け>オリジナルフルアルバム
>タイトル:無罪モラトリアム
>アーティスト:椎名林檎
>リリース日:1999年 2月 24日




久しぶりに聴きました!

これ、、、20世紀に出たアルバムだったんだ…今聴いても、まっっっったく色褪せてないですよね。むしろ、最新の音楽シーンの作品と並べても、強烈で目立つ作品になっていたんじゃないかな。
最近の若手って、こういった独創性の高い作品を創らない気がする。本作は独特の個性と異物感を放ちつつ、だけどポピュラリティーも兼ね備えているんですよね。広く世間に浸透する事を諦めていないというか、狙っているというか。
「別に、自分らの音楽は、分かる人にだけ分かって貰えればいいんで」みたいな、マスターベーションみたいな独創性を掲げてる奴等がすげぇ多い気がして。なんか、げんなりする事が結構多いんです。

話を戻します(笑)
狂気と、遊び心と、ポピュラリティーが見事に融合した作品だと思います。とかく注目されがちなのはそのトリッキーな歌詞なワケですが…アレンジや構成も、結構好き放題やってますよね。リリース当時は林檎姐さんのカリスマに惹かれたものですが、近年は亀田師匠の技巧に目が向きます。


#01、『正しい街』。演奏は、正しいロックンロール。そこに、林檎さんのセクシーかつパワフルな歌声が相まって強烈な個性に。
この時代はまだガキんちょだったのでそんなに色んな音楽を聴いたわけではなおのですが、少なくともこんなに“男前”な女性ボーカルがチャートを席巻した事は無かった気がします。

衝撃の『歌舞伎町の女王』。林檎さんの創作スタンスをよく知らずに聴いた身としては、まず「実話!?」って思っちゃいますよね(笑)でも、思い起こせば、昭和歌謡ってこういうリアリティに溢れてましたからね。そういったものへのオマージュも含んでいたりして。

名曲、『丸の内サディスティック』。コジャレたトラックと歌詞のギャップが…でも、この曲を聴けば、林檎さんとそれを取り巻くチームが“本物”である事が分かります。この完成度、半端なやり方では到達できないですからね。

#04、『幸福論(悦楽編)』。デビューシングル『幸福論』の、アレンジが全く別物のバージョン。ぼくは原曲の持つ珠玉のポップス感が大好きなので「オリジナルでも良かったのになぁ」とも思ったり。その反面、ここまで大胆な改変をしてパンチを持たせる事で、アルバム全体が格段に引き締まっているのもまた事実。

メロウなバラード、『茜さす 帰路照らされど・・・』。こういう曲を歌い上げられるところも、林檎さんの本物感を裏付けています。というか、コンポーザーとしてのポテンシャルね。
一歩間違うと色モノとして消えていきかねないほどの個性ですが、現在も第一線で活躍されているというのが本物の証拠。

洒脱なトラック、そして女性の視点を前に出してきた歌詞がインパクト大の『シドと白昼夢』。

そして、インパクトと言えばこの曲と言うべき『積木遊び』。言葉遣いといい、トラックのアレンジといい、和のテイストをふんだんに盛り込んだ曲。でも、スーパー銭湯のBGMで流れているようなベッタベタな古典的アレンジではなくて、あくまでも“和のテイストを取り入れたロック”。

#08、これも名曲『ここでキスして。』。最初のアカペラ部分で、すでに鳥肌モノ。どストレートなポップソング、そしてダイレクトなラブソング。もはや悔しい(笑)かっこよくてキャッチーで切なくて気持ちいい。

物静かに、『同じ夜』。ストリングスのうえで、繊細に歌う歌声。こんなに繊細な歌も歌えるのか…そんな驚きを感じる曲。哀愁や切なさはありつつ、素朴な温もりのようなものも少し感じます。

一転、ザックザクで歪んだギターがひたすらカッコいい『警告』。バンドのダイナミズムのようなものが、本作中でもっとも炸裂した楽曲と言えるはず。この人は“歌姫”ではなく、根っからのロックンローラーだ。

ラスト、『モルヒネ』。比較的緊張感や攻撃性を帯びた曲が多い本作にあって、何だかほっと一息つけるような曲。可愛らしさすら感じられます。


そんな、計11曲。

陳腐な言い方になりますが、ほんとに「バラエティ豊か」な作品集です。とても、一人のコンポーザーと一人のアレンジャーの手による作品とは思えない…。

干支が一回り以上して、林檎さんの音楽性も変化したと思いますが、、、今でも時々聴きたくなるのはこのアルバムです。




お気に入りは、
#01 『正しい街』
#02 『歌舞伎町の女王』
#03 『丸の内サディスティック』
#07 『積木遊び』
#08 『ここでキスして。』




この作品が好きなら、
・『ポっぷ』/阿部真央
・『ラプンツェル』/Cocco
・『HEART STATION』/宇多田ヒカル
等もいかがでょうか?




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/