2008年 9月 10日
>記事作成日:2021年 9月 5日





久しぶりに聴きました!

オーガスタ時代のスガさんの作品。独立以後の作風とは、明らかに異なります。



『バナナの国の黄色い戦争』
メジャーアーティストの作品として、ギリギリだと思う(笑) メジャーって、極論すると“セールスが見込める音楽かどうか”がキーポイントだと思うんだけど…キャッチーさ(=セールスに繋がる)と芸術性(=スガさんが信じる音楽)の、ちょうど中間の感じがするファンクチューン。スガさん自身が信じる音楽を、ブレが生じない範囲で商業ベースに落とし込んでる感じがして、凄く面白い。

『NOBODY KNOWS』
シングル曲。当時は「キャッチーな曲だなぁ」くらいにしか思ってなかったけど、今回改めて聴いたら、この曲もだいぶファンクで、決して“耳馴染みの良い” “大衆向け”の音楽とは言えない感じがしました。この時期のスガさん、戦ってんなぁ…って感じ。

『POP MUSIC』
「ファンクだなぁ」「フォーマット化されたヒットチャートに中指突き立ててんなぁ」って思った矢先に、『POP MUSIC』。
スガさんは、やっぱり、毒があってこそのポップチューンですよね。おそらく、この曲だけポンと聴かされたらあんまり引っかかんなかった気がする。このアルバムの、この流れで聴く事で、初めて面白味を感じられるというか。

『プラネタリウム』
一気に、メロウでセンチメンタルで繊細なバラードチューンへ。「スガシカオと言えば『夜空ノムコウ』」派の人には、おそらく直球ストレートな曲。美しい情景描写に垢抜けたアレンジ、でも気を抜くと刺さってくるトゲ。なんて美しく、なんてシニカルな曲なのか。

『Call My Name』
そして、なんてゲスい歌詞なのか(笑) いや、「ゲスい」というか、「生々しい」…いや「生臭い」が正解かもしれない。でも、この方のこういう歌詞に触れるたびに、「世の中の(歌詞のある)音楽は、物事の一面だけにフィーチャーしすぎだよな」と思う。どんなに激しい恋愛をしていたとしてもお腹は空くし、どんなに絶望のどん底に居たってトイレには行きたくなる。スガさんは、この例で言う食事やトイレも含めて歌詞にするから面白い。そんな事を、この曲を聴きながら考えました。

『FUNKAHOLiC』
表題曲…なんだけど、ぼくは曲タイトルを見ただけだと一瞬「『FUNKAHOLiC』ってどんな曲だっけ?」ってなってしまいがち(笑) 失礼ながら、そんなに印象に残ってないのかなぁ。実際に音を聴くと、ファンキーでアッパーでグルーヴィな雰囲気に脳天痺れるんですけどね。

『フォノスコープ』
シングル曲だし、確か当時CMに使われていたハズ。なによりも驚くのは、ヴァース(特にAメロ)とサビの雰囲気の違い。サビだけ抜き取ると「まさにCMソングに打って付け!」って感じのキャッチーでポップな曲なんだけど…イントロ(間奏)〜Aメロにかけての、マニアックで、ねっとりしていて、何とも変態的な雰囲気とのギャップが凄すぎて。凄すぎて…好き(笑)

『潔癖』
そんな、マニアックでねっとりしていて何とも変態的な雰囲気を、純粋培養して全編に詰め込んだような曲(笑)…いや、そうとだけ書くとなんか語弊がある気もするけど。“一途さ”と“ストーキング気質”って、紙一重だったりするじゃないですか、そんな感じ。歌詞の内容的にも、こういう音楽を作るスガさんも。

『13階のエレベーター』
ファンキーな曲やポップチューンが続いてきましたが、この曲はロックチューン。歪んだギターと色んなSEが、なんか猥雑な雰囲気を醸し出す。でも、ヴァースの鬱屈とした感じが、サビで一気に吹っ飛ぶようなアレンジには爽快感を感じます。そうやって、息苦しい日常も一気に吹き飛ぶ瞬間があればいいのに(コロナ禍では無理だよなぁ)。

『コノユビトマレ』
冒頭のベースを軸としたイントロには意外性を感じますが、それ以外の部分は、比較的“オーソドックス”なポップチューン。歌詞には力強いメッセージがあって、メロディはとても分かりやすく、イントロや間奏部分以外のアレンジはとてもマイルド。“ザ・シングル曲”。
しかし…あらゆる場所に分断が起きている2021年のコロナ禍にあって、この曲の歌詞は、改めて広く広まるべきだなぁと思う。

『sofa』
タイトルだけ見ると、なんかラグジュアリーな感じさえしますが…サウンドは確かに贅沢で、品もあって、ゴージャスな感じがするけれども、全体的な雰囲気としてはどこかスレた感じがして、そこが好き。
正直、リリース当時はこの曲の良さはよく分からなかったなぁ(別に「嫌い」とかそういう事じゃなくて)。今回久しぶりに聴いた時に、音(音質と、アレンジ)に耳が向いて。そうやって聴いたら、ゾクゾクする程良かった。上質なブラックコーヒーみたいな曲。苦味すらも旨い感じ。だからって訳じゃないけど、のちの作品『コーヒー』(『Sugarless Ⅱ』に収録)に通じる匂いを感じるんです。

『宇宙』
ぼくは、スガさんの『兆し』とか『風なぎ』とか『波光』とか『月とナイフ』とか…その辺の曲がもう本当に大好きで。系統としては、この曲もそっちに分類出来る感じ(曲自体が似てるとかカブってるとかの話じゃないですよ!)。
宇宙って、未知への期待と広大さと無限の可能性等々によって眩しく明るい存在に感じる時と、圧倒的な孤独と予測のつかない不安と価値観を根底から覆されそうなスケール感に己のちっぽけさを知らしめられて切ない気分になる時と、両方あると思うんです。こちらは、どちらかというと後者。



そんな、計12曲。

『sofa』の感想のとこにも書いたけど、あの曲だけでなく本作全般を通して、リリース当時は今ひとつハマり切れなかった記憶があるんです。もちろん悪い作品じゃないとは思いつつ、このファンキーなグルーヴ感を渦の外から傍観している感覚で。
でも、何故だか今回は、渦の内側で、この渦に飲み込まれる事を楽しめた感覚がありました。歳を重ねたりする中で、自分の感受性というか音楽の聴き方とかになんか変化が生じているのかもしれない。そういう事があるから、過去作を時々聴き直すというのが楽しいんだなぁ。





お気に入りは、
#02 『NOBODY KNOWS』
#04 『プラネタリウム』
#07 『フォノスコープ』
#11 『sofa』





この作品が好きなら、
・『POP VIRUS』/星野源
・『Joyful Style』/BRADIO
などもいかがでしょうか。





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