去年、平成30年(2018)11月27日、天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)が
静岡県掛川市の福祉施設「ねむの木学園」に赴かれ、同学園主宰者の女優宮城まり子さんと
会見されたというニュースを聞いて、少々の感慨を抱きました。

宮城まり子さんというと今日的には女優としての活躍も遠くなり、社会活動家としての
知名度が勝る印象かもしれませんが、実は日本のアニメーションにとっては
忘れることのできない存在でもあるのです。それは何かと申し上げれば、そう、
彼女こそ日本のアニメーション声優の先駆者でもあるということなのです。

女優宮城まり子が声優を手がけたアニメーション、それは日本初の本格的アニメーション映画として
知られる「白蛇伝」(昭和33年1958・東映動画)です。
「白蛇伝」は実験作などを除けば東映動画初の制作作品でもあり、

むしろ「白蛇伝」制作の構想を実現するために東映動画が設立されたと言ってもいい作品です。

この作品は声の面でも、あえて男女2人の声優が、登場する全キャラクターを演じるという
野心的な配役をとっており、男性全ての声を演じたのが森繁久彌さん、女性全ての声を演じたのが
宮城まり子さんというわけです。
つまり、今日、子どもたち屈指のあこがれの職業の一つともいえる「アニメ声優」の第一号が
宮城まり子さんというわけです。

私は当時ぺーぺーの新米とはいえ、幸運にもこの日本のアニメーションの開闢作とも言える
「白蛇伝」にスタッフとして参加することが出来ました。
それではこの「白蛇伝」はどのような人たちによって作られたのでしょう。
次回からはそのあたりについて書いてみようと思っています。