この整骨院に通い始めて、まだ1年半。ずいぶん前からお世話になっているような気がする。

 

 

予約は電話のみで、大抵、店長らしき男性が対応してくれる。頭の中に客の声と顔が紐付けされているようで、いつもその記憶力に驚くと同時に安心する。

 

どこか懐かしさを感じるのは、きっと昭和にタイムスリップしたように錯覚するからだと思う。あの頃は活気があった。といっても私が知っているのは最後の10年くらいだけ。

 

家から整骨院がある商店街まで自転車で20分強かかる。その間に街並みを眺め、車や自転車や歩行者とすれ違う。平日の午後、街に活気はない。

 

10人に1人が80歳以上というのを納得する人口構成なのだ。大通りの横断歩道を待っていると、不動産のビラ配りをしている若い男性が近づいてきた。

 

電柱の近くに隠れ、目を逸らしていたものの声をかけられたら無視するわけにはいかない。信号の待ち時間、ビラをもらい、簡単な会話を楽しんだ。

 

人口が減少傾向なのに家を建て、車を造り続ける矛盾。そういえば、昨日のニュースで日本のGDPが世界4位に後退したと言っていたなあと思い出した。

 

ブログにしろ、学校の成績にしろ、経済の指標にしろ、競争を煽るランキングは好きではない。GDPに頼らない仕組みはないものかと夢みたいなことを考えて、自転車を漕ぎ続けた。

 

どうみても80代と思われるお年寄り達が自転車に乗っているのをよけながら、今さら免許を取るつもりのない私の40年後の移動手段はやはり自転車かと想像し、商店街に入った。

 

懐かしい、優しい音楽が流れるなか、目的地に10分前に到着。引き戸をガラガラと開け、「こんにちは~」という声に迎えられ、月に1回の針治療とマッサージを受けた。

 

うつらうつら夢心地でいると、鍼のなんとも言えない気持ちよさ、肩甲骨をゴリゴリされる痛さで目を覚ました。毎回、お世話になっている鍼灸師は70代と思われる。

 

いつまで施術してもらえるのか分からないけれど、当分通い続けるつもり。寒さに身を縮めて帰宅し、コタツでパソコンに向かい、懲りることなく、凝りを悪化させている。

 

昭和感が漂う私の定位置