◎こぼれてしまうよ / Hello, it's me


◯こぼれてしまうよ

・今の自分がよく出ているもの、今の自分のムード、今の自分が思っていて普段友達と話すようなことが入っているものにしたかった。

・タイアップのときは作品に寄り添って、作品の中の主人公や作品全体を通して自分とリンクするところを探して曲にすることが多い。

・まっさらなところから自分の曲ができたので、シングルとして出したいと思った。

・チェロ、ピアノが入っている皆川さん

・独白に近い歌詞。自分が思っていることをかなり入れ込んだ。独白を邪魔しないようなアレンジにしたい。

・自分が興味のあること、ないこと、自分がどうでもいいと思っていることって何なのかを、詞を書いていると自然とわかってくる。

それは自分をよく知る作業でもある。

・かなり自分のこと。

・「誰の上にも見えるよ白い紙吹雪」、これが言いたかった。誰もが祝福されている。誰でもどんなことがあっても、幸せになる権利がある。

・好きなものは好きって言っていい。

2行目で、音楽は聴くよりやる方が好きと言った。楽器を鳴らすより歌う方がいい。

・私が私のためにこの詞を書ける。

・私の濃い部分を抽出した。言いたいことを全部言えた。


Hello, it's me

・直訳すると「もしもし」。もしもし私、大丈夫?

・成長の物語。

・人と比べて自分が劣っているのではないか。人がすごい楽しそうに暮らしていて、自分はあの人より幸せじゃないのではないか。実際はそうじゃないかもしれないのはわかるけど辛い。とよく言われる。

・みんな幸せそうでいいと思うけど、なぜ人はそこを比べて、自分のできていないところ、自分に無いところを探すのか。そういう疑問からできた詞。

・自分が自分で好きなところを一つでもいいから、これが得意だとか、私はこれをやっているときが幸せだとか、そこを数える方がいいと思う。

・人のことが気になることはあると思うが、私にあまり無いのは、自分の成長にすごく興味があるから。常に自分にフォーカスが当たっている。

・まず自分がどういう状態かをよく見たほうがいいと言う。

・人に言われても人は変わらない。自分中心に自分の楽しいことを追求していくと、言葉で言うより人にも伝わる。

・言葉は大事だけど危ういから、あまり無責任なことは言えない。

・誰のものでもない、自分だけの自分だから、というのがテーマ。



◎SLITS

・2022年、20周年のツアーの合間でパレードが続くならの楽曲を1曲ずつ作り、2023年が明けてすぐリリースした。それとほぼ同時期に新曲を録り始めていた。

・1年ちょっとぐらい、ゆっくり時間をかけて作ることができた。

・パレードが続くならの録音方法ではない方法をやりたいなと思った。作曲家のハウススタジオに行ってゼロから曲を作るという作り方をし始めた。

2023年はツアーの予定が無かったので、ゆっくり、どんなアルバムにするかを考えながら1曲ずつ制作していった。

・今までのやり方ももちろんやっていたがそれは、どんどんプリプロダクションしていくというやり方。いろんな楽曲を聴いて、その中からどんどん歌詞を入れてとんどん歌っていくという方法。

・このやり方は自分にとても合っていて、1日に5,6曲できるぐらい集中してできるので楽しい。そのときに曲のテーマ、絵が見えてくることが多い。そのときに見えてこなければ曲にするのが難しい。

・最初からこういうテーマ、こういうアルバムというのは明確には無いが、実はぼんやりそのときの自分のムードが色濃く出ることがある。自分は割とそのタイプ。

・Terminalがあって、パレードが続くならがあって、20周年のコンサートがあった。その私の流れがあって、2023年が明けて、作曲家と曲を作るときの気持ちがずっと続いている感じ。

・私の中では、自分の従来のやり方を壊すというのが毎回ある。曲で今まで歌っていないことを歌うというのも大事な自分のテーマとしてある。

・誰に言われたわけでもない、自分の中で湧き上がってくる「今私はこういうことを歌って自分をフックアップしたい」という気持ちが現れている。

・自分の去年1年間、制作をしながらたくさん遊んで、いろんなものを見ていろんなところに旅をして、ということが自分のアルバム作りに全て繋がっている。

・それをひとことテーマとして捉えるならば、閉塞感から抜け出したい、ということがあった。そこから自分がオープンな気持ちにならないといけない、ということを持っていて、アルバムタイトルがSLITSになったんじゃないかと思う。

・何気なくファッション誌を見ていたら、スリットスカートの特集で、私が求める自由がここにある、と思った。

・スリットが入っているスカートはだいたいタイトスカート。タイトスカートを履くと小足でしか歩けないが、それが凄くセクシー。

・脚を自由に動かすという機能的な役割。スリットを入れることによって脚がちょっとだけ自由になる。それと、切れ目から脚が見えるセクシーさがある。

・それを見て、私が求める自由ってこのタイトスカートみたいだと思った。SLITSは私にとっての自由。

・自分が自分で、風通しを良くする存在にしたい、息苦しいところから出してあげたいという気持ちが凄くあった。

・テーマができたのは中盤以降だった。それまでは自分の気持ちを素直に出していった。素直な目で自分を見るということを追いかけていた。自分が今聴きたいなと思うサウンドを求めていた。そのことは今までと変わりない。

・ジャケットのアートワークも、自分の中でかなりイメージがあり、スリットスカートを履いている。上に着るものが思いつかず、このジャケットになった。戎康友さんが撮った。


◯流星slits

・前田佑さんにアレンジしてもらって作っている。前田さんとは何年も一緒にやっていて、ライブの音源も作ってもらったりしていた。

・"スリット"という言葉が出てきた後に書いた詞。

・"slit"には引っ掻き傷という意味もある。流れ星が空に引っ掻き傷をつけたような感じ。流星を私が投げている。

・ラップ調のところは大変だった。


◯One, One, One

・前田さんのハウススタジオで、ゼロから作ることをやってみたいと思ってできた曲。

・リラックスした雰囲気で作る。自然に自分がどういうメロディーにいきたいかを探ってみたかった。

・自分はメロディーの癖が無い方だと思うが、言葉が出てくると言葉に引っ張られることがある。今回も「YUKI節みたいなのがある」と前田さんに言われて面白いと思った。


◯風になれ

・TD(MIXからのトラックダウンの作業)は一番最後にやった曲。

・プリプロをやってからずっととっておいていたが、この曲やっぱりいいなと思った。

・詞としてはかなり短い詞。気づいたら歌っていて、自分がやりたいんだと思ってちゃんとやることにした。

・アレンジを鈴木優人さんにお願いした。

・デモの感じが気に入っていたが、鈴木さんにお願いしたら凄くjazzyな、変拍子みたいな、渋くて格好良い感じで上がってきた。

・ハンドクラップをして、みんなで風になれみたいな感じなんだと伝えて、アレンジし直してもらった。

・身振り手振りや、歌ったりして、無理を言って明るい感じにしてもらった。

・当日、素晴らしいミュージシャンばかりで、3回ぐらいでOKテイクが出た。

・ハンドクラップは上手すぎると一本にしか聞こえない。絶妙にずらすのも大事だが凄く難しい。

・ドラムの伊吹さんのハンドクラップが凄く上手かった。わざと早めにやる。