Lost Virgin ~Great3 Best~>ベストアルバム>アーティスト:GREAT3>タイトル:Lost Virgin〜Great3 Best〜>リリース日:2004年 9月 29日>記事作成日:2019年 6月 20日




聴きました!
GREAT3のベスト&ライブベストアルバム。つい最近まで存じ上げませんで…ミスチル桜井さんが表紙の昔(97年)の音楽雑誌を何となく読み返してたら、ミスチル&サニーデイに次ぐ3番手としてこのGREAT3さんのインタビューが載っていて(その雑誌の読書感想文はこちら)。なんか、恐ろしくネガティブ発言が多く、かといって色々と諦めた世捨て人みたいになってるようにも感じなかったそのインタビューがやたらと印象的で。興味持っちゃいました(笑)
本作は2枚組。1枚目はスタジオ音源、かつ既発のシングルベストとは重複しないアルバム曲中心のベスト盤だそうで、2枚目は過去のライブ音源の中から音質の良いものをセレクトしたというライブ音源集で構成されてました。


まずはDisc 1、スタジオ音源のベストから。


妖しげな雰囲気を放つロックチューン、『R.I.P』からスタート。ラウドになるギターに、抜けの良いリズム隊に、こってりとしたボーカル。20年前にこのサウンドって、かなり最先端じゃないですか?今聴いても、音質やらアレンジやらの面で全く遜色がない。リズムギターとかベースの感じとかは、ちょっとクラプトンの『愛しのレイラ』感が強すぎるかなーとはちょっと思ったけど(笑)
渋谷系っぽい感じの小洒落たポップチューン、『Last Song』。ブラスがアーバンでエレガント。僕の偏見だけれども…「世間的にはバブルが崩壊してるんだけど、音楽業界的にはバブル絶頂期」って感じの、あの時期特有のラグジュアリーな空気を感じる。
程よくアバンギャルドな『Sad Dancer』。リズム隊が強調された、モダンなサウンド。スガシカオさんとか、今でこそこういうサウンドがフツーにお茶の間にも流れてくる時代になったけど、このニッチな感じはこの時代としてはだいぶ先進的だったんじゃなかろうか。
心地よい速度感のある『Golf』。デジタル主体のサウンド。ベスト盤という性格もあるのかもしれないけど…この方々、だいぶ「雑食」な感じがしますね。音楽的雑食。もう、そーゆーの、ほんと素晴らしいと思う。三ツ星レストランばかりを渡り歩くよりも、三ツ星レストランを知っていつつもカップラーメンの旨さも語れる…そんな感じの雑食性。。。なんの話だと(笑)アコギのストロークが軽やかに、デジタルなビートが爽快に。でも、後半に行くにつれてそのデジタルサウンドも手数と厚みを増して聴き応えが出てくる。
かと思えば重厚なバンドサウンドの、『エデン特急』。もちろんこの曲自体も良いんだけど、前曲からのこの温度差、このギャップに萌えてしまいます。ギャップ萌え(笑)アナログ感のある、丸みを帯びた音がいいですねぇ。で、サビのボーカルラインのキャッチーさが、ちょっと桁外れかと。すげーな、これ。
いい感じにチルってるサウンドの『Sampedoro Gold』。まぁ、サウンドやメロディに比べて、歌詞はそこまで幸福じゃないというか、むしろ生臭くすらあるんだけれども…その中にも気高い美しさを感じて。そのアンバランスな感じもふくめて、聴き応えがある曲。
ロックチューン、『腰抜けマシーン』。ライブ感のあるアレンジですね。ジャムってるというか…「即興性」というと言い過ぎかもしれないけど、その瞬間のフィーリングを大切にしてる感じのサウンド。ダイナミズムがあって、耳馴染みも良くて、気持ち良くなる曲。
遊び心が前に出た、『Whooper Goo!』。ぴこぴこしたデジタルサウンドとグイグイに攻めてくるバンドサウンドが、一度に楽しめます。それはまるでジェットコースターのような、もしくは音楽の洪水のような曲。
ガレージロック的なサウンドの『マイ・ウェイ』。サウンドは、良く言えばヴィンテージ感。悪く言えば古めかしい。もちろん、前者を狙ってるというか敢えてこの質感にしているのであろう事は想像に難くはないですが。ビートルズとか、あの世代のロックを聴いてる感覚。
ミドルポップチューン…かと思いきやゴリゴリのハードロックチューンに化ける『METAL LUNCHBOX』。ノイジーなバンドサウンドが、凄く気持ちいい。でも、冒頭の砂糖菓子みたいなポップなパートとゴリゴリハードロックが混ざり合う中盤以降のサウンドが、一番の聴きどころ。こんなに相反するサウンドが、こんなにも違和感なく混ざり合うのか。その驚きは、「驚き」というよりももはや「衝撃」。
独特な妖しさというか、どことなく東洋的な神秘を感じる『Charm Against Evil 渦巻いた世界』。もう、タイトルからして物々しい感じが。マリンバですかね、前半は幾何学的に繰り返すフレーズが神々しいような、心地よいようなサウンド。で、別の曲が始まったみたいに仕切り直す、中盤以降。ウッドベース(多分)の懐の深いサウンドに、こころが落ち着いていく。
続いてもウッドベースでしょうか、深みのあるベースラインが心地よい『Sabbath』。BPM的には落ち着いた感じなんだけど、とにかくベースを始めとする各パートのプレイがアグレッシブで、だからなんか凄くスポーティな雰囲気。サッカー番組とかで流れててほしい(笑)
日本的な、湿気でムンムンする夏のようなサウンドの『ナツマチ』。ギターががっつり歪んでいて、重厚感があるからでしょうね。ボーカルのメロディラインは、結構動きがあって軽やかな感じなんだけど。
スタイリッシュな『Bee』。軽やかながら繊細なアコギの音と、ダンサブルなビートと。都会的な線の細さはありつつ、意外とグルーヴィでもある。
ミドルポップチューン、『三日月』。どこか気だるげなというか、アンニュイ感のある曲。アレンジは、もちろん練りこまれてはいるんだろうけれども比較的シンプルというかストレートな感じがします。ここまで、これだけ個性的なオケが続いてきたので、この辺りでこーゆーのというのは逆に新鮮。
『嫉妬』。マイナー調のギターのストロークが、それだけでドロリとしたイメージを聴き手に与えます。そこに野太いベースと歪んだエレキが重なって、なんとも言えないグロテスクさを見せてくれる。一方、ボーカルはとてもセクシーで、、、なんか全体的にとても生臭い曲(褒め言葉)。
全編ウィスパーボイスでスウェーデンポップみたい(?)に展開する『Love Men』。ギターはオシャレで、ベースはちょっとニヒルな感じがして、ドラムスはムーディ。『腰抜けマシーン』と同じバンドの曲とは思えないような(笑)   でも、本当に凄いのは、その両方に違和感がない事かもしれない。
これも落ち着いた雰囲気の曲、『ONO』。R&Bテイストの曲調。2000年代に入ってからはそれも珍しくはなくなったけど、この時代にはまだまだ先進的なサウンドだったんじゃないかと思います。オトナの色香が漂う、バラの匂いがする感じ(笑)の曲です。
Disc 1のラストも割としっとりした曲調の、『Caravan』。独特の、浮遊感あるメロディ。サウンドも、鋭角というよりは角が丸い感じの印象。全体的にふんわりとした感じ、でもそれは「スウィート」っていうよりは「ミステリアス」な感じで。


そして、ライブ音源のDisc 2へ。こちらは、メンバーさんが所有していたライブ音源の中からRec状態の良いものをチョイスしたものになっているそうです。


期待感を煽る『Opening』から始まって、『Richmond High』へ。ドカドカと地を這うドラムス、テンション高く鳴り響くギター、スタイリッシュにうごめくベース、そしてロックスター然とした斜に構え方がしっくりくるボーカル。良いバランスのバンドですね。
ブラスの音が華やかな『マイクロ・マシーン』。跳ねるリズムが気持ち良くて、ライブで聴いたらさぞノれるんだろうなーって感じ。
アグレッシブな『G-Surf』。華やかでキャッチーなロックチューン。なにせ今回初めて聴いたGREAT3なので、どの方がどの声なのかは存じあげないのですが…3人ともがボーカルを取れる方々なんですよね。この曲はヴァースとサビとでパートが分かれているので、対比を楽しみやすい。サビでボーカルを取っておられる方(多分この方がメインボーカルなんだと思いますが)、こうして聴くと歌声のキャッチーさが際立ってますね。ヴァースのほうは、高桑さんだったりするのかな。
ファンクチューン、その名も『DISCOMAN』。サビのメロディが恐ろしく人懐っこい。ほんと、このバンドはロックなのにキャッチー。良いですねぇ。これはシングルだったりするのかな、やっぱりシングルベストも聴かなきゃなぁ。
『Chop The Meat』。ベースがベボベボ鳴ってて、気持ちいい。シンセの音よりも華やかなベースラインなんて、そうそうお目にかかれるもんじゃないですよねぇ。
オケが全体的に華やかな楽曲、その名も『STAR TOURS』。けっこうヘヴィだったりラウドな印象が強いバンドだけど、この曲はその要素を残しつつ爽やかさやスケール感のほうが強い曲になってる。これはスタジオ音源も聴いてみたい。
テクニカルなギターが印象的な『ジェット・コースター日和』。カッコよさと爽やかさが同居する曲。Disc 2のこの辺りは、爽やかでキャッチーな曲が多いですね。
続いてもそんな感じの曲、『Summer's Gone』。キーボードが爽やか、ギターが軽快、ボーカルラインが洒脱、歌詞がポップ。これも、どちらかというとスタジオ音源を聴いてみたいな。このバンド…ライブ音源だと、ちょっとピッチが不安定なところが多いのが気になっちゃう。「それがライブ感」と言われればそれまでなんだけど。
ファンキーな『Mood Elevator』。ピッチうんぬん偉そうな事を言っちゃって恐縮なんですが、もう、その分、プレイやアレンジに関しては言う事がないですよね。超かっこいい。インスト曲はそんなに好きなほうではないんだけど、この曲(インスト曲です)は全く中弛みする感じがなく、終始グイグイに惹きつけられちゃいます。
『Soul Glow』。ギターは引き続きファンキー、ボーカルもノリノリ。「途中でカモーン!とかって煽ってきそうなノリ」って思ってたら、言った!!(笑)すごくキャッチーなアレンジとボーカルラインなのに、歌詞はやっぱりちょっとシニカル。
軽快なアコギストロークが印象的な『影』。これもまた、サウンドとアレンジ的にはポップでキャッチーなのに、歌詞は内向き。そのアンバランスさがクセになる。
『Under the Dog』。後半の、各演奏陣の競演がいいですね。こーゆーのこそ、ライブの醍醐味だと思います。これはナマで感じてみたいものですなぁ。あ、もちろん、中盤までのずしりとした歌モノパートも聴き応えありますけどね。
このベスト盤(ライブ盤)を締めくくるのは『Tree Top Shine』。これ、コーラスがちょっと…音がビミョーにズレててちょっと不協和音ぽい感じに音がバッティングしちゃってて。ぼくはちょっとあまりいい感触を抱けませんでした。しかも、なぜか、コーラスのほうが音大きくない…?中盤以降、BPMも上がってテンションもせり上がっていくアレンジとプレイとはとても良かったんだけど…。


そんな、2枚組計33曲。
まずはベスト盤のほうの感想。
どの曲も初めて拝聴したのですが、ロックとポップの両方が感じられて凄く良かったです!しかも、楽曲のバリエーションというか、曲ごとに違ったアプローチがなされているのが凄いと思いました。特に最近の若手バンドとかは、「アルバム1枚まるまる四つ打ちダンスロック」とかってスタイルも多く、なんなら「それが俺らのスタイルなんで」みたいな自己肯定感が凄く強い人たちが多い気がするんだけど…ぼくはそれよりも、このバンドのように、このアルバムのように、ありとあらゆる引き出しを持ちつつその引き出しを自分たち色に染めるっていう事のほうが偉大だと思うんですよね。それが出来ているバンドであり、それが出来ている作品だと思いました。
続いて、ライブ盤のほう。
まぁ、ライブ盤っていう存在自体ね、楽しみ方が難しいというか。普通は、既に好きなアーティストじゃないと、ライブ盤までチェックしようという人は多くないと思うし、アーティスト特有の「ライブのノリ」みたいなのがあるから…「一見さん」で、「音だけ」でライブを楽しもうとするのがそもそも難しい作品ではあると思うんです。というワケで、本作も今ひとつ乗り切れないまま終わってしまったというのが正直な感想なんですが…それでも、曲として惹かれたものは幾つもあったので、やはり、まずはスタジオ音源をチェックしてみたいと思いました。『Summer's Gone』のところでも触れましたが…ちょっと、ライブ音源は全体的にボーカルのピッチが不安定な箇所が多かったかなぁという印象を受けてしまいました。それが凄くもったいないというか…「ライブ感」という肯定的な捉え方が、ちょっと出来ませんでした。すいません。




お気に入りは、Disc 1 - #01 『R.I.P』Disc 1 - #03 『Sad Dancer』Disc 1 - #05 『エデン特急』Disc 1 - #07 『腰抜けマシーン』Disc 1 - #10 『METAL LUNCHBOX』Disc 1 - #12 『Sabbath』Disc 2 - #05 『DISCOMAN』Disc 2 - #07 『STAR TOURS』Disc 2 - #10 『Mood Elevator』




この作品が好きなら、・『THE LAST』/スガシカオ・『SHAKE YOUR HIP!!』/TRICERATOPS・『Rock stock & too smoking the pillows』/the  pillowsなどもいかがでしょうか。




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