DRAIVING RAIN/PAUL McCARTNEY
All songs by Paul McCartney, except where noted.
1. Lonely Road
2. From a Lover to a Friend
3. She's Given Up Talking
4. Driving Rain
5. I Do
6. Tiny Bubble
7. Magic
8. Your Way
9. Spinning On An Axis (Paul McCartney/James McCartney)
10. About You
11. Heather
12. Back In The Sunshine Again (Paul McCartney/James McCartney)
13. Your Loving Flame
14. Riding Into Jaipur
15. Rinse The Raindrops
16. Freedom
時間がすぎるというのは、人の感情も変えてしまうものだと思います。
今回アップした『DRIVING RAIN』も2001年当時に聴いた時の「最低」と
思った気持ちが、久々にこのアルバムを聴いたら「聴けない事ないか」って
なってしまっていますから。
・・・とは言うものの、アルバムの内容からすれば誉められたものではなく、
PAULの作品では最下位に位置しています。(私のランクでは)
それまでも不評な作品はありましたけど、それはそれでPAULらしさが
楽しめる作品だったわけです。
でもこの『DRIVING RAIN』は「普通」・・・本当に世に出ている沢山の
作品の中に混じった「普通の作品」を作ってしまっているんです。
もちろんPAULですから曲の要所要所に良い部分があるいますけど、
それすらデモの域を超えていないという状態です。
全体に曲がまとまる前に勢いで作ったような作品で、
PAULの制作意図からすれば思った通りなのかもしれません。
ですが、曲がよくないんです。
昔程悪い印象はなくなっていますけど、別にお金だしてまで聴きたいとは
思わないんですよ。
シングル・カットされた「From a Lover to a Friend」なんて、
聴いていて悲しくなってしまいましたよ。
本当にこの曲がいいと思ってカットしたの?って聞きたくなります。
メロディは悪くないのでしょうけど、全体に中途半端!(T T
このアルバムで一曲まるまる良いよねって思うのは、
今では歌う事も演奏する事も出来ないおマヌケな「Heather」くらいです。
まっ、本人は離婚するとは思ってなかったでしょうけど。
今「She's Given Up Talking」を聴いているんですけど
曲としては面白いんですよね。
でもPAULらしさが弱いし、メリハリがないんですよ。
そういう意味ではタイトル曲の「Driving Rain」はノリがあっていいです。
でも♪12345~は無いような気がしますけど・・・
多分、セルフ・プロデュースしていたら、もっと躍動的で纏まった曲に
なっていたのではないでしょうか。
他にも「I Do」のように穏やかで美しい曲が入っていますけど、
ヴォーカルが粗いのですごく勿体ないんですよね。
バックのアレンジもいいだけに・・・
他にも普段のPAULでは聴けないような「Tiny Bubble」も入っています。
曲の組みたてや流れがいいので、聴いていても心地よい一曲なんですよ。
ただし、このメンバーはPAULには合っていないような気がします。
個人的にはこのメンバーは一番苦手かもしれませんね。
ギターのRusty Andersonが苦手なのでしょうね。
「Magic」でのギターの音が気になっちゃうんですよね。
悪くはないんですけどね・・・
8曲目の「Your Way」は、ヴォーカルが入るまではWINGSの頃を
思い出すような雰囲気なんですけど、PAULのヴォーカルがちょっと
ヘナヘナで、全体を引っ張っちゃっているんです。
それでもなんとか良さは伝わって来ます。
伝わってこないのが次の「Spinning On An Axis」。
James McCartneyのギターもどうなのって思っちゃいますし、
曲自体がもちません。ただ曲が流れているだけですね。
唯一覇気を感じるのが「About You」でしょうか。
らしくはないですけど、曲としてはメリハリがあっていいんです。
ただもっと煮詰める時間が必要だと思います。
これはPAULがやる必要がないでしょう~というのが
「Back In The Sunshine Again」です。
それにJamesのギターはPAULの曲に合ってないな~~~。
なんだかClaptonの曲をカバーしているみたいですよ。
といって出来がいいわけではないんです。
久々にPAULがピアノを前に歌ってくれている「Your Loving Flame」ですが、
バラードの魅力がないのが致命的です。
メロディが抜けきっていない感じですね。
ホントに「普通」って感じですから・・・(T T
「普通」じゃまずいというわけではないのでしょうけど、
ここで出て来るのがインド音楽の「Riding Into Jaipur」。
なんでPAULが~~~って感じです。
GEORGEみたいに自分の世界観が出ているわけではないので、
ただインド・サウンドにメロディを乗せているのが辛いですよ。
どうしちゃったの~~~~!
大作といえば大作なのかもしれないのが「Rinse The Raindrops」。
派手さもあって勢いも感じるんですけど、やっぱり纏まり欠けるんですよ。
これで纏まりがあれば『WILD LIFE』の頃を思い起こさせるのでしょうけど。
ただ長い曲ともいえます。
そしてこのアルバムで一番話題になって評価されていたのが「Freedom」です。
2001年10月20日の「CONCERT FOR NEW YORK』で歌われた曲で、
ここではClaptonを迎えてスタジオ・テイクが収録されています。
だけどこの曲は急遽追加された曲ですし、
これが一番話題になっていると言うのも寂しいかぎりです。
PAULもメッセージ・ソングを多く歌っていますけど、
この手のものはシングルで留めていた方がいいような気がします。
この曲はシングルでU.S.97位にランク・インしました。
話題になってこのランクとは・・・
このアルバム『DRIVING RAIN』はU.K.で46位、U.S. Billboardで26位まで
上昇しました。
この内容でRIAA公認ゴールドディスクを獲得しているのですから、
完全にPAULの看板で売ったアルバムになってしまいました。
とにかく「悪くはないんでしょうけど・・・」がついて回る作品ですね。