大西洋に近い町に滞在3日目。かれこれ25年の付き合いになる義父は74歳になっても相変わらずお喋りだ。9年前に亡くなった義母同様、その後出会った彼女(76歳)も辟易している。

 

思い出すのは20年前の義父とのサイクリング。仕事の都合で夫より先にフランス入りし、早期退職していた義父と二人で出掛けた。一体、どうやってやり過ごしたのか。まあ、今では良い思い出になっている。

 

 

 

このサイクリングの数日後、夫が合流した時に「もう限界。ヤニック(義父)と数日過ごせば分かるって。」と言ったこと、解せない様子だった夫が数日後に私の意見に同意してくれたこともよく覚えている。
 
そんなことを数年に一度繰り返し、その間、仕事や試験を通じて仏語に磨きをかけて、義父をはじめ癖のあるフランス人対応もそれなりにできるようになった。
 
長々としたお喋りを適当に流したり、納得できなことに対しては皮肉っぽく言い返したりする。つまらないと思ったら席を立って、自分の時間を過ごす等。

 

さらに幸いなことに?身代わりが見つかったのだ。息子。まるで25年前の私のように義父の話に耳を傾けている(実際にはほとんど分かっていない)。しかも、笑顔まで作って。

 

昨日はシャワーを浴びる時に使うタオルがどこにあるか尋ねに行ったはずなのに、まんまとヤニックの蜘蛛の巣に引っかかってしまい、旅行の写真を解説付きで見せられていた。

 

私も経験あり。可哀想だけど、助けてあげない。これも息子のためというよりも私自身が巻き込まれたくないから。自分の身は自分で守らなければ。そのためには語学力が必要。

 

さて、義父の家に滞在2日目は少し離れた街まで出かけた。

タンタンにも出てくる街、Saint-Nazaire(サン・ナゼール)。
 
普段、海を見ることがないから散歩だけでも新鮮。でも、ここは、まだロワールの河口(estuaire)。
大西洋に出たと思ったら曇り空になった。1日の間に天気や気温の変動がある。
息子のデッサン。
その晩。ジェスチャーとともに話す義父と笑顔で聞く息子。好きでもないムール貝を皿にたんまりと盛られて、笑顔で食べていた。断る勇気、断る技術。言葉って大切だ。