5年半ぶりのフランス。最初は全く気乗りがしなかった。働き方を変える時点で私の関心はフランスを含む欧米から日本を含むアジアへ移ったし、今では日本にいながら毎日外国人と接している。
 
さらに遠いし、高いし、反エコ。夫から話が出た時、今更フランス?と思った。それから半年をかけて、この国に来る動機を探していった。その一つが自分の仏語力を現地で確認することだった。
 
日本語レッスンの生徒が少しずつ多国籍になってきているとはいえ大半はフランス人のまま。初級者に日本語の文法を仏語で説明したり、質問に答えたりする時、ローカルエラーを減らしたいと思った。
 

グローバルエラーは文全体の構造に影響を与え、コミュニケーションに著しく支障をきたす誤り。それに対して、ローカルエラーは、一部に影響を与えるだけで文意の理解を妨げない誤り。複数の誤りがあったとしてもコミュニケーションは成り立つ類のもの。

 

ここに↓書いたように私の仏語は段階を踏んで伸び、今では意思疎通にそれほど困ることはない。でも、発音、文法、語彙の選択などに細かい間違いがあると、説得力に欠ける説明となってしまう。

 
英語、中国語、韓国語等を媒介語にして日本語を教えている先生は結構いるけれど、仏語はそれほど多くない(と見ている)。個人レッスンを行っている私が相手にできる生徒数は限られている。
 
質のいいレッスンを限られた人数に提供していきたい。その点、今後も仏語は仕事の強みになるだろうからブラッシュアップする意味がある。それがDALF C1という試験への挑戦につながった。
 
対策講座に2か月、独学に5か月をかけ、一発合格できて嬉しかったのはもちろんだけれど、試験勉強のお陰で一皮むけたのも実感している。特に話す時の語彙・表現とエロカンス。
 
対策講座の最終回、実際の試験を模した口頭発表の後、現役面接官から評価を受けた。発音についてはC1レベル。それ以上を目指すならエロカンス(eloquence、雄弁さ)が必要だと言われた。
 
自信なげにボソボソ話す日本人をたくさん見てきた先生からの助言。日本語自体の音の少なさや日本人の気質も関係しているのだろうけど、現地で話す時にはそんなことを考慮してもらえない。
 
その後の独学で、良質のポッドキャストをたくさん聞いて、あることに気がついた。ネイティブが話す時、特に自分の意見を主張して、相手に納得してもらおうとする時、わざと間を置いている。
 
パラ言語の一つであるポーズ、それにプロミネンス(どこを強調するか)もアクセントやイントネーションと同じくらい大事。それが、よく言われるチャンク(かたまり)で話すということでもあるのだろう。
 
この効果は、仏語学習だけではく、DALF試験勉強中に始まった日本語上級者とのレッスンでも観察できた。その人は音読したり、意見を言ったりする時、かたまりで区切っているのだ。
 
本当に聞き取りやすい。さらに、サラサラ、スラスラ淀みない話し方よりも引っ掛かりがある話し方のほうが相手に強い印象を与えるし、内容も記憶に残りやすい。
 
パラ言語は、話し手の感情や人柄を印象付ける。上手く使えば雄弁さも醸し出せるということ。これは実際の口頭試験で大いに役立った。で、今回の滞在でも前回との違いを実感している。
 

 

これは四半世紀前、1999年の新年を祝うパーティ。私は1998年7月に夫と出会った。少しずつ友人たちに紹介されていったものの、これほどの人数が一堂に会する場に出るのは初めてだったと思う。

 

私は向かって左手前の隅っこに座り、夫に何やらボソボソ話して、全員の注目を浴びている。この写真は今回のパーティの後にもらった、というか「自由にお取りください」と書かれていた。

 

今回の旅の目的はブノワとオリビエという夫の中学時代からの友人たちの50歳を祝うパーティーへの参加。会場となったブノワの家には思い出の写真が飾られ、2人にはアルバムも贈られた。

 

 

これも1998年の写真。切れてしまっているけれど、左端がブノワ、夫、右から2人目がオリビエ。他の3人も今回のパーティに来ていた。私がオドオドと仏語を話していた頃を知っている人たち。

 

なかでもオリビエはムードメーカーで言語と文化に戸惑っている私にもよく声をかけてくれた。昨日「毎回(仏語が)上達しているね。日本に住んでいるのに。」と言ってくれた。

 

単なるお世辞より断然嬉しい。自分の仏語学習や日本語レッスンを通じて確信している。国際結婚しているからといって、現地に住んでいるからといって語学は伸びるものではない。

 

C1は現地の大学院へ入学できるレベル。残るはC2。今回の旅の目的の一つ(後付け)は仏語の本を購入することだった。地方都市の大型書店で探してみたものの、C2の対策本がまさかの皆無…。
 
まあ、既にC1とC2がセットになった本が家に3冊もある。あとはモチベーションとタイミング次第。まずは去年のC1の試験対策をブログに記すことで自分を奮い立たせてみよう。たぶんそのうちに…。
 
以下はパーティー2日目、昨日の話。60人以上が集まったパーティーも遅めの昼食でお開きになり、それぞれテントをたたみ、解散。別れる前にもビズ(頬を合わせる挨拶)をする。
 
この地域はビズの回数が計4回。それなのに2回で済ませる人が大半だった。なぜだろう。コロナの影響か。謎のまま。でも、私にとっては面倒な儀式が簡素化されたのはいいこと。
 
それはさておき、これは↓高校生3人組が別れる前に撮った写真。3人ともいい笑顔をしている。左のアルチュールと息子は幼なじみ。
 

 
右のアントワーヌと息子は初対面。アニメが好きで息子にもいろいろ話しかけてくれ、とても感じのいい子だった。いつか日本に行くのが夢なんだとか。
 
パーティー会場となったブノワとマエヴァの家に残ったのは遠方からやって来た7人の客だけ。フランス東部、ジョージア、そして日本。午後は思い思いに過ごした。
 
私は読書をしたり、ブログを書いたり、散歩したり、写真を撮ったり。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
22時でもこの明るさ。ここに滞在するのも後1日。そして5年半ぶりのフランス滞在も終盤を迎えている。