「大相撲どすこい研~行司の世界~」 | 稜線の風に吹かれて

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いつもは低い山、ときどきは高い山、その報告と日々折々に感じたこと、思ったことを気ままに綴ります。

録画していた「大相撲どすこい研~行司の世界~」(NHK)を観る。

「行司」・・ある程度分かっているつもりではいたが、これを観て、行司の奥深さを改めて認識でき、これからの土俵を見る目も違ってくるような気がする。

 

まず、行司の仕事だが、

本来の行司のほかに、場内放送、番付表の制作、などこまごまとたくさんあるという。

例えば巡業のときなどは、100人もの輸送、設営、運営全般を担当。

場内放送から、力士のバス、宿の部屋割り、力士の取り組みを決め、お客に配る取り組み表のプリントまで作成するという。

もちろん装束に着替えて行司もやる。

 

そして、行司へのアンケートで「気をつけていること」で、なるほどと思ったのは、

取り組み中は、できるだけ正面に背を向けない、ということだそう。

なぜかというと、正面に回ってしまうと、東、西が逆になってしまって、力士を錯覚して裁きを間違ってしまうかららしい。

さらに、「行司泣かせの力士は?」という質問には、宇良と炎鵬だそうだ。

何をするかわからない2人だからだろうが、わかるなあ。

それから面白かったのは、若隆景が読み上げにくいということで、行司さんはイヤだそうだ。

~ワカタカカゲ~~、行司さんに限らずみんな読み上げにくいけどね。面白い。

 

ところで、大相撲での勝負には、物言いがよくあるが、そのデータをみると、

令和元年以降、物言いがついたのは194番あって、そのうち、軍配通りは130番で67%、差し違えが64番で33%なんだそう。

そして、1回も差し違えが無い行司が、木村容堂(62才、能町みね子は容堂ファンだという)という行司さんだ。

木村容堂さんについた物言いは15番だったが、すべて軍配通り。

容堂さんは、書の名人でもあり、番付を書いている。

取り組み中は、常に横から見るようにしているという容堂さん、体力作りは特にしていないというが、必ず駅の階段は歩いて上り下りするという。

ところが、今場所9日目に容堂さん、差し違えをやってしまった。令和以降初めてだ。

また、7日目には取り組み中に土俵上で転んでしまった。

俵に足が引っ掛かったか、かなり強く土俵にたたきつけられ、帽子、草履が吹っ飛んでしまい心配したが、すぐさま立ち直り、無事仕事をしたのは良かった。

しかし今場所の容堂さん、どういうわけか今までにない災難続きだ。

 

最後に、行司の心構えについての話し。

かつての第28代木村庄之助がいうには、行司は「裁く」のではなく、「合わせる」のだ、という。

これもなるほど、力士の立ち合いの呼吸を合わせ、いかに力を発揮させるかということなのだという。

この話しで、相撲放送のNHKのアナウンサーは、行司が裁くとは言わずに合わせると言っているそうだ。

 

もうひとつ・・・

能町みね子は、生まれ変わったら行司になりたいという・・・よっぽど相撲が好きなんだね~。

しかし、行司の世界は奥が深い!

 

渋沢丘陵の紅梅。

(後に、右、大山から左へ丹沢表尾根、1月22日)