>ベストアルバム
>タイトル:SEKAI NO OWARI 2010-2019
>アーティスト:SEKAI NO OWARI
>リリース日:2021年 2月 10日
>記事作成日:2021年 4月 6日





聴きました!

本作のリリースを知って、自分の中で湧いた気持ちに、自分でちょっと驚きました…正直、特に興味が向かなかったんですよね。それはネガティブな意味じゃなくて。
ぼくは、好きなアーティスト程、ベスト盤に興味が向かなくて。だって、収録されているのは散々聴き尽くした曲ばかりなんだから(笑) 今回、セカオワがベスト盤を出すと知った時にも、「ふぅん」以上の感情が湧かなくて、そこで初めて、「あっ、ぼくって、そんなにもセカオワの音楽を聴いてきてるんだな」って気付いた次第です。インディーズ盤でハマったものの、メジャーデビューしてブレイクして以降の作品には“こじらせ中二病感”を強く感じてしまって、むしろ自分の中で敬遠しがちなアーティストだという認識だったので…。でも、よく考えれば、何だかんだ言いながら確かにリリースされた殆どの作品をタイムリーにチェックしてるんですよね。

ちなみに…多分この後、ぼくは“中二病”という言葉を何度か使うと思いますが、いつも断りを入れているように、揶揄するニュアンスの強い“厨二病”ではなく、単純に中2の頃のあの感覚を残しているという意味での“中二病”という使い方をしてますので悪しからず。嘲笑するような意図は一切含んでいません。ぼくも、中2の頃がありましたし。



Disc 1から。



『幻の命』
懐かしい…。これは、その“どハマりしたインディーズ盤”である『EARTH』の収録曲。今思えば、インディー時代の作品も“中二病感”は強いんですよね。ただ、この時期は“中2が中二病感を出してる”ように感じていて、だから全然気にならなかったのかも。

『虹色の戦争』
歌詞には主義主張が詰まってる感じがするものの、アレンジ面ではアッパーなポップチューンに振り切っていて、だからカジュアルに聴ける。

『スターライトパレード』
ストリングスが取り入れられて、一気にスケール感が増したアレンジ。この辺りからキラキラしてファンタジックなアレンジが増えていった印象です。

『天使と悪魔』
うーん…この曲の頃に、初めて「おや?」って思った記憶がある。それまでは、手放しで好きなアーティストだったんですが。歌詞が、ちょっと安易な善悪二元論的な感じに聴こえてしまって。いや、「その正義は本当に正義で、その悪は本当に悪なのか?」みたいなアンチテーゼ的展開なんだけど、その論旨自体が使い古されたもののように感じてしまって。
今回、別に何の気なく聴いたら、普通に聴き易いポップチューンだったですけどね(笑)

『Love the warz』
確か、初めて聴いた時には「おぉっ!」と驚いた気がします。そこまでは、あんまりこういう分かりやすくダークでシニナルな曲調って無かった気がするので。
今にして思えば、このくらいの変化はセカオワの変化の歴史のまだまだ序盤な訳ですが(笑)

『yume』
この時期のセカオワの音楽性を、ギュッと固めて音にしたような感じ。キラキラしていて、圧倒的に耳馴染みが良くて、そして歌詞は“カジュアルに後ろ向き”(笑)

『銀河街の悪夢』
まぁ、もう、タイトルからして芝居がかってますからね…ほんとに、完全に“ストーリーテリング”をしている歌詞。
あんまりオケに注目して聴いた事がなかったんだけど、今回そうやって聴いてみたら、結構好きだったかも。イメージ的には“音楽”っていうよりも“SE”というか“劇伴音楽”みたいで、面白い。

『花鳥風月』
当時、「随分歌詞が優等生的だな」と思ってたんだけど、これ、藤崎さんが作詞してるんですね。知らんかった。
これは、とにかくメロディとアレンジが好きです。派手さはないけど非常に印象に残る。メロディが主役で、それが最大限に映えるようにアレンジが配置されてる気がして、それが好きなのかも。

『死の魔法』
今回のベスト盤の曲タイトルの並びを見た時に、この曲からの数曲の並びのファンタジー感に笑ってしまった(笑) ドラクエなりハリーポッターなりのサブタイトルを抜き出したんじゃないか?っていう。

『不死鳥』
…なーんてタイトルいじりはしつつ、曲自体は好きだったりする。特にこの曲なんか、小洒落たギターアレンジに耳を奪われる、スタイリッシュなアレンジがとてもいい。

『眠り姫』
純粋に肯定的な気持ちで聴けたのって、このシングルまでだったかもしれない(笑) この曲も結構ベタにファンタジックな世界観なんだけど、でも「ファンタジーになぞらえた現実世界の歌」って解釈が出来ていたので。この次のシングル『RPG』の時に、「なんかぼくの知ってるセカオワとは違くなってきたのかも」と気付いた記憶が。

『炎と森のカーニバル』
そういう意味ではもう完全に“売れて以降のセカオワ”な曲で、当時は「あれれー、完全に路線変更したんだな」なんて思ったんだけど…今回改めて聴いたら、なんか、フツーに良かった(笑) 要は、ぼくの受け取り方の問題なんだろうな。
ウキウキするような、遊園地みたいな曲。

『深い森』
雰囲気的には、『炎とー』と地続きな世界観って感じの、無邪気でワクワクする世界観。ちょっとアイリッシュな感じというんですかね、ゲームとかで見かけるアイリッシュバーみたいなイメージ。英詞なんで、何歌ってんのかはさっぱりですが(笑)
今回このベスト盤で、この曲の良さに初めて気付けたかも。

『Fight Music』
もう、完全に、当初あった“陰”の要素はゼロになって、とにかくイケイケな雰囲気の曲。もちろん悪かないんだけど、なんかちょっと、勝手に、「なんか違う」って思った記憶がある(笑)

『インスタントラジオ』
でも、この曲もとにかく陽性の勢いが強いんだけど、インディー盤収録のこの曲は普通に大好きなんですよね。ほんとに、聴き手であるぼくの受け取り方なんだと思う。なんかすいません。



続いてDisc 2。



『RPG』
ぼくが「なんかぼくが知ってるセカオワとは方向性が変わってきたのかも」って最初に思った曲。これもまた、今回フラットな気持ちで聴いたらフツーにいい曲だったんです(笑) やっぱ、モッズコート着込んで謎にトランシーバーで歌ってたあの姿になんか違和感を感じてしまって、曲を聴く時にもなんか変なバイアスがかかってたんだと思います。

『スノーマジックファンタジー』
でもさすがにこれは、今でもセルアウト気味に聴こえちゃいます。いや、商業的成功を求められるメジャーアーティストがその選択をする事には何の間違いも無いとは思うんだけど…あまりにも上手にやり過ぎていて、なんかあざとさみたいなものを(ぼくが勝手に)感じてしまうのです。。。

『プレゼント』
そんな、穿った見方(聴き方)をするぼくを諭すような歌詞(笑) うん、確かに「何も知らずに/知ろうともしなかった人のこと/どうして「嫌い」なんて言ったのだろう/流されていたんだ」とな…ぼくも流されてたのか?
耳が痛い曲。なんかごめんなさい(笑)

『MAGIC』
キラキラチューン。もう、それ以外に言いようがない、キラキラチューン。まさにこの曲は、魔法。

『ANTI-HERO』
もう、中二病路線でイケイケどんどんだったこの時期のこのアーティスト…この曲が配信リリースされて聴いた時に、「おっ?」と思ったんですよね。カフェオレに砂糖を足すようだったスウィート路線から、一気にブラックコーヒーみたいなソリッドな曲へ。アシッドなアレンジ、でもキャッチーさは損なっておらず、だから“ブラックコーヒー”というよりは“無糖/ミルクあり”な感じなのかな。この曲が無かったら、もしかしたら「あぁ、あの中二病の進行を抑えられてないバンドか」なんつって、完全に興味を失っていた可能性がある…。

『サザンカ』
確かオリンピックの中継テーマソングとかだった気が。だからかな、歌詞が、らしくない程にストレート。アレンジも、非常に分かりやすい。タイアップ曲としては大正解なのかもしれないけど、ぼく的には正直、印象に残らないくらいに地味な曲って感じだったなぁ。

『Death Disco』
もう、なんか、タイトルからして中二病感が満タンで…“神”とか“善悪”みたいなモチーフがが非常に頻繁に出てくるアーティストさんなんですよね。しかも絶対にシニカルな文脈で。一貫してると言えば一貫してるんだけど、「中々前に進んでいかないなぁ」とも思う。ずーーーーーーーーっと善悪に頭を悩ませてる印象。
…途中から完全に、『さまぁ〜ずの神ギ問』のテーマソングという印象しか無くなってしまいましたが(笑)

『LOVE SONG』
情熱的かつ感傷的なストリングスが印象的な曲。プラス、ベースに存在感があって好き。そういやこのバンドってベースレスですが、ベースはどうしてるんですかね? 打ち込み?シンセベース??サポートベーシスト???…なんか、この4人の非常に独特な関係性から察するに、サポートの人間を入れるイメージはあんまり出来ませんが。
例えば『Deathー』程に刺激的なサウンドではないけど、でもこっちのほうがよっぽどドロリとしていて、それが好き。

『ムーンライトステーション』
“銀河(=壮大)”な割に“月(=割と近所)”が迎えに来たり、こんなに分かりやすく横文字な曲タイトルなのに和楽器の音が聴こえてきたり…良く言えば「固定観念に囚われない」で、ぼくが感じる率直な気持ちは「アイデアが渋滞してる」(笑)

『YOKOHAMA blues』
これ、初めて聴いた時に、「好きだった頃のセカオワではないけど、これはこれで好き!」でした。
“アレフガルド大陸の剣と魔法の物語”から、“横浜の恋愛物語”になった感じ。どっちが優れているかとかじゃないんだろうけど、ぼくはこっちのほうが好き。

『イルミネーション』
なんか、幸福感に満ちた曲。ふんわりとあったかくて、ちょっとだけ切なくて。肩肘張ってないというか、トランシーバーで歌ってる人と同じと思えないというか(笑)
寒いけどあったかい、冬の歌。
これ、小林武史&四家卯大のゴールデンコンビがアレンジしてるんですね! そうと知らずに(多分忘れてただけだけど)聴いてもグッと来るぼくは、相当な小林Pホリック。

『Hey Ho』
バイオリンでしょうかね。それこそアイリッシュというか、ヨーロッパのほうの酒場的な、なんかウキウキする感じがします。このアレンジ、好きだなー。

『SOS』
なんか、色々と凄い曲。予備知識なく聴いて「セカオワだ!」って気付ける人、どれくらい居るんでしょうか。終始ファルセットの歌声、しかもピアノとストリングスがメインのクラシック音楽みたいなオケ。ふんわりとした曲なんだけど、ある意味でエッジが効いてる。

『Dragon Night』
この流れでドラゲナイか。
この曲で、正直、だいぶ“熱”が下がったんですよね…「この歌詞に、ぼくは何を想えば良いんだろう?」って(苦笑) 何となく聴き流すには良い音楽なんでしょうけども。

『RAIN』
これもまた、小林武史&四家卯大。
なんか、ここまでのバンド史を振り返るベスト盤という作品の最後で、こういう“地に足がついた”感じの曲が流れてきて、ほんとに…なんというか、大団円の様相。もちろんぼくみたいな部外者にはこのアーティストのどこが“地”で、どのくらいの“足”の長さで、何をもって「地に足がついた」なんて言えるのかはさっぱり分かりません。実際には凄い背伸びをしながらこの曲を生み出した可能性だってある。でも、ぼくにはなんか、このアーティストの“無理をしない等身大”がこの曲にあるように感じて、凄く沁みてくるんですよ。
この曲でシメって、本当に良い。



そんな、2枚組計30曲。

こうして改めて聴き返すと、イメージよりもずっと“聴きやすい曲”が多くて、そこにびっくりしました。
どうしてもね…モッズコート着込んでトランシーバーで歌うあの姿(何回言うんだ 笑)のインパクトが強すぎて。もっと中二病の、もっとセカイ系の、もっと気恥ずかしくなっちゃうような曲が多い印象だったんだけど、そんな事なかった。
そのギャップって何なんだろう?って思い返した時に思い当たったのは、多分音楽そのものじゃなくて、メディアで喋るこの方々の居住まいと雰囲気が醸し出すものだったんだろうなと。キャラ作りというか…影のあるボーカリストと、それを慈悲深く見守るピアニストと、無個性である事すらを“ストーリー”にしたギタリストと、謎のピエロ(笑)と。 もちろん、そのキャラ付けをしたのがご本人たちだとは限らず、マスコミかもしれないしスタッフかもしれないけども(そしてもちろん、ぼくがストローマンだった可能性も大いにある)。なんか、その辺が、シンプルに音楽を楽しみたいぼくにとってはぶっちゃけ邪魔だったというか…(そう考えると、意外と、ぼくが引っかかってたのってフロントの深瀬さんのコメントよりもナカジンさんや藤崎さんの発言なのかもしれない)。

今回、ベストを聴きながら、そういった“周辺情報”を気にせず聴いたら、フツーに良い曲が多かったんす。





お気に入りは、
○Disc 1
 #01 『幻の命』
 #02 『虹色の戦争』
 #08 『花鳥風月』
 #10 『不死鳥』
 #13 『深い森』
○Disc 2
 #05 『ANTI-HERO』
 #08 『LOVE SONG』
 #10 『YOKOHAMA blues』
 #15 『RAIN』





この作品が好きなら、
・『BUMP OF CHICKEN Ⅱ 〈2005-2010〉』/BUMP OF CHICKEN
・『5』/Mrs. GREEN APPLE
・『人間』/ぼくのりりっくのぼうよみ
などもいかがでしょうか。





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