>オリジナルフルアルバム
>タイトル:レキツ
>アーティスト:レキシ 
>リリース日:2011年 3月 16日
>記事作成日:2021年  4月 19日





久しぶりに聴きました!

レキシさんの作品で、まだ感想を書いていないものがあっただなんて。うっかりしてました。



『そうだレキシーランド行こう feat.MC末裔・MC四天王』
スチャダラパーのお二人を迎えて。
舞浜のほうにある例のねずみテーマパークを想起させる、でも確実にソレジャナイやつ(笑) 一番興味を惹かれたアトラクションは“パイレーツオブ玄界灘”。
BOSEさんのラップがキレッキレで、キレッキレなのに大した事を言ってないのが素晴らしい! 真剣に遊ぶ大人のカッコよさは、正に池ちゃんさんのスタイルと一緒。まぁ、その池ちゃんさんは殆ど「歴史のおじちゃん!」しか言ってないけど。

『きらきら武士 feat.Deyonna』
この曲の何が素晴らしいかって、Deyonna…つまり椎名林檎さんを一切打算的に使っていないところ。客演する事自体がかなり珍しい椎名林檎さんを引っ張り出しておきながら、その威光をセールスに繋げようとかいうそぶりが一切ない。だって、あんなにカリスマ的なボーカリストを招きながら、メインボーカルはあくまで池ちゃんさんですからね…最高級のお取り寄せグルメを購入しておきながら、その“匂い”だけで白飯食う感じに近い(笑) もちろん、ぼくは池ちゃんさんのボーカルそのものが大好きなので、別に“池ちゃん=白飯=大したモンじゃない”みたいな話ではないですけども。アレンジだって、もっとこう“フルテンでギャーン”なザ・林檎テイストに寄せる事だって出来ように、そんな匂いの一切しない至極爽快なポップチューンだし。
あまりにも我が道を行き過ぎていて尊敬するし、曲自体が“珠玉のポップチューン”感あり過ぎてそこも凄いし…あまりにも圧倒され過ぎてしまい、「“キラキラ武士”ってどんな武士だよ!」という基本のツッコミすら忘れてしまう程です(笑)

『ペリーダンシング feat. シャカッチ』
これ以上にないくらいグルーヴィな、ディスコファンクチューン。ブラックミュージックのエッセンスも色濃くあって、とにかくカッコいいんですよね…ても、この、“喋り”の人のせいで台無し(笑) これ、声にだいぶエフェクトかかってますが、永積さんが喋ってるんですかね?なんかそんな気がする…ハナレグミでおくびにも出さない事を、レキシ作品では平気でしますからね。
しかし…メロディに対する言葉の乗せ方が、恐ろしく綺麗なんですよね。メロの勢いを最大限生かしつつ、なおかつ言葉の爆発力も最大になるように配置されている。これは変態の仕業だ。音楽の変態にしか出来ないヤツだ…。

『とげんか遷都物語 feat. 織田信ナニ?』
いや、ナニ?と訊かれても(笑) 当時は全然気にもしてなかったんだけど、SAKEROCKの浜野謙太さんなんですよね。トロンボーン(多分)が啼いてます。
ファルセット主体のファンキーでブルージーなボーカルラインですが…歌のほうにもハマケンさん入ってるのかな。結構このお二人は歌声自体が似てるし、ブラックミュージックを下敷きにしたアプローチにも共通性を感じるので、未だにちょっと、“池ちゃんさんがコーラスも重ねてる”のか“ハマケンさんも歌ってる”のか、よくわかんないところ。まぁ、「クレジット見ろ」って話なんですけども(笑)

『ほととぎす feat. 聖徳ふとこ』
幻想的で刹那的でなんとも儚い、安藤裕子さんの歌声。ベースが効いた動的でエモーショナルなオケに、ふとこさんの静的でふんわりとしたボーカル…いい意味で違和感。雰囲気の異なるサウンドと歌声が、意外なコンビネーションを見せてくれます。
このあまりにも特徴的な歌声に、それでも合わせられる池ちゃんさんの、ボーカリストとしてのポテンシャルも楽しめる。

『かくれキリシタンゴ〜Believe〜 feat. MC母上』
ツッコミどころが多過ぎて、何からどう言えば良いのか分からん!(笑) 結果的に、結局口をついて出てくるのは「カッコいい曲」なんですよねぇ。
アコーディオンが独特な世界を作る、正にタンゴ調の曲。妖しげかつパッショナブルな空気の中で、隠れキリシタンの苦悩が描かれている。
つか、RHYMESTERのMummy-Dさんを“母上”呼ばわりって!(笑)…一瞬「安直な!」と思うけど、よく考えたらDさんって別に母上のソレじゃないんですよね。何重にも突っ込める。
サブタイトルの『〜Believe〜』も、なんかジワる。こんなユーモラスな歌詞に、こんな無垢なサブタイトルが…ってか、そもそもこんなテーマをユーモラスに歌うほうがどうなんだ!とか、でもレキシというプロジェクトが史実をただ真面目に歌にするのはもっとどうなんだ!とか(笑)
結局行き着くのは、「カッコいい曲〜」という。

『レキシ ト ア・ソ・ボ』
初めて聴いた時から、なんか怖い曲。“恐怖”じゃなくて、“畏怖”のほう。
よく言えば「幻想的」、悪く言えば「得体の知れない」雰囲気のコーラスワークで、ひたすらに同じフレーズがリフレインする…それだけで充分に怖い。曲中でも使われているような、わらべ歌みたいな怖さと言うんでしょうか。もしくはNHKみんなのうた』の“3大トラウマ曲”みたいな?
曲中の「最初はグー♪」のところだけ、アルバム冒頭の「歴史のおじちゃんだ!」のテンションと一緒で、なんかそのおどけた感じに圧倒的な安堵を覚えるのです。
なんか、クセになる曲。怖いもの見たさ?

『妹子なぅ feat. マウス小僧JIROKICHI』
堂島孝平さんと。その爽やかな歌声も、軽やかな作風も、すべてが堂島孝平的。なのに、歌ってるのは妹子。しかも妹子の性別という、小4が喜ぶようなヤツ(笑) このくだらなさに、レキシの真髄を見る。特に『レキシトアソボ』からのこの曲ですからね…抱き付きたくなるくらいに愛おしい。
中盤の、ウソくさい関西弁がツボ。

『狩りから稲作へ feat.足軽先生・東インド貿易会社マン』
ライブではハイライトの定番曲なので、なんか最近じゃこの曲を聴くと切ない気持ちになる。「あぁ、ライブ終わっちゃうなぁ〜」って。いや、ここから散々キャッツのくだりが入るので、ライブ終わんないんですけども(笑)
サウンドが、かなりグルーヴィなリズム隊とアグレッシブなウワモノ勢との組み合わせが絶妙で、かなりかっこいいファンクロックになってるんですよね。今回聴き直して、改めてそのカッコ良さに惚れ惚れしたんです。歌詞のユーモアにも、サウンドのカッコ良さにも、「どっちもドキッ」。

『歴史と遊ぼう』
上記『レキシ ト ア・ソ・ボ』と殆ど同じタイトルなのに、雰囲気としてはまったく異なりますね。ピアノ…しかも、オモチャのピアノみたいなとても可愛らしい音色のピアノで、童謡みたいに分かりやすいメロディで歌われるキュートな曲。そして、歌詞は、なんか凄くあったかい。歴史を学ぶ楽しさみたいなものを歌いつつ、でも歴史を好きになれない人すらも肯定する。もしかしたらこの曲の歌詞も遊び心で書かれているのかもしれないけど、ぼくはこの歌詞を真に受けて、感動した。この先もずっと真に受けて居続けたい。



そんな、計10曲。

歴史で遊んでる…正に、歴史で遊んでいる。しかも、誰も不快にならないユーモア。ストレートに感動する曲を作るより、数段ハードルが高い事をやってるのかもしれない。

何を隠そう、ぼく、歴史(と数学)が大嫌いで。「ペリー来航の年を憶えたからって、ぼくの生活にどういう変化があるの?」「遣唐使の任務を知ったからって、誰かの命が助かりでもするの?」みたいな、まぁそういう分かりやすい理屈で嫌いな訳ですよ。
でも、本作を始めとしてレキシさんの諸作品は、聴き終えたあとに無性に歴史を学びたくなるんだ。別に自分の身になるとか利になるとかそういう事じゃなく、ドラマを楽しむみたいな感覚ですね。





お気に入りは、
#01 『そうだレキシーランド行こう feat. MC末裔・MC四天王』
#02 『きらきら武士 feat. Deyonna』
#06 『かくれキリシタンゴ〜Believe〜 feat. MC母上』
#07 『レキシ ト ア・ソ・ボ』
#08 『妹子なぅ feat. マウス小僧JIROKICHI』
#09 『狩りから稲作へ feat. 足軽先生・東インド貿易会社マン』





この作品が好きなら、
・『シャンブル』/ユニコーン
・『無罪モラトリアム』/椎名林檎
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/















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