>オリジナルフルアルバム
>タイトル:すみれ
>アーティスト:ゆず
>リリース日:2003年 2月 26日
>記事作成日:2020年 4月 2日





久しぶりに聴きました!

先日感想を書いたドリカムのアルバム『THE LOVE ROCKS』同様、この時期になると聴きたくなる作品。ドリカムのは、収録されている『めまい』が春に聴きたくなるからという理由で聴き返すんですが、対してこちらのゆず『すみれ』は、アルバム全体から春を感じる。
このアルバム、春に聴かずしていつ聴くと言うのだ!!!



『桜道3』
シングルのカップリングとして収録されているものも含めて、この『桜道』は3まであるんですよね。40秒足らずの短い曲ではあるんだけど、鮮烈な印象を残す曲。ひだまりに揺れる満開の桜が、曲を通じて映像で見えてきそうな。それ程に春な曲。
アコギオンリーというオケも、“いわゆるゆず”で物凄く良いんだ…“このゆず”は、どこに行っちゃったんだろうか…。

『スミレ』
先行シングルの曲。確かゆず、このアルバムを出す直前に“4週連続シングルリリース”をしてたんですよね。そのラストを飾ってたのが、確かこの曲。最近でこそ、配信で“○週連続リリース”みたいな事はあるけど、フィジカルで4週って…いろんな意味で凄い。
ポップな中に少しのセンチメンタルが混ざる曲。

『3番線』
これも、4週連続リリースの中の一曲。この曲をシングルで切るってのが、まず凄い。いやだって、どう考えても、これは“アルバム曲”じゃないですか?(笑) キャッチーではあるけど派手さはなく、至ってシンプルなサウンドだし。サビも恐ろしくサッパリしてるし。アウトロ無いし(笑) この当時のゆずに時々見られる、謎の攻め。そーゆーユーモア、大好きですけどね。

『ふくろ』
岩沢さんのマニアックなユーモアが炸裂です。『3番線』とコンボです。アコギのアルペジオと間奏のピアニカによる、ごくごく小ざっぱりした曲。歌詞も、深いんだか意味無いんだか(笑) でもなんか、シニカルなものを感じる。シニカルな岩ちゃん、好きなんです。

『駅(恵比寿〜上大岡)』
息が出来なくなる程に切ないミドルバラード。アコギのストロークがシンプルに刻み、その上で北川さん特有の人懐っこいメロディが感傷的に響く。岩沢さんの高音ハモリパートも、曲自体が持つ切なさを爆発的に倍増させていて。一言で言うと、名曲です。
ちなみに…借りパクされるのは、実際大体ミスチルですよね(笑) それくらい、まるで空気のように当たり前かつどこにでもある、ミスチルの音楽。

『青』
アッパー、かつ青春の甘酸っぱさでいっぱいのシングル曲。まるで書き殴ったかのように勢いに任せたメロディとサウンドが、思春期の不安定な心にガツンと食い込んできたんですよねぇ。
バンドサウンドが痛快なロックチューンでもあるんだけど、アコギ一本で弾いても変わらない力強さがあって。よくアコギでカバーしてたなぁ。これまた、シンプルなコード進行で気持ちいいんだ…。
しかし、(確か似たような時期にリリースされていた)175Rの『空に唄えば』とサビのメロディが一緒なんですよね。当時、あまりに一緒過ぎるのでなんかのコラボかと思ってましたが、そうでもないんですよねぇ。

『運転技術の向上』
牧歌的というか、のほほんとした感じの曲調ではあるんだけど…試しに自分で歌ってみると、徹頭徹尾高音域で推移していて、青スジなしには歌いきれないという(笑) 岩沢さんのハイトーンを、改めて見せつけられる曲。

『君は東京』
大好きな曲。大学生くらいの若者なら、誰でも似たような経験や記憶があるんじゃないでしょうかね。頑張って“クラスの一軍”をやってる上京組が、“ナチュラルボーン一軍”の垢抜けた子に憧れる感じ(笑) そんなストーリーが小気味の良いアコギのストロークに乗っかって軽やかに聴こえてくる。しかし…後半、“君”だいぶ大変な事になってるね。

『旅立ちのナンバー』
岩ちゃんの“爽やかサイド”が炸裂してる曲。岩沢さんが爽やかな曲を書くと、そこはかとないセンチメンタルが醸し出されて胸がキュンとするんですよねぇ。
押し付けがましくない、応援歌。

『フラリ』
カズーとブルースハープがユーモラスで、全体的にユニークな曲。ユニークな曲ではあるけど、この曲の主人公は頭おかしくなるくらいに恋焦がれてるんだろうなぁ。悶々とした想いが、最終的に『フラリ』という気の抜けたタイトルでまとめられているところがまた面白いです。

『呼吸』
4週連続リリースのシングルの中の一曲。真摯な想いがメロウなオケに乗せて響き渡る、ミドルバラード。感傷的で切ない曲調ではありつつ、そこで歌われているのは力強い想いの歌。
岩沢さんのブルースハープが、どこまでもどこまでも切ない…。

『桜道2』
シリーズものですね。歌詞違い。
これもまた偉く短いけれども、『呼吸』で広がった悲壮なまでの感情をいい感じに鎮めてくれます。

『言えずの❤︎アイ・ライク・ユー』
この曲あたりから、北川さんがユーモラスに振り切った曲を繰り出すようになってきましたよね。のちの『いちご』とか『マスカット』とかに繋がっていっているような気がします。

『カーテンのせい』
北川さんが新機軸を見せた後に、岩沢さんは圧倒的に“いつもの岩沢さん”(笑) いや、それでいい…それがいいと思うんですけどね。どこかシニカルで、それでいてやけにあっさりとしている…これが岩沢さんの“素”なのかな?って、何となく感じます(歌詞の内容がどうこうじゃなくて)。

『ブザービーター』
北川さんの、垢抜けた、かつ洒落た作風の曲。『言えずのー』はユーモアが開花した曲だと思ったけど、こちらはスタイリッシュでシュッとした作風が開花した曲だと感じました。いや、思えばだいぶ初期から北川さんにはその引き出しがあったんだと思うし、『センチメンタル』の辺りからそれが透けて見える感じはあったけれども…この曲辺りで、その引き出しが完全にパカーンと開いたように感じます。寺岡呼人Pを離れて以降のゆずは、この引き出しから出ているものが非常に多い気がする。

『また会える日まで』
ラストは、アコギのみで弾き語られる非常にシンプルな曲。こののち、企画アルバムなんかにも入れられたり、アコギ以外の音が重なったアレンジもあったり…北川さんにとって、ゆずにとって、大事な曲なんだろうなぁって思います。



そんな、計16曲。

16曲ですって!でもまぁ『桜道』であるとか岩沢さんの凄くさらりとした短尺の曲とかもあるので、アルバム一枚を通じて気軽に聴き切る事が出来るアルバムです。
まぁ『桜道』の春感が中心だとは思うけど、やはりそれだけではなくてアルバム全体として春の匂いを感じる作品です。

一方で、端々に“新しいゆず”を感じる作品でもあると思います。最近でこそもう“フォークデュオ”のかけらもなくなりましたが…その変化の兆しは、既にこの辺りから見られていたんだなぁ。
ぼくは、正直、この辺までのゆずが好き。





お気に入りは、
#01 『桜道3』
#05 『駅(恵比寿〜上大岡)』
#06 『青』
#08 『君は東京』
#09 『旅立ちのナンバー』
#10 『フラリ』
#14 『カーテンのせい』





この作品が好きなら、
・『grapefruits』/コブクロ
・『09 chairs』/スナッパーズ
・『musium』/スキマスイッチ
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










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