>オリジナルフルアルバム

>タイトル:夕風ブレンド

>アーティスト:スキマスイッチ
>リリース日:2006年 11月 29日
>記事作成日:2016年 3月 28日





久しぶりに聴きました!

何となくYouTubeを眺めてたら本作収録の『藍』をカバーしてらっしゃる方の動画に行き当たって。聴いてみたら、良い!もちろんその方のバージョンも素敵だったのですが、違うボーカリストが歌う事でむしろ曲自体の持つ“良さ”を改めて実感して。そこから、せっかくなので『藍』が収録された本作を改めてマルッと聴いてみた次第です。



『藍』
さっそく、そんな『藍』からスタート。大橋さんの優しい歌声が、何とも哀しく切なく響く。バンドのアンサンブルも、ストリングスも重なっているけれども、とにかく大橋さんの歌声の存在感が圧倒的。そして、常田さんが大橋さんの“活かし方”を熟知してピアノの音を配置している感じがして、それもまた良かった。
特に後半にかけて、意外とアグレッシブに動くストリングスも素敵。

『ガラナ』
シングル曲のalbum ver.。後奏が追加されて、次の曲につながってますね。一転して攻撃的でアッパーなロックチューン。思えばこの曲の辺りから、スキマスイッチが“ROCK”を手に入れた印象があります。Mr.Childrenが『everybody goes』を放った時のように、ゆずが『嗚呼、青春の日々』を放った時のように…“アッパーなポップチューン”ではなくて、“ロックチューン”と呼べるその引き出しを。

『スフィアの羽根』
これもまた、シングル曲のalbum ver.。そして、これまた次曲へと繋がる後奏が追加されてます。優しくて柔やかで伸びやかな曲調は、多幸感で包まれています。聴いているだけで自然と笑顔になりそうな曲。

『惑星タイマー(album ver.)』
オフィスオーガスタの所属アーティストによる合同ユニット“福耳”への提供曲のセルフカバー。福耳Ver.を初めて聴いた時、正直「スキマスイッチ過ぎだろ!」って思ったんですよね(笑) で、「セルフカバーしないかなぁ」と思っていたところだったので、本作は渡りに船。けれども、こちらはむしろ新鮮でした。BPMを落として、ストリングスを中心とするオーケストラ編成で。まぁ、(当時のスキマにおいての)意外性という意味では、『ガラナ』のほうが大きいけれども、福耳Ver.のトラックが余りにもスキマっぽかったので、そこから比較しての意外性だったのかもしれません。

『月見ヶ丘』
日常の1コマを、肩肘張らない等身大の大きさで表現した可愛らしい曲。ラブラブなカップルが聴いたら大共感でしょうね。甘くて優しくて心地良い曲。

『空創トリップ』
壮大なスケール感のインスト曲。前アルバムのタイトルを思わせるタイトルには、どんな狙いがあったのでしょうか。でも、確かに、『空創クリップ』の面影を感じさせる気がします。

『ボクノート』
大ヒットシングル。確かドラえもんがリニューアルして1発目の映画の主題歌だった気が。当時、「国民的アニメの主題歌を普通の(=アニソン歌手ではない)アーティストが担当するって、お互いにとって残念な事になりはしないだろうか」と、余計な心配をした記憶があります(笑) もちろん、それは本当に杞憂に終わったわけですが。優しさの中にほのかに香る切なさが、何とも言えず哀愁を誘います。

『ズラチナルーカ』
得体の知れない怖さを感じる曲。怖さというよりも「畏怖」と言ったほうがいいかな。
ミドルテンポで、ドラミングなんかは小気味良さすら感じるところではありますが、歌詞は何とも意味深。示唆的ではありつつ、解釈の間口は非常に広くて、正直なところ、そこに込められた制作者の意図やメッセージを汲み取る事は難しい。自分なりの解釈を信じるしかない。
畏怖はありつつ、その世界観がたまらなく魅力的なのもまた事実。

『糸ノ意図』
あの文学作品をモチーフにしている事がタイトルからも分かります。まぁ、救いのない元ネタに比べると、こちらは前向きさとアグレッシブさが見え隠れする比較的爽やかなポップチューンですが。

『アカツキの詩』
シングルのアルバムバージョン。誰にでもあるのではないでしょうか、大切に想うあまりに上手くいかなくなってしまった恋の経験が。打楽器の効いた軽快なトラックが、逆に切なく響く…。関係が破綻してしまった事を示唆する歌詞ですが、直接的な明言は無く。何故だか無性に、「こういう自省を踏まえて、改めて歩み始めた2人の物語」であってほしいと願ってしまうのです。

『アーセンの憂鬱』
演奏陣が洒脱でテクニカルな曲。ブラス隊も加勢して、とにかくお洒落でクールでシュッとした曲です。シティポップ的な風格もありつつ、現代音楽特有の軽薄さ(もちろん褒め言葉)も併せ持っていて。山崎まさよしさん以降のオフィスオーガスタに脈々と受け継がれる、その感じ。

『願い言』
ミドルテンポのワルツ。上品で上質な、大人のポップス。シンセのかぶせ方やストリングスの絡ませ方など、アレンジには常田さんのアイデアと推測出来るアプローチが随所で見られます。小林武史Pに憧れを抱いている常田さんの。

『1+1』
ラストは、ピアノ一本とボーカルとでしっとりと奏でる曲。大切な人への真っ直ぐな気持ちを、シンプルな表現で歌い上げた曲。スキマのお二人によるシンプルな編成なので、常田さんの表現力豊かなピアノと大橋さんの歌のうまさがダイレクトに感じられるのです。



そんな、計13曲。

感傷的な曲が少し多めのアルバム。西陽に染まるジャケットの絵も、その空気を更に強調しています。
一曲一曲が本当に個性的で粒揃い。それなのに、アルバムとしての統一感もきっちりとあって。とにかく、「凄くバランスの良いアルバムだなぁ」という印象があるのです。





お気に入りは、
#01 『藍』
#02 『ガラナ(Album ver.)』
#08 『ズラチナルーカ』
#10 『アカツキの詩(Album ver.)』
#13 『1+1』





この作品が好きなら、
・『ゆずえん』/ゆず
などもいかがでしょうか。















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