続×8・3兄弟 ~ 善悪の彼岸 ~
あれっ ・ ・ ・ 俺 ・ ・ ・ どうしたんだっけ?
・ ・ ・ ここは どこだ? ・ ・ ・
たくさん 咲いている ・ ・ ・
コウキ : あっ もしっ ・ ・ ・ あの~ すみませ~ん!
通行人 : ・ ・ ・
コウキ : すみませ~ん! ちょっと す~み~ま~せ~~ん!って
あれ 聞こえないのかな ・ ・ ・
そこの かっこいい おにいさ~ん!
謎の猫 : 呼んだか?
コウキ : えっ? いや ・ ・ ・ はい ・ ・ ・
まぁ 誰でもいいんだけど ・ ・ ・
謎の猫 : お前 ここで 何をしている?
コウキ : え~っとですね ・ ・ ・ う~ん と ・ ・ ・
誰かに 会いに来たような 気もするし そうでもない気も
するような しないような ・ ・ ・
謎の猫 : サイカチの じじぃに 会いに来たんじゃねーのかい?
コウキ : あ~ そうですよ! そうです そうです
サイカチのじいさんに ・ ・ ・ って 何で知ってるんです?
謎の猫 : へっ! じいさんなら あそこにいるぜ!
あと 間違っても こっちに渡ってくるなよ!
コウキ : あの~ サイカチの末裔の方ですか?
カチノサイゾウ : いかにも。 お前さんは?
コウキ : ザゼンソウタ という方から 手紙を預かって参りました。
サイゾウ : ザゼンソウタ か ・ ・ ・
(手紙を読む)
うぬぬ ・ ・ ・ う~む ・ ・ ・ そうか ・ ・ ・
ところで お前さんは なぜ 命の危険を冒してまで ここまで
来たのだ?
コウキ : わかりません ・ ・ ・ 初めは あなたに 教えを請おうと
思い来たのですが ・ ・ ・ わかりません。
俺は やっぱり 死んだんですか?
サイゾウ : とりあえずはな。 まだ 大丈夫だがな。
そこの川を渡ったら もう二度と戻れぬぞ。
ヤツの 胃袋の餌食になった ということになる。
コウキ : ヤツって あの ばかデカい鯉のヤツですね。
サイゾウ : そうだ。 お前さんが 胃袋に飛び込んだ あの大将さ。
わしは死んだ身であるゆえ このような ややこしい方法で
ここまで 来てもらった。 ヒガンバナ一族の娘に お前さんが
来たら ここまで来る方法を伝えるように頼んでおいたのだ。
コウキ : そういえば あの娘 川の向こうにたくさんいたけど ・ ・
サイゾウ : ヒガンバナ一族は 現世(うつしよ)から幽世(かくりよ)に
迷わぬよう 案内をする者どもだ。
お前さんに 来てもらったのは ほかでもない。
頼みがある。
コウキ : 頼み? ・ ・ ・ とは 何ですか?
サイゾウ : 数十年前 ヤツが突然村に現れ それまで村を治めてい
た鯉一族を滅ぼし 長になった。
しかもヤツは 村のオタマたちを あの沼に集めて人質とし、
若い男の生贄を強要し始めた。
若い男の運び役は イヌマキ一族の役割となり、 その役割を
務めている限りは この村は 表向きは平和に保たれている。
コウキ : やはり何か様子がおかしいと思ったが ・ ・ ・
イヌキタさん ・ ・ ・
サイゾウ : そこで サイカチ一族である わしたちは 一族伝統の剣
である 「サイカチの剣」 を持って ヤツに 戦いを挑んだの
だが ・ ・ ・
ヤツの皮膚は鎧のようだった。
わしの兄と弟の剣は折れ ヤツに殺された。
「サイカチの剣」には サイカチの毒が仕込まれている。
折れた剣は 沼に沈んだ後 その毒が拡がり
沼に棲む者たちの大半は亡くなってしまった。
その罪で サイカチ一族は汚名を着せられた。
村から追放されることはなかったものの
ついには わしを最後に 一族は断絶してしまった。
ヤツはしっかりと生き残ったがな!
コウキ : そうだったんですか ・ ・ ・
それで 俺に 仇討ちを?
サイゾウ : すまんな。 お前さんには 何の関係もないんだが
ザゼン殿の お眼鏡に適ってしまったわけだな。
ここまで来るには お前さんの その変チクリンな格好が好都
合だったということかな。
コウキ : あまり 嬉しくないな ・ ・ ・
サイゾウ : 仇討ちは わしのするべきこと。
だが もう この身では 適わんがな。
そのかわりに イヌマキ家の お嬢さん方を助けてやってくれ。
不憫でならぬ。
コウキ : どうすれば よいのですか?
サイゾウ : お前さんに 「サイカチの剣」を 預ける。 その剣を
ヤツの 胃袋に 3回 衝き立てるのだ。 それ以上 衝いては
ならぬ。 そうすれば苦しくなり お前さんを 吐き出すであろ
う。 だが ・ ・ ・ ヤツを 殺してはならぬ。
・ ・ ・
コウキ : えっ? なぜですか? ヤツを生かしておいたら この悪夢
は終わりませんよ!
サイゾウ : ならぬ。
ザゼン殿の 頼みである。
コウキ : そんな馬鹿な! ヤツを生かしておくなんて出来ません!
あなたが 止めても 無駄だ! 俺は ・ ・ ・
サイゾウ : ならぬ。 ならねば わしが お前を斬る。
コウキ : ・ ・ ・
サイゾウ : どうする? 時間は無いぞ!
次回へ つづく
前回作は こちらから








