EP3/RINGO STARR
●Side-A
1.World Go Round
2.Everyone and Everything
●Side-B
1.Let's Be Friends
2.Free Your Soul(featuring Dave Koz and José Antonio Rodríguez)
この『EP3』は2022年9月に発売されたExtended plays・・・コンパクト盤みたいな
ものです。
これはコロナ禍でミュージシャンたちも活動ができずに停止していた中で、
RINGO STARRは仲間を集めてはミニ・アルバムを発表したシリーズの第3段です。
2021年にまず4曲入りの『Zoom In』を発表、同年に同じ4曲入りで
『Change the World』を発表し、今回2022年に『EP3』を発表したわけなんです。
計12曲の新曲を3枚のミニアルバムに振り分けて発表したわけですけど、
どのアルバム(シングル?)もフォーマットはCD、でs字たるダウンロード、
ストリーミング、カセットテープ、そして10inchレコードとなっていて、
私は3つとも10inchレコードを買いました。
本来この『EP3』の紹介は順番で言えばず〜〜〜〜っと先のはずなんですが、
たまには新作をリアルタイムで紹介もいいかなと思いアップしました。
まずは「World Go Round」ですけど、この曲はSteve LukatherとJoseph Williamsが
共作した曲をRINGOに提供しています。この二人はご存知TOTOのメンバーなわけですが、
この名前を見ただけで「World Go Round」は後期TOTOサウンドになっているんだと
想像がつきますね。
でも実際にこの曲を聴いてみるとSteve LukatherのギターとJoseph Williamsの
キーボードがしっかり入っていてカラーが出ているんですけど、
曲の雰囲気はTOTOって感じではなくて、あくまでもRINGO STARRが歌うという
前提で書かれた曲のような気がするんです、
曲がすごくわかりやすくて、どこかポップさを含んだロックになっているんですよ。
適度に映えた感じのロックナンバーなので、意外にノリで聴ける曲に
仕上がっていいます。なかなかイケてる曲だと思いますし、なによりRINGOが
楽しそうに歌っているのがいいですね。
2曲目の「Everyone and Everything」はLinda Perryが書いた曲で、
私は詳しくは知らなかったんですけど、シンガーソングラーターとして
活躍されているようです。
この「Everyone and Everything」は派手な雰囲気はなくて、
あくまでもしっかりとした歌メロを聴かせていくと言った感じの曲です。
いままでだとホンワカしたような曲だったたり、ポップロックな曲なんかを
歌っていたRINGOですけど、この曲はかなり聴かせる曲になっています。
私は好きなんですけど、ここでのRINGOの歌声はこの曲のなんとも言えない
微妙なニュアンスを味にしている部分を強調するには物足りなさを
感じてしまいます。これは言っても仕方がないことなんですけど、
メロディを深掘りできるだけの歌唱力がないんです・・・
とても勿体ないんですけど、でもこれはこれで凄く良く仕上がっていますし、
RINGOの新しい部分を見られると思います。
サイドが代わっての「Let's Be Friends」はBruce SugarとSam Hollanderの
共作で、この曲のバックにもそれぞれがキーボードやパーカッションで参加しています。
これはRINGOにしてはバックのアレンジが今までにない華やかな雰囲気になっていて
全体にアクセントのある音作りに徹しているようで、跳ね具合もいいんですよ。
当然他の人に曲を書いてもらっているわけですから、その作者のカラーが前面に
出てきているわけですけど、この曲に関してはなかなかRINGOからは出てこない
アレンジなので聴いてて面白いですよ。
結構クセになるようなフレーズもあって楽しいですしね。(^^;
これでもっと歌メロにフックが強かったら映え具合も引き立つと思いますが、
まぁ〜これは仕方がないでしょうね・・・(^^;
そして「Free Your Soul」ですけど、ここでようやくRINGOが作った曲の登場です。
この曲はBruce Sugarとの共作になっていて、曲が始まった瞬間Sadeの曲を
カバーしているのかと思うくらい、とてもしっとりとした雰囲気のジャジーソングです。
雰囲気からしたらボサノバも感じられるような曲調ですけど、
それ以上に印象的なSadeのテナーサックス、José Antonio Rodríguezの
ギター(ナイロンギター)の演奏がめちゃいんですよ。
RINGOも酔いしれながら歌っているようで本当に素晴らしい曲に仕上がっています。
元々RINGOってバラード系やジャズな曲を歌わせると非常にハマる歌声なので
この「Free Your Soul」もすごくフィットした曲だと思います。
RINGOって77年の『Ringo the 4th』あたりから作品の評価が落ちた感じですけど
決して内容が悪いわけではないと思っています。
ヒット曲がなかったり、RINGOならではの話題性も少なかったりで結果的に
イマイチな評価とセールスになってしまっていますけど、
いい曲は多かったんですよ。でも抜きに出るような曲は激減していたので、
ある意味本当に久々のはっとさせられた楽曲に巡り合えて嬉しくなりました。
この10inchレコードは内容もなかなかいいですし、バラエティに飛んだ感じの曲が
あったりしてフィールドの広さを感じさせてくれて本当にいい作品です。
多分『Zoom In』『Change the World』『EP3』の3枚は、コロナ禍アルバムとして
1枚のアルバムとして発売されるのではと期待しています。