フランス地方を巡る旅。出発地は、19歳で留学した街、南西部のToulouse(トゥールーズ)でした。寄り道をしながら北へ進み、パリを通り過ぎ、北東部までやって来ました。
前回のStrasbourg(ストラスブール)に続いて、Alsace(アルザス)地方の紹介です。
ストラスブールから電車で30分ほどの町、Colmar(コルマール)。17年ぶりに訪問したのは、2015年の年末のことでした。
フランスのクリスマス・マーケットと言えば、アルザス地方でしょう。季節外れの話題ですが、お付き合い頂ければ幸いです。
旅の準備段階から熟読していたパンフレット。
Colmar, La magie de Noël
(コルマール、クリスマスの魔法)
仕事のストレスも忘れさせてくれるようなキャッチコピーでした。
2度の世界大戦により、打撃を受けたアルザス地方。その中で、コルマールは奇跡的に戦禍を免れました。
colombage(コロンバージュ)と呼ばれる木組みの家々が連なり、美しい街並みが保たれています。
町なかに点在するクリスマス・マーケット。日中は、観光客もまばらですが、夕方に向けて賑わいを増していきます。
身体を温めようと、Vin chaud(ヴァン・ショー)を飲んでみました。別名、ホットワイン/グリューワイン。甘みとスパイスが私の口には合いませんでしたが・・・
(出典:https://www.adeline-cuisine.fr)写真をお借りしました。因みにこれはストラスブールのクリスマス・マーケット。
下の写真は、Le Koïfhus (旧税関) 。屋内マーケットの会場でもあります。
木製、レース、布製と種類も豊富なオーナメント。土産にもお勧めです。
翌朝も快晴。Petite Venise(プチット・ヴニーズ)を散歩しました。Venise(ヴニーズ)とは、フランス語でヴェネチアのこと。水の都に見立てた呼び方ですね。
パステルカラーの家々が運河や道路沿いに並んでいます。
真ん中の建物。最上階は、天井に頭が当たるどころか、立ち上がれるのでしょうか。
クリスマスらしく家族向け催し物についても少しだけ。移動遊園地、アイスリンクにメリーゴーランド。
普段は、石橋を叩いて渡る息子。一人でジェットコースターに乗ったり、初めてアイススケートに挑戦したり、その行動力に驚かされました。
前から3番目。一人で乗車。
リンクの真ん中に突っ立っているのが息子。
最初は、こわごわ、つたい歩き。前に進みたくても、行くてには手すりにもたれるフランス人たち。
恥ずかしくて、"Pardon"(すみません(通らせてください))の一言が出ません。
日本と違い、主張しなければ、何事も前に進まない文化。良い勉強になったはずです。
季節柄、メリーゴーランドにもクリスマス・ソングが流れ、子供も大人も日常を忘れ、この一瞬を楽しんでいました。
コルマールを含め、2015年12月の旅は私にとって特別なもの。パリ同時多発テロの後、飛行機をキャンセルすることもできました。
テレビに映し出されるフランス人たちは「いつもと変わらず日常生活を送ることでテロに屈しない態度を示す」と言って堂々とカフェのテラス席に座っていました。
今も世界では、テロや空爆が起きている地域があります。当時もフランスだけ特別扱いすることが疑問視されていたのも事実。
でも、この国は留学時代にカルチャーショックを受けると同時に、目を開かせてくれた国でもあります。そして夫と息子の国。やはり思い入れがあります。
何かできることがあるとしたら、予定通り、フランスへ行き、閑古鳥が鳴いている観光地に少しなりともお金を落とし、夫の家族や友人たちと気持ちを分かち合うことだと思いました。
最初は、テロの話題を避けていた夫の家族や友人たち。パリとは温度差があるにしても、地方に住む彼らも衝撃を受けていました。
口々に「テロの後、勇気を出して、イベントや集会に参加した」と話してくれました。
言葉にして吐き出すことで得られる安堵感、テロに対する恐怖心、それでも負けないという強い意思が伝わって来ました。
個人主義のフランス人。いざという時の団結力にハッとし、いつの間にか、この人たち、この国が好きになっていたことに気付いた旅でした。
Colmar(コルマール)の紋章
次回は、アルザス地方の村々を訪れます。この旅で味わった料理も紹介します。