>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Individuality
>アーティスト:こゑだ
>リリース日:2021年 6月 23日
>記事作成日:2021年 7月 18日





聴きました!

お初のアーティストさん。失礼ながら全く存じ上げませんで。しかも、そのアーティストネームに「あぁはいはい、このトリッキーな字面の名前は、またアイドル系もしくはネット系の新アーティストなのね」くらいにしか思わなかったんですが… 黒木渚さんやLEGO BIG MORLさんなど、楽曲提供者がぼく好みな感じだったので、チェックしてみる事にしたんです。で、「ついでに簡単な経歴も…」と思って検索してみたら、活動歴、長っ!!! しかも、supercellでボーカルを務めた事もあるんですね。全然、“ぽっと出の素人あがり”の人じゃなかった(笑)



『Input』
インスト曲。イントロダクション的なヤツですね。
変に誤魔化しても仕方ないので率直に書きますが…この曲が“ピーク”だった感じ(ごめんなさい)。生活音に喋りやハミングが重なって、凄くワクワクする曲。ここから、デジタルサウンドに舵を切ってデジポップ的な世界観が広がる可能性もあるし、アコースティックのふんわり優しい世界になっていってもおかしくない。この次にどんな音楽がやってくるのか、ワクワクとドキドキが止まらなくなる曲。

『パープル』
イントロのピックスクラッチの辺りで、ぶっちゃけ、「あぁ…こっち系か〜っ!」と思ってしまった。軽さに特化したリズム隊に、分かりやすく歪んだギターに、速めのBPMに、ピックスクラッチ…ぼくの思う“アニメソング”そのもの。いや、この曲がアニソンかどうかは知りませんが、いわゆるアニソン的なソレ。アニソンを頭ごなしに否定するつもりはないんですが、オリジナリティよりも様式美みたいなものが尊重されるアレンジのものが凄く多いジャンルな印象があって、アーティストごとのオリジナリティを楽しみたいぼくはちょっと敬遠してしまいがちなんですよね。その“様式美”が、まるまる詰まった曲。そういう意味で、「あぁ、そっち系か〜!」。
でも、プロデュースはゴリゴリにロック畑、マイファスの方なんですねぇ…。

『Straw』
BPMを落として、ちょっとセンチメンタルに。瑞々しいメロディ、嫌いじゃないですね。前曲で勝手に残念な気持ちになって、この曲でちょっと持ち直す。

『Little Daisy』
「東京」というワードを歌詞に盛り込んだ曲は古今東西たくさんありますが…東京って、ズルいですよね(笑) だって、歌詞の「東京」を例えば「茨城」やら「埼玉」なんかにしたら、途端に変な感じになっちゃうじゃないですか…なんとなく、そんな事を考えてしまう曲(笑)
アレンジは好きです。ちなみに、アレンジはLEGOとflumpool阪井さん、ドラムスはレミオロメンのオサさんだそうな。わーお。

『18』
アッパーなロックチューン。アレンジ的にも、サウンド的にも、そして歌詞(ストーリーテリング)の意味でも“直球ど真ん中”って感じの、ヒット(安打)を狙いに行ってる感じは、好きです。聴きやすい事は、大事。

『Middle Finger』
テンションをぐっと抑えて、あくまで洒脱であくまで都会的な空気感を徹底した印象の曲。アレンジにしてもボーカルにしても、意図的にクールさを強調してる感じですが、薄皮一枚めくれば激情が隠れているのがひしひし伝わってくる感じ、嫌いじゃないです。

『V.I.P.』
もうなんか…ひたすらわちゃわちゃしてる感じ(笑) ぶっ飛んだテンションに、刺激的な言葉選び。そして何よりも、もう何かのアニメのキャラソンにしか聴こえない感じのボーカル。曲によってボーカルのスタイルを大幅に変えてあるこのお方ですが、なんか“本質”というか“一番中心にあるもの”はこのボーカルスタイルな気がする。何となくの印象でしかないけど。ノリノリ感が、他のスタイルで歌ってる時と段違い(に聴こえる)。
サビのメロディのキャッチーさと、そこへの言葉の乗っけ方は秀逸。テトリスで、ピースがぴったりとハマった時のような気持ち良さがある。
ちなみにこの曲が黒木渚さんプロデュース曲。なんか意外。

『ふたりで』
一気に雰囲気を変えて、センチメンタルがぎゅうぎゅうに詰まったバラードへ。
非常に美しいメロディ。声にも程よい湿度があって、感傷的なんだけれどもどっか艶かしさもあったりなんかして。非常に均整が取れた、聴きやすいバラードです。メロディが良い曲だなぁと思ったら、作曲は桐嶋ノドカさんとの事! ぼくの好きなアーティストさんの名前が、次から次へと出るわ。ちなみにこの曲も、ドラムスはオサさん。そして、このアルバムにはプレイヤーとして四家卯大さんも参加されているそうですが、この曲のストリングスがそうかもしれない(確認出来てませんが、そんな気がする)。詰まるところ、「小林武史P界隈のクリエイターで出来ているアルバム」って感じ(小林P自体は関与してないみたいですが)。

『嘘』
続いてもバラード。なんか、他の曲に比べて訥々としているというか、ちょっとぶっきらぼう(?)な雰囲気を醸し出すボーカル。
このアルバムで、一番、重たい雰囲気の曲かも。重たくて、美しい。
ちなみに、これもまたドラムスはオサ氏。

『毒針』
冒頭の、テンション高いストリングスに、一瞬「フジファブリックの『Green Bird』が始まった⁉︎」と思ってしまう曲(笑) 何回聴いても思ってしまう。本編(歌)が始まると全然そんな事ないんですけどね。

『二等辺三角関係』
ストリングスが美しいスロウバラード。ピアノの音色も優しく、ボーカルはそれよりももっと優しく。その優しい雰囲気が、胸のナイーブな部分をガシガシに突いてくる(笑) なんて素晴らしく、なんてドSなバラードなんだ。
バンドレスの、鍵盤とストリングスだけのアレンジが凄く良い。ちなみにアレンジはバイオリニストの吉田翔平さんというお方だそうな。ソロ作とか出てるなら聴いてみたいな。

『ピーポーピーポー』
LEGO BIG MORLプレゼンツ!!!
近年(ドラムス大ちゃんさんが脱退した辺り以降でしょうか)のレゴの、エレクトロ寄りのシャープな音像そのものの曲。Aメロのゴニョゴニョしたメロディライン(笑)が、レゴそのもの。サビで一気に広がっていく感じも、レゴのそれ。爽やかなんだけど“ちゃんと”シニカルなのが良いですね。水のカタマリで殴られるような感覚。爽快なのに、ちゃんと居たい。
野暮な事を言わずには居られないのですが…LEGOバージョンも聴いてみたい…。

『滅亡前夜』
こちらも黒木渚さんの提供曲。聴きやすいクセに恐ろしく難しい事をしてる…コレ、ただ聴くのの20倍くらい、歌うのが難しそう。『V.I.P.』は黒木渚作と聴いて意外な感じがしましたが、こちらは凄く納得な感じ。

『Output』
アウトロ的インスト曲。やはり、このインスト曲にもワクワクとドキドキがあった。ドラマがあるというか…この音とこのメロディから、色んなストーリーがポップアップウィンドウのようにポンポン浮き出てくる。この曲があれば、ぼくにも素敵な物語が書けそう。
星座の星みたいな感じでしょうか、インスピレーションを刺激する音が点在していて、それを聴き手が繋ぎ合わせながら自由に物語を描ける感じ。



そんな、計14曲。

いやぁ…これは中々に難しいぞ。どんな作品だったのか、自分の中でしっくり来る表現が無い。
聴きやすい、良いアルバムだったと思います。“いわゆるJ-POP”的なものからアニソン的なものから本格派バラードまで。バリエーションがあって、でも聴きやすさという意味では一貫している。
一方で、もうちょっと“この方ならでは”の部分が欲しかったかなぁとも思う。さっきまで聴いていたばかりの今この瞬間にも、「最近よくある“ネット発”系ミュージック」というぼんやりした印象に落ち着いてしまいそうな感じがちょっとだけあるかも。
何よりも、一曲目のイントロダクションでイマジネーションを刺激されすぎちゃって…そこの期待値と比較して、本編の曲たちが「想像を超えてこなかった」というか。そこの落差が激しかったんだと思います。いや、こっちが勝手に期待値を上げちゃっただけなんですけどね。
個々の曲を別個で聴けば「いいじゃん」って思えるものも多かったんですが、アルバムというまとまりで聴くと、そんな感じを抱いてしまった所存です。

いやほんと、変な先入観なく聴ければ全然素敵な曲揃い!!!!!



お気に入りは、
#01 『Input』
#05 『18』
#11 『二等辺三角関係』
#12 『ピーポーピーポー』
#14 『Output』





この作品が好きなら、
・『ミカヅキの航海』/さユり
・『ロザリーナ』/ロザリーナ
などもいかがでしょうか。





サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)










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