あたし 光ってるでしょう?
エナメルの靴が言った
そうね 光ってるわ
隣の革靴が答えた
あたし 光ってるでしょう?
反対側の
合成皮靴にも聞いた
そうね 光ってるわね
光ってるからって
べつにエラくないわ
正面の運動靴が言った
誰も エライい なんて言ってないわ
エナメル靴が言った
すると
向こうのサンダルが
クスっと笑った
何で笑うの?
あたなには 関係ないわ
エナメル靴は怒った
サンダルは身を縮めたけど
でも面白いもの と思った
エナメル靴は光ったまま
ツンとして口を閉じた
あたし 身軽なの
と サンダルが飛び跳ねた
エナメル靴は横目でちらっと見て
またツンとした
あたしって早く走れるのよ
運動靴も走ろうとした
合成皮靴も負けじと体をよじらせて
あたし やわらかいのよ と言った
革靴はそんなやり取りに呆れて
何も見なかったフリをした
光るエナメルの靴は
まばたきもせずツンとすましたまま思った
棚に並んでいるだけの毎日が退屈
早く誰かの持ち物になりたくて