ほんの少し緊張気味の月曜日。

頭痛と耳鳴りを抱えて出勤しました。

 

こんな日は、小柄、薄い顔、低い声をフル活用して、ひたすら存在感を隠すに限ります。黙々とテープ起こしに励むこと、小一時間。

 

ふと背後にラテンの風を感じました。振り向くと、日焼けした顔に真っ白な歯。事務室に顔を出してくれたのは、メキシコ人留学生たちでした。

 

3週間ぶりのお粗末な英語を何とか笑顔でカバーし、体調不良も一時的にどこかに吹き飛んでいきました。

 

母国では堅い仕事に就いている2人。彼らにとって、日本での生活は、非日常の連続なのでしょう。京都の祇園祭に始まり、大阪の天神祭、滋賀のびわ湖大花火大会など、夏を満喫したようです。

 

「底抜けに明るい」というのが、メキシコ人を始め、南米人に対して私が抱いていた思い込み。去年から主に南米人の留学生対応係になり、生真面目、神経質な南米人もいることも知りました。


彼らに感化され、かじってみたスペイン語。日本語の音に近いというのは噂には聞いていました。綴りと発音が、ほぼ対応しているのも、英語の発音に悩まされる日本人には有り難い点です。

 

フランス語の発音も難しいと言われますが、幾つかの規則と「r」の発音さえ習得すれば、英語ほど難しくない、というのが私の意見です。

 

フランス語もスペイン語も、同じラテン系言語。書き言葉は似ていても、アクセントやイントネーションは全くの別物です。

 

日本語、フランス語、英語で頭は一杯。本格的に勉強する気はさらさら無く、簡単な単語をカタカナでメモする程度です。留学生たちとの会話に片言スペイン語を挟むタイミングを狙い、ただ今、ウォーミングアップ中。

 

very goodでも、très bien(トレ・ビアン)でもなく、muy bien(ムイ・ビエン)!温かみのある響きが気に入っています。

 

留学生との交流のお陰で、進む道が見つかりました。

 

フランス語の試験も終わり、自ずと興味は多言語へ向かっています。正確には外国人が話す日本語へ。

 

フランス人が話す日本語は、モノマネが出来るほどです。アメリカ人が話す日本語も職場で3年ほど耳にしました。ただ、需要が少ないのが難点です。日本に住む外国人のうち、欧米人は、6%に過ぎません。

 

中国人が話す日本語。留学生の話に聞き耳を立てて、必死に吸収しているところ。韓国人留学生がいないのは、致命的です。ベトナム人も、インドネシア人も、フィリピン人も同様。

 

何といっても、日本に住む外国人の80%は、アジア人です。次いで多いのが、10%を占める南米人。ブラジル人が多いのでスペイン語よりポルトガル語?キリがありません。その場その場で、対応することにしましょう。

 

切り離せない、言語と文化。どうりで興味が尽きないわけです。日本に住みながら、多言語、多文化に接する世の中になるとは想像していませんでした。

 

労働人口が減少する日本で、外国人の受け入れは、待った無しでしょう。外国人に排他的な態度を示す人が、どんどん増えて来ていますね。

 

排除するよりも、共存していくために、何が出来るか、考えて、行動に移していくほうが、得策だと考えています。

 

 

思い出すのは、20年前の留学時代。学校は、人種のるつぼでした。世界各国から集まる留学生たち。世界地図でしか目にしたことのない、中東、アフリカ、東欧の国々からも集まっていました。

 

名前は忘れたとしても、今でも彼らが、その国の代表となっているのは確かです。同時に、そこには、ステレオタイプという危険も潜んでいます。

 

世界中から観光客を集めるフランス。好き嫌いが分かれる国でしょう。ステレオタイプで成り立っている国でもあります。

 

以前、「フランスは、もう知り尽くしたから」と豪語した男友達がいました。

 

すぐさま、「へぇ〜、薄っぺらいね」と毒針をグサリ。

 

「フランスって、どんな国?」

 

と聞かれても、私は即答できません。知れば知るほど、分からなくなるものではないでしょうか。言語も文化も人間も。

 

真っ先に思い浮かぶのは、パリでしょうか? 実際は、方言、料理、建築、風景も、その土地土地の特色を持っています。

 

ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリア、スペインにアンドラ、モナコ公国も加えると、8ヶ国と接していますから。

 

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1月から勉強して来たテキスト。のめり込んだり、眠り込んだり。ラスト1冊のタイトルは、「世界と日本」

 

話を戻し、メキシコ人留学生たちの日本留学も、残すところ3ヶ月です。この半年で日本語も上達したはず。スペイン語なまりの日本語をぜひとも聞いてみたいものです。

 

事務的な用件は、英語。日常会話は、日本語。スパイスとして、片言スペイン語。理想は、この3本立て。贅沢すぎます。

 

そして、彼らが帰国する冬、意気消沈すること間違いありません。新たな出会いを求めて、モゾモゾと動き出すことにしましょうか。

 

さあ、どういう形を取ろうかと、アイデアを出している今が、一番楽しいのかもしれません。失敗しては、軌道修正して、10年後ぐらいに何とか形になれば良いと思っています。

 

全ては、異なる文化、言語、ひいては、人間に会うためです。