【怪談】シュノーケル | 柳川淳二の怪談部屋

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実話も織り交ぜたオリジナル創作怪談をメインとして、その他色々と記して行きます。
当ページの怪談は怪談朗読師のIsAM(136)殿にも朗読頂いておりますのでゼヒ、ソチラもお聞きになってみて下さい。
YouTubeの知的好奇心CLUBでは心霊部隊に所属。

こんばんは、柳川淳二です。





今夜のお噺はアタシの友人の・・・名前は仮に伊原さんとしておきましょうかねぇ・・・この伊原さんがね、大学時代に実際に経験されたお噺なんです。





ある夏の暑い日・・・伊原さん、田中さんと高橋さんていう仲の良い友人達3人でもってねぇ、神奈川県のとある海水浴場へやってきたんです。





でね、3人軽くひと泳ぎしましてね、浜に上がってビーチバレーしたり海の家で焼きそば食べたりしてね、楽しくワイワイやってたんだ。





可愛い女の子の3人連れなんかを見つけてはねぇ、ナンパなんかをしたりもしてたんですがね、どーにも上手く行かない。





なもんで、もういいやってっ事でね、大分体もあったまって来たし・・・もう一回海に入ろうかって事になったわけだ。





田中さんはあまり泳ぐのは得意ではないし・・・もう少し身体を焼きたいってんでね、浜に残る事にした。





だから伊原さんと高橋さんの2人が海に入ったんですが・・・高橋さんがね、どっから借りてきたのかビニールのボートを持ってきたんですよ。





「おい、伊原!これで少し遠くまでいってみようぜ!」


「おーそうだな行こう行こう!」





てなわけでね、小さなゴムボートに二人乗って大海原にね、漕ぎ出したんですよねぇ。





しばらくは波に逆らって一生懸命オールを漕いでいた二人だったんですが、すぐに疲れて飽きちゃいましてね、バターンとボートの中に横になっちゃった。





で、二人あーでもないこーでもないってね、どうでもいい話をしていたんですが・・・しばらく立ってふと伊原さんが辺りを見ますとね、岸が大分遠くになっていたんです。





潮の流れに乗ったのか・・・ほんの数十分でねかなり沖に来てしまっていたんだな。





「おい、高橋!結構流されたぜ。」





伊原さんが言うと・・・





「ホントだな!ん?なんだコレ??」





高橋さん答えながらね、何かをヒョイッと海から拾い上げたんですよ。





「見ろよこれ・・・シュノーケルだぜ」





誰かが落としたものがどこからか流れて来たのか・・・それねぇ、結構傷んだシュノーケルなんだ。





「面白そうだな!伊原、俺ちょっとコレ着けて泳いで来るわ」





「おい汚ねぇな!やめとけよそんなもん・・・」





伊原さんが言う間もなく高橋さんそのシュノーケル着けてね、海に飛び込んじゃった。





で、しばらくの間伊原さんのボートの周りをね、シュノーケルの先端だけ海面に出して高橋さん泳いでた。


ときおり先端からピューっとね、クジラみたいに水吹き上げて遊んでるんだ。





「まったく、ガキだなぁ・・・」





伊原さんその様子をね、笑いながら見てたんですが・・・そのシュノーケルがボートから少し離れた時・・・





ザバアッ!!





突如高橋さんが飛び跳ねるように浮き上がった。


でね、海老反りになって・・・手を首にかけて苦しそうにバシャバシャもがいてるんだ。





(今度は溺れたフリかよ・・・全く高橋のヤツ・・・)





伊原さん思いましてね・・・笑いながら大声で声かけた。





「おい!高橋!!溺れたフリなんかしてんじゃないよ!分かってるんだからな~!フザけてるとマジで溺れんぞ!」





でもね、それ聞いても高橋さんやめようとしないんだ。


相変わらずエビ反りの体勢でもってシュノーケル着けたまーんま、苦しそうにもがいてる。





「おい!フザけんなよ!いいかげんにしろよ!高橋!!」





・・・様子がおかしい。


高橋さんの顔の・・・肌が見えてる部分がね、みるみる紫色になって来てるんですよ。





(ホントに溺れてるのか!?ヤバイ、ヤバイぞこれ!シャレにならんぜおい!)





伊原さん、急いでオール漕いでね、高橋さんに近づこうとするんですがね・・・焦っているもんでなかなか進まない。





やがてね、モタモタしているうちに・・・高橋さん海に沈んでいっちゃったんですよ。





その時にね・・・伊原さん見たんだ・・・。


海老反りになった高橋さんのね、ゴーグルの向こうの目が飛び出さんばかりに見開かれて、何かを掴もうとするように右手を高く上げてね、左手を首の後ろに回しているのを・・・。





その左手・・・なんかおかしい・・・なんだか分からないんですがね・・・違和感がある。





首の後ろの空中をね、掴んでるんですよ。


そこには何も無いんですがね、何かを掴もうとしていた・・・いや掴んでいるようだったってんですよ。





・・・結局、そのまま高橋さんが浮かび上がってくる事は無かったそうです。





呆然とする伊原さんの前に、あの傷んだシュノーケルだけがぷかりぷかりと不気味に浮いていたそうです。





岸に戻った伊原さん、田中さんと一緒にねぇ・・・高橋さんの事を通報した。





捜索隊が出て・・・数時間後に高橋さんの遺体が上がったそうですよ。





死因はというと・・・窒息死だったそうです。


溺死ではなく、窒息死なんですよ。





更におかしい事に、高橋さんの首には紫色に変色した手形がクッキリとついていて・・・背中には両足の足形がこれまた紫色でハッキリついていたそうです。





警察が言うには後ろから両手で高橋さんの首を絞めて、両足を背中に掛けてね、ぶらさがっている状態で高橋さんを窒息させたとしか思えないというんです。





当然その場に一緒にいた伊原さんは容疑者になると思っていたそうなんですがね・・・不思議な事に、警察からは簡単な事情聴取だけで・・・なにもお咎めは無かったそうです。





それというのもね、その手形足形・・・女のものだったからだそうなんです・・・。





その海水浴場ではそういった遺体が他にも数件上がっていたそうで・・・警察もまったくお手上げ状態だったらしいんですね。





伊原さん、その時直感で思ったそうですよ。


きっとあのシュノーケルが原因に違いない・・・きっとあれには何か得体の知れない何かがあるんじゃないかと、ねぇ。





他の犠牲者達もまた・・・何かのタイミングであのシュノーケルを拾って装着し・・・死んだ。





「柳川さん・・・拾ったモノなんて・・・使うもんじゃないですね・・・。」





伊原さん言ってましたよ・・・。


皆さんもね、落ちているものやなんかはねぇ・・・不用意に使わない方がいいんじゃないかな~。





特に海で拾ったシュノーケルはねぇ。





今夜の怪談はここまでです、また次回お会いしましょう。


それじゃまた。