こんばんは、柳川淳二です。
今夜のお噺は・・・ちょいとね、みなさんにも気をつけて頂きたいな~と思うんですがね・・・。
丸の内でね、OLをされている・・・仮にA子さんとしておきますが、アタシが良く行く飲み屋でもって頻繁に顔を合わせる方でしてねぇ・・・このA子さんが体験されたお噺なんです。
A子さん、その日は会社で上司に叱られるわ、彼氏に別れ話を持ち出されるわでねぇ・・・散々だったそうですよ。
でね、すご~く落ち込んでいたわけだ。
日はとっくに暮れてましてねぇ、もう大分良い時間。
行きつけの飲み屋でもってヤケクソ気味に一杯やりましてね、まぁ・・・疲れていたんで早く寝てしまいたかったし・・・いつもより早目に家路についた。
駅に向かう街中で、喉の渇きを覚えたA子さんは自販機で烏龍茶を買いましてねぇ、公園のベンチに座ってそれを飲んでいたんです。
そうしましたらね、目の前の・・・20階立てくらいかなぁ、ビルが目に入った。
都会には良くあるどうってことないビルなんですがね、それが妙に気になるんだ。
入り口があってねぇ・・・目線を上に持ってゆく。
ポツポツと灯りのついた窓があって、やがて屋上がある。
その屋上の端っこあたり・・・そこがなんだ~か気になる。
気になるもんでじぃ~っと眺めていると、なんだか妙な気分になって来た。
(あの屋上・・・飛び降りやすそうだな~)
(柵も無いし、高さもちょうどいいしな~)
(なんだか面白くない事ばっかりだし、死んじゃおうかな~)
とんでもない考えが頭をよぎってしまうんですよ。
でも、自分は全然おかしいとは思わないわけだ。
そうすることが自分にとって一番良い事なんだと思えてしまう。
そんな事を考えながらなおも屋上をじぃ~っと見つめていると・・・
「あんた、あれが見えるのかい?」
突然声をかけられたんです。
A子さん、驚いてその人物を見ると・・・それはどこにでもいそうな中年のオバサンでねぇ、地味な服を着て・・・ちょいと厚化粧でね、ハンドバッグを下げている。
A子さん、何を言われているのか分かりませんでねぇ・・・
自分には屋上しか見えてないわけですからねぇ。
「はい?屋上・・・ですか?何も見えませんけど??」
するとその中年のオバサンが納得したように言ったんですよ。
「ああ~あんた、そっちの方の人かい」
「え?」
A子さん、ますますもって意味が分からず不審な顔で聞き返した。
するとね、そのオバサンが屋上見て・・・言うんだ。
「あんた、あの屋上・・・以前に人が飛び降りてるよ・・・その人、今もねぇ・・・地縛霊になって飛び降り続けてるんだよ。ホラ、また飛び降りた。ちょいとアンタ!こっち来なさい」
オバサンは未だに意味の分からないA子さんの手を引いて、近くの喫茶店へと入ったそうですよ。
でね、こんな事をA子さんに話してくれたそうなんです。
「さっきも言ったけどねぇ・・・あの屋上、飛び降り自殺した人間がいるんだよ。あんたにゃ見えてないかもしれないけどねぇ、その霊が成仏できずに何度も何度も飛び降り続けてるのよ」
オバサン、さらに続けて・・・
「アンタ、今日気持ちが落ち込んでいただろう?」
A子さん、言われてドキリとした・・・図星だったんですよねぇ。
「アンタ、あの霊に呼び込まれてるんだよ。目には見えていなくてもねぇ、アンタが落ち込んだ気持ちであの場所を見たもんだから、あの霊と同調しちゃったんだねぇ・・・あのまま見てたら、アンタ・・・あそこから自殺してたかもしれないよ」
そう言うと、そのオバサンは紅茶をすすった。
「たまたまアタシがあそこ通ったから良かったけど・・・あぶなかったねぇアンタ!」
A子さん、良く喋るオバサンだな~なんて思ったそうですがね、その人と喋っているとなんだかとても穏やかな気持ちになったそうですよ。
「ここは、アタシがご馳走してあげるから!アンタ、あんまり落ち込むんじゃないよ!そんなふうだと悪い霊が寄って来るんだから。ああ、それからねこれ・・・アタシの連絡先だから!なんかあったら連絡してきなさいよ。」
言うと、オバサン伝票を持って支払いを済ませ、さっさと店を出て行ってしまったそうです。
ポツ~ンと席に残されたA子さん、オバサンから渡された紙切れを見た。
それ、名刺だったんですがね・・・
見ると、「霊能者 ○○フミ子」と書いてあったそうなんです。
どうやらA子さん、自殺した霊に呼び込まれそうになった所を霊能者に助けられたらしいんですがね・・・
「なんかすごい体験しちゃいました」
笑いながら、A子さん・・・話してくれましたよ。
こんな事もあるんですねぇ・・・確かに、気持ちが落ち込んでいる時などは、そういった悪いものに付け入れられるような、心のスキマができているのかも・・・しれません。
皆さんも、突然とんでもない思考が湧き上がって来たときなどは、是非お気をつけ頂きたいですよねぇ。
それは、もしかしたら・・・あなた自身の気持ちではないのかも・・・しれないですから・・・ねぇ。
いかがだったでしょうか?今夜の怪談はここまでです。
それじゃまた。