過度の憧憬も抵抗も外国語学習の弊害となる。学習者の中に来日5年目にもかかわらず、日本語に対してレジスタンス運動を続けている人がいる。

 

なかでも苦手意識を持っていたのがオノマトペ。「そんな幼稚なものを使う必要はない」と断固拒否していたらしい。同じく日本語学習者である奥さんからの情報である。

 

そんな相手に選んだテキストは↓

 

自然な会話には、音の変化、助詞の省略、曖昧な表現、もちろん、オノマトペもつきものである。テキストの選定を間違った…のではなく、抵抗から解放へと導いているつもり。

 

相手に抵抗されればされるほど、遣り甲斐を感じる。と書きつつ、全13課のうち残ったテーマの一つが「美容院にて」。スキンヘッドで、美容院を利用することがない相手に苦手なオノマトペが含まれる会話をどう導入するか。

 

荒療治を施すことにした。世間話の後、「今日聞く会話にはオノマトペが含まれているんです」。相手の反応を待つことなく「○○さん(奥さん)によると、□□さんはあまり好きじゃないそうですね」と畳みかけた。

 

その上でオノマトペは決して幼稚ではないことを説明。日本語では「擬音語」「擬態語」と呼ばれること。病院で医者も使うことも伝えた。

 

そして、いつか役に立つだろうと取っておいた広告を画面共有。

 

視覚効果、それとも夕食前の「空腹効果」のお陰か、相手は抵抗することなく、美容院の会話へもすんなり誘導成功。今週も美容院+オノマトペのテーマは続く。小道具も準備済みだ。