先週前半のレッスンの話を今ごろ書いている。時々、生徒から母語の表現を教わることがある。聞き取れない時、私は「発音が上手すぎて分かりません。」と笑いながら言う。

 

チャットボックスに入力されたのは、special snowflake。雪の結晶が一つひとつ違うように特別な存在という意味らしい。最近では否定的な意味(自分を特別視する)で使われることも多いとのこと。

 

相手が言いたかったのは、日本ではspecial snowflakeでいられるということだった。母国や留学先で複数の言語や文化に触れてきた人が日本に住んで感じる居心地の良さとは。

 

この特別感、うちの外国人夫をはじめ、元同僚や現生徒たちの言動からも薄々感じていた。ただ意外だったのは、今回の相手はパッと見たところ日本人と間違われる顔立ちだという点。

 

それでも周りに外国人(特に英語圏の人)が少ないのが気に入っているらしい。で、観光客を含む外国人が増えて欲しくないと願っているのはこの人だけではない。

 

「コロナの頃は外国人が少なくて良かった。」

「東京に出張したら日本語より英語が聞こえてきた。」

「京都に行くと、前よりもゴミが落ちていて残念。」

 

今までに複数の人が日本語レッスン中に苦笑いをしたり、ため息をついたりして本音を吐露。そんな時こそ相手のモチベーションを高めるチャンスなのだ。

 

「(ただの外国人観光客!とは違って)日本話が話せるというのは強みですよ。きっと特別な対応が受けられるはずですよ。」と、さらなる学習を促す。

 

日本人の言動に戸惑ったり、その背景にある文法の不可解さ、漢字の読みの複雑さ、語彙の豊富さ等に弱音を吐いたりしつつも、皆さん特別感を味わっている様子。

 

ここにも一人いる。最近(2か月前)の出来事で言えば、テント事件。家族で花見をしようと近くの公園へ行き、私が見つけた場所の5m背後から英語が聞こえてきた。

 

普段は従順な夫が珍しく「あそこに白人が2人いるから・・・」と腰を下ろすのを渋り、思い出したかのように「日差しが強いから家に簡易テントを取りに帰ってくる」と言い出したのだ。

 

この話を冒頭の生徒に話すと、「分かる、分かる!」と共感。まあ、これが外国人が日本で何とか守り続けたいと願っているspecial snowflake/特別感ということだろう。

 

話は変わり、外国人に特別感がない夫の国を含む、EU加盟国で行われたヨーロッパ議会選挙。先週、夫のもとにも封書が届いた。

 

京都か・・・と、これまた一瞬渋ったものの、夫の関心事である気候変動対策はこの議会で指針が示されるし、ある意味、大統領選挙より大事だと自身に言い聞かせて京都へ。

 

ネコの写真が気に入っただけで、ここに投票したわけではない。母国やその周辺の将来を案じて一票を投じた。結果は案の定、極右が躍進・・・。

 

この選挙には息子も付いていった。せっかく京都に行くのだからと息子が前から行きたがっていた展覧会へ。私は家で留守番した。観光客だらけの場所には近寄りたくないのが本音。

 

 

ますます出不精になっている。1か月後には夫の国にいるなんて信じられない。用事は全て近隣で済ませて、仕事もほぼオンライン。

 

そんな私の特別感は日本語レッスンや外国語学習を通して外を覗くこと。今日の昼ご飯のお伴はこれにしようと思う。