今週は旅行中、出張中、体調不良につきレッスンを休む人が3人のはずが4人となった。おかげで空いた時間を使って注意を要する文章を書き上げられそうだ。

 

私のレッスンは文法が中心。初級者に対しては文法の学習や復習をしつつ練習問題から少し会話へ持っていったり、文脈の中で語彙を学んだりして単調にならないようにしている。

 

上級者も結局は文法の質問をしてくるからそれに対応できるように準備していく。相手が投げかけてくるのは初級で習う助詞の用法や自動詞と他動詞の区別など基本的なものばかり。

 

ここで、今週のレッスンを振り返ってみる。ハイライトは、この決め台詞が自然に出てきた時。「私は、そのためにいますから。」 今思い出してもカッコよかった。一体どこが?

 

その日は、読解中心のレッスンとなった。まず黙読で語彙や表現を学習し、その後に音読することで漢字の読みも確認した。文章の細かい理解を妨げているのは、やはり文法。

 

1時間の質問攻めに何とか応えられたようで、帰り際に「たくさんの質問に答えていただいて、ありがとうございました。」と言われ、例の「殺し文句」が口を突いて出たのだ。

 

「私は、そのためにいますから。」

 

自己陶酔に浸るのは、このくらいにして、本題の「サバイバル・旅行会話」レッスンについて書こう。私が行っているのとは全く異なる目的や手法のレッスンだと考えている。

 

 

↑ここに書いたように私が提供できないのは

 

・サバイバル日本語レッスン
・短期集中レッスン(試験対策を除く)

例えば、3週間前、こんな問い合わせが届いた。

 

「5月に大阪に行くので、1週間、朝か夕方にレッスンを受けたい。」

例に漏れず英語で書かれていた。JLPT N3を持っているなら日本語で書けばいいのに。レッスンは既に始まっているのに。

 

短期集中レッスンは行っていない旨伝え、丁重に断った。相手から返事がないことにも慣れたと書きつつ、頭が勝手に点と点をつなぎ合わせ、避けるべき相手の特徴を集めようとする。

 

ホームページにも「旅行で訪日前または滞在中に日本語を集中的に学びたいといったご依頼を頂くことがありますが、あいにく時間的制約により云々」と書いた。

 

実際には時間的余裕はある。去年の秋から5人連続でレッスンをお断りしているのは1人でも合わない相手を選ぶと、いろいろと乱されるから。去年の前半に約1名、今までに計2名経験。

 

5年前なら来る者拒まずで引き受けた。訪日外国人が再び増えているのをチャンスと考える人もいるのかもしれないけれど、苦い経験から学び、しっかり線引きするようになった。

 

サバイバル日本語や旅行のための日本語は単語や文の丸暗記に終わりがち。レッスンをカスタマイズしにくい。つまり人間ではなく、機械に任せることもできる。

 

私は日本に暮らす、日本で働く外国人それぞれの環境に合わせて一人間として接したいと常々考えている。決してご奉仕ではなく、私も多くのものを受け取っている(ただし料金は良心的)。

 

サバイバル日本語や旅行のための日本語がAIの活用で済むなら、こういったレッスンを希望する人自体も私にとっては感情のない機械のように思えてくるのだ。

 

というのは、ホームページに届く問い合わせの内容、文体、その後に続く対応で相手がどんな人か想像がつくようになった(外れるときもある)から。

 

自分の要望が受け入れられなければ、返事すら寄こさない人が一定数いる。その先に人間がいると分からないのだろう。何語であれ、外国語を学ぶ能力が欠如していると言える。

 

自分が中心で相手は二の次。特に海外旅行中は誰でも浮かれがちになる。個人レッスンであるのをいいことに自分の都合でスケジュールの変更をしようとする。これも経験済み。

 

旅行中は、正の感情だけでなく負の感情も生まれやすい。落ち着いて学習などできない。相手にとっても私にとっても不毛な時間を過ごすことになる。学習ではなく、娯楽か。

 

そんなことを昨日の朝、夫に切々と語っていたら、ある表現を教えてくれた。« venir en touriste » 真面目に勉強するわけでもなく、学校にふらりとやって来るという意味で使うらしい。物見遊山といったところか。

 

ところで、ホームページに投稿したブログ、「私にできること」は、こう締めた。

 

何はともあれ、今後も日本語や日本文化に興味をお持ちの皆さんからの依頼をお待ちしております。

 

でも、最初は、こんな文章を載せようと思っていた。

 

最後に一つだけ。相手と言語と文化に敬意を持って接することができる人であれば、どなたでも大歓迎です。
これが私にとっての最低必要条件です。難しくないですよね。

 

皮肉好きのフランス人の夫にさえ止められた。仕事なんだから本心を書いてしまってはダメだと・・・。嘘がつけない性格なもので。