こんばんは、柳川淳二です。
今夜のお噺はねぇ、埼玉県にお住まいの方で・・・お名前を仮に加藤さんとさせて頂きますが、この方が実際に体験されたお噺なんです・・・。
加藤さん、ドライブが趣味でしてねぇ、この日も友人の下条さんと一緒に都内の方までドライブに行きましてね、お台場やなんかを回って景色を楽しみながらねぇ、ダーッと走ってた。
車内では下条さんとくだらない話でもって盛り上がってましてね、あーでもない、こーでもないってどうでもいい話をしてたわけだ。
途中食事やなんやで寄り道したもんで、帰りの途についた頃にはもう大分いい時間になっていた。
でね、そろそろ都内を抜けようという辺りまで来た時・・・急に道が詰まって来たんですよ。
「なんだよ、渋滞かな?」
「事故かなんかじゃないか?」
そんな事を話していますとね、やがて大きな交差点に差し掛かったんだ。
歩道に人が大勢集まってましてね、なんだか騒がしい。
見ると、道路の真ん中に人が倒れてる。
車がそれを避けようとしてノロノロ走っているんですよねぇ。
どうやらこれが渋滞の原因らしい。
助手席からその様子を見ていた下条さんが声を上げた。
「うわ~ひでぇな・・・こりゃ多分死んでるぞ。」
その声聞いて加藤さん、倒れている人間の方・・・見た。
それねぇ、白いワンピースを着た若い女性の方でねぇ・・・うつ伏せに倒れているんですが、足と首が変な方向に曲がってましてね、折れているのは間違いないんだ・・・ピクリとも動かない。
でね、ちょっと引きずられたらしく道路にズルゥーーーっと血の跡がついてましてね・・・倒れている所が血溜まりになってるんだ。
白いワンピースのお腹の辺りはその血で真っ赤に染まっていたそうですよ。
辺りには加害者の車が止まっている様子もなく、救急車もまだ来ていない。
「ひき逃げだなこりゃ」
また下条さんが言った。
この状態じゃ、間違いなく即死だろうと加藤さんも思ったそうですよ。
「やなもん見ちまったな~」
二人で顔を見合わせながらその現場を通り過ぎた。
「おい、下条・・・あそこになんか居たか?」
ふいに加藤さん、下条さんに言った。
て、いうのもね・・・この下条さん、結構霊感が強い方でしてね、今まで何度か霊と思われるものを見ているわけだ。
なんで、加藤さん冗談半分でもって、聞いてみたわけなんですよねぇ・・・。
すると下条さん言うんだ。
「いないよそんなもん。大体死んでるかどうかも分からんし、万が一死んでたってそんなに早く幽霊になんかなるもんかい。」
「それもそうか」
で・・・またつまらない話しながらねぇ、車走らせているうちに・・・事故の事なんて頭から離れちゃったそうですよ。
「なーんか腹減ったなぁ」
「そうだな、昼以来なんも喰ってないしな」
二人、そんな話になりましてね・・・なんとはなしに目に入ったファミレスの駐車場に車、入れたわけだ。
加藤さん、後輪を車止めの縁石につけてね、サイドブレーキ引こうとしてましたらね、なんだーか下条さんの様子がおかしいのに気がついた。
真っ青な顔して、前方をじぃーっと見てるんだ。
手が小さく震えてる。
加藤さんどうしたんだろうと、下条さんの視線の先を追ってみた。
するとね・・・そこには駐車スペースに頭から突っ込んで停車している黒いワゴン車があったそうですよ。
やがて、下条さんコクンコクンと何度もうなづくと、震える手でもってねぇ・・・携帯電話を取り出しましてね、どこかへ連絡し始めた。
「下条、どうしたん・・・」
加藤さんが話しかけようとするとね、下条さん、それを手で制して顎で前方の車を示すんですよ。
加藤さん、その黒いワゴン車見るんですがね、全然意味が分からない。
それ、よくあるどうってことないワゴン車なんだ。
やがて電話が繋がったらしく小さな声が聞こえる。
「・・・はい、下条です・・・はい、千葉です、ああ・・・はい。・・・の・・・46・・・5・・・はい、そうです黒の・・・」
どうやらあのワゴン車のナンバーやらなんやらを伝えているらしい。
やがて、電話を切った下条さんは加藤さんに言ったそうです。
「あれなぁ・・・あの車、さっきのひき逃げの犯人だぜ」
「はぁ?なんでそんなの分かるんだよ??」
「あのな・・・さっきあの車の下に血まみれの白いワンピースの女が挟まってたんだよ・・・でさぁ、俺の方じぃーっと見ながら血だらけの手でもってさぁ・・・あの車・・・ずっと指差してたんだぜ。」
・・・って言った。
やがて警察がやってきて調べると、その車のバンパーはベッコリとへこんでましてねぇ・・・割れた部分には女性の髪の毛やらなんやらが挟まっていたそうですよ。
当然ファミレスに潜伏していた犯人はその場で逮捕されたそうですがね・・・。
「現場からは逃げられても・・・人の怨念というか、霊からは逃げられないんですねぇ・・・」
加藤さん、言ってましたよ。
・・・皆さんも、車を運転されるならね、安全には気をつけて頂きたいと思いますねぇ・・・ホントにねぇ。
もし万が一・・・事故を起こしてしまったなら・・・逃げるなんて事は絶対にせず、救護の責任をきちんと果たしてくださいねぇ。
・・・どうせ、逃げられないんですから・・・ねぇ。
それ以上、罪を重くしてはいけません。
今夜の怪談はここまでです、次回またお会いしましょう。
それじゃ、また。