>オリジナルフルアルバム>タイトル:ゆずえん>アーティスト:ゆず>リリース日:1999年 10月 14日>記事作成日:2019年 4月 18日
久しぶりに聴きました!
「あの頃は良かったシリーズ」(笑)最近の音楽、今ひとつワクワク出来ない!という気持ちから始めた、懐古趣味的シリーズ。ガキンチョの頃にワクワクドキドキしながら聴きあさった音楽のレコメンド。
今回は、ゆずの『ゆずえん』。シングル『夏色』で火がついて、それを収録したアルバム『ゆず一家』がロングヒットになって。で、今では考えられないくらいにハイペースで畳み掛けたシングル群を一手に収録したアルバムが、本作。ほんと、あの時代のシングル至上主義、凄かったですよねぇ(ゆずさんの話ではなくて、アーティスト全般、市場全体のお話)。『ゆず一家』までに作られたアーティストイメージを上手に拡充しながら、端々に新機軸も盛り込んだ作品。
インスト『えん』からスタート。人懐っこくありつつ哀愁もただよう…この当時のゆずのパブリックイメージを凝縮したような曲。
で、一気に弾ける『始まりの場所』。岩沢さんの伸びやかなハイトーンが爽やかに広がる、元気の良いポップチューン。アコギのストロークにハーモニカに小刻みに入れ替わるボーカルに綺麗なハモり…ゆずのゆずたるエッセンスを詰め込んだ曲。
『サヨナラバス』。これはもう…思い出深いにも程がある!って曲(笑)ぼくの人生のうちでたった何度か、「初めて聴いた瞬間に心奪われ、リリース日が待ちきれず悶絶した曲」というのに出会った事があるのですが…これも、そのうちの一曲(ちなみに他にはMr.Children『名もなき詩』や鬼束ちひろ『眩暈』などがあります)。最初に聴いたのはCDショップの試聴機。ど田舎に住んでた子どもの頃のぼくは、初めて1人で関東にある親戚の家に遊びに…その道中、ドキドキしながら立ち寄ったCDショップの試聴機でこの曲を聴いて、一発でヤラレて、何回も何回も繰り返し聴いて…しかもそのあとの道中で、実際に街じゅうの江ノ電バスが「サヨナラバス仕様」になってるのを目の当たりにして…ひとり旅の高揚感も相まって、いたく感動したのをよく覚えています。あの日の温度、眩しさ、風の冷たさ、そしてこの曲を目の当たりにした感動etc、今でもありありと思い出せますよ。
岩沢さんらしい、等身大ででセンチメンタルな曲『「バイバイ」』。タイトル、カギカッコが付いてるんでこれはセリフなんですね。情感も温もりもあって、でもどこか淡白というか淡々とした感じもあるのが岩沢さんの特徴。それが端的に出ている歌詞であり、アレンジです。
シングル、『センチメンタル』。路上時代に作ったのではなく、メジャーデビュー以降に作った曲との事で。それもあってか、やや垢抜けた感じのある曲ですね。当時はその「路上時代との作風の違い」に色んな意見があったようですが、『サヨナラバス』にて洗脳(笑)が完了していたぼくにとってはそんな事は気にならず、とにかく出る新曲出る新曲を絶対的に受容していた…いやだって、フツーにいい曲じゃありません?爽やかで、優しくて、センチメンタルで。MVに影響されて、「大人になったらワーゲンのワンボックスに乗る!」って、本気で思ってましたから(笑)
続いての曲も、もう大好きな曲『方程式2』。まず、メロディがいい。人懐っこくて、恐ろしくキャッチー。そして、歌詞もいい。解釈の幅は広めだけど、分かりやすいセンチメンタルもあって。で、極め付けは、そのアレンジ。アコギのストロークをメインに据えた、シンプルな構成。「これぞ、(この時代の)ゆず!」って感じ。しかも、コードが簡単なもんだから、ちょっとギターをかじった程度の人間でも気持ちよく弾き語りが出来るもので、それもひとつの大きなポイントでしたねぇ。「ぼく、ゆずの弾き語りできますけど?」っていう(笑)
ウィンターソング、『いつか』。悠仁さんの書くメロディの人懐っこさったらないですよね。それが、ひとつの到達点を迎えている感のある曲です。しかも、岩沢さんの透明感のあるコーラス&ハーモニーが、もうたまらん。この曲が出たあたりからじゃないかな、カラオケに行った時に主旋律よりもハモりをやりたがるヤツが増えたのは(笑)
当時、ちょっとだけ「しゃらくせぇな」って思った曲(笑)、『オーバー』。当時のゆずって、近所のにいちゃんくらいの距離感で歌を届けてくれるイメージだったのですが、この曲は結構なラブソングなんでね。こないだまでチェリーしていた親戚のにいちゃんが、急に大人びた空気を出してきた感じのしゃらくささ。
これもまた大好きだった曲、『傍観者』。当時のゆずとしては斬新というか、革新的というか、こういう攻撃的な作風を見せられるのが新鮮で、この曲ばっかよくリピートしてました。もちろんアコギも鳴ってるんだけど、エレキのフレーズのほうが前面に出てきていて。単純に、カッコよかった。ゆずでいうと、同じような新鮮な気持ちをSG『嗚呼、青春の日々』を聴いた時やAL『トビラ』を聴いた時などにも感じた記憶があります。
『灰皿の上から』。このアルバムが出たのが10月、つまり秋の入り口くらいの季節で。あの時期特有のセンチメント…楽しくて刺激的な季節が終わって、少しずつ風が冷たくなって、なんとも言えない切ない感情が湧いてくるんだけども冬のように分かりやすく物悲しいという程でもない…そんな感じが、そのまま作品になったような曲。爽やかで柔らかくはあるんだけど、ほのかなメランコリーに包まれる感じを、凄くタイムリーに感じることが出来て、なんか静かにハマった記憶があります。
で、その「秋の独特な空気感」をもっともっと分かりやすく万人ウケ(悪い意味じゃないです)するカタチで表現したような曲、『からっぽ』。まぁ、今だって「ゆずといえば『夏色』の人たち」って認識の人は多いかもしれないけど…3rdシングルであるこの曲があのタイミングでリリースされなければ、もっと「『夏色』(だけの)人たち」になっちゃってたかもしれないよなぁと、そう思う部分もあるんです。つまり、この曲を通じて「バラードもイケる人たち」っていう認識が一般に浸透した感じがして。ある一定のイメージを固着させないためにはあらゆるタイプの曲で魅せていく必要があるし、アッパーチューンで出てきたお二人が「それ以外」を見せていく時に、圧倒的な個性のあるこの曲は最適だったんじゃないかなぁと思うのです。
『未練歌』と書いて「みれんソング」と歌うこの曲。シニカルな歌詞、キャッチーなメロディ、華やかなアレンジ。聴いてると、ちょっと無理矢理に(笑)気持ちを上向かせてくれます。前向きな歌詞って感じでもないんだけど、「やるっきゃねーか」となる。
賑やかで華やかな悠仁楽曲から、一転してシンプルでさらりとした岩沢楽曲へ、『終わらない映画』。詳しい事は知る由もないけど、弾き語り一発録りっぽい質感のサウンドです。『ゆずの素』的な。悠仁さんの愉快で華やかな作風も好きだけど、岩沢さんのこの感じの作風も大好きでした。シンプルなアレンジと、クセのあるメロディと。
スタジオ録音バージョンの『悲しみの傘』。本作の前に出たライブアルバム『歌時記〜サクラサク編〜』に、その時点では未発表音源として収録されていたこの曲。弾き語りライブをパッケージしたアルバムだったのでその時も当然弾き語りスタイルで収録されていて、だからある意味でこっちのテイクは「バンドバージョン」とも言えるかもしれないですね。アレンジもしっかりしてて、当然音もクリアで。少しだけよそ行き感のあるこちらのテイク。ライブverは感傷がむき出しだったけど、こっちは「物語を読む」ような感じの聴き心地で。どっちがいいとかいう話ではなく、それぞれにそれぞれの特徴があるのです。
そして最後は『友達の唄』。悠仁さん曲…という事は普段であれば岩沢さんが三度上をハモるカタチで展開するものですが、この曲ではサビが輪唱スタイルですね。最後は「シュビドゥバ」でコーラスが入りますが、過去作に収録の『シュビドゥバー』を彷彿とさせる感じで。そういえば曲の「温度感」も何となく通じるものがありますよねぇ。
そんな、計15曲。
冒頭でも書いたように、「それまでのゆず」をベースにしながらさりげなく「新しいゆず」も混ざりこんでいる、バランスの良い作品。聴いていて疲れない範囲の喜怒哀楽があって、そのバランスも良いです。
最近はね、なんか変なカタチでツアーの情報をリリースしてみたりして、変なユーチューバーみたいな誰も得しないユーモアを炸裂させてたりしてちょっとついていけなくなっちゃいましたが…この時代のゆずには直向きさと毒のないユーモアがあって、凄く良かった。
お気に入りは、#03 『サヨナラバス』#05 『センチメンタル』#06 『方程式2』#07 『いつか』#09 『傍観者』#10 『灰皿の上から』#11 『からっぽ』
この作品が好きなら、・『花鳥風月』/レミオロメン・『Roadmade』/コブクロ・『musium』/スキマスイッチなどもいかがでしょうか。
CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
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